メタデータからコンテキストへの転換

データ(コンテキスト)そのものとそれを属性化したメタデータがあり、コンピュータの世界では従来メタデータが重要な位置を占めていた。ビジネス上で比較的早くからコンピュータ化された分野として「会計」があるが、複式簿記の「仕訳」は典型的なメタデータ。メタデータとして早くから確立され標準化されていたため、コンピュータ化がしやすかったとも言える。
昨今、データサイエンスのブレークスルー的発展にともない、UIのベースではメタデータ化しなくてもコンテキストベースでデータ処理が可能になってきている(ブラックボックスの中ではメタデータ化されていたとしても)。Googleなどはその先鞭。
アイデンティティも典型的なメタデータであるが、人間がアイデンティティを識別する場合、必ずしも属性=メタデータで判別しているわけではなく、「名前思い出せないけどあの顔はアノ人だよね」とか電話の声だけで誰かを判別したりしている。
データサイエンスのブレークスルーによって、メタデータではなくコンテキストベースでの識別や分析が実社会でも実現している(生体認証など)。
テキストマイニングもテキストをメタデータ化して分析するのとコンテキストで分析するのでは後者のほうがより正しい結果が得られる印象がある。
これは最近のバズワードともなっている「ブルシット・ジョブ」を減少させるヒントにもなりそう。例えば、コロナ対策でもメタデータ(感染状況の把握など)を作るための仕事で相当なエネルギーが消費されている。感染症対策の施策立案のためプロジェクト・マネジメントが必要なため、そういった対応が求められているわけであるが、一方でブルシット・ジョブを生み出す温床とも言える。
もっともメタデータ化することによって、人間が理解し易いデータになるというメリットもある。コンテキストのままでは人間の認識範囲を超えてしまい、プロセスがブラックボックス化するという課題も生じる。

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