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【感想】BABYMETALが"LIVE IN LONDON"をついにリリース!-幕張編

2015年5月20日 Text by Kotaro MASUDA a.k.a. TAROMETAL

BABYMETAL WORLD TOUR 2014 APOCALYPSE / BABYMETAL
2015年5月20日発売

2014年のヘヴィ・メタル界における重大ニュースの1つは,間違いなくBABYMETALのワールド・ツアーである。正統派のヘヴィ・メタルを音楽的バックボーンにしながらも,そこにJ-POPとアイドル,そしてダンスという,およそメタルとは「水と油」のような要素を加え,それらを高い次元で見事に融合させることに成功した「ジャパニーズ・センセーション」。BABYMETALは,SU-METALが言うように「メタルでもなくアイドルでもない,BABYMETALというジャンル」を築きつつあり,まさに「オンリー・ワンな存在」になりつつあるのだ。

そんなBABYMETALが世界に衝撃を与えた,自身初となる去年のワールド・ツアー。その中から7月と11月のロンドン公演を収録したのが,この"BABYMETAL WORLD TOUR 2014 APOCALYPSE"である。-THE ONE-限定版には幕張公演も収録され,さらにロンドン2公演のライブCDなども付くという豪華仕様だ。

まずは-THE ONE-限定版に含まれる幕張公演DVDを観た感想から。

【September 14th at MAKUHARI MESSE】
収録されたのは2Daysの2日目となる14日の模様だ。観ていて改めて気づいたことをいくつか記してみたい。ちなみに当時私は1日目はmosh'sh pitで参戦し,2日目は妻と一緒にスタンドから観戦した。(それにしてもBABYMETALのライブは自然と「参戦」「観戦」という言葉が出てくる。やはりライブは戦いなのだ。)

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■3人のパフォーマンス
公式映像作品としては2014年3月の日本武道館2Daysを収録した"Live at Budokan"以来となるが,武道館の映像と今回のワールド・ツアーの映像を見比べると,3人のパフォーマンスの進化っぷりに改めて驚愕させられる。その間わずか6ヶ月。自身初のワールド・ツアーに出るということで,おそらく相当な鍛錬を積んだのだろう。3人とも半年の間で急成長を遂げていた。

まず,以前ブログにも書いたが,SU-METALの声質が変化して低音がしっかりと出るようになった。声色を使い分けて歌うようになり,表現力が向上した。YUIMETALとMOAMETALは身体的に成長し体力が向上した結果,ダンスがよりダイナミックになった。そして何より,ドイツ,フランス,イギリス,アメリカ,カナダと転戦することで得た経験値が3人のパフォーマンスに自信と余裕を与え,武道館公演時には見られなかった堂々たる風格が感じられるようになった。

■ステージと演出
ステージは巨大だが実にシンプルな作りで,3人の姿を大写しにできる巨大LEDスクリーンが背後にあるだけだ。武道館でのランドステージや,その後のSSAでの吊り橋のような大掛かりな仕掛けはない。ステージ上でのパフォーマンス一本で勝負するワールド・ツアーの一環であることを改めて感じさせる。

そんな質実剛健なコンセプトはステージセットだけはなく演出にも現れている。"4の歌"でYUIMETAL&MOAMETALが観客をあおることもなければ,"悪夢の輪舞曲"でSU-METALがせり上がることもない。海外公演では冒頭でのみ流された紙芝居が"おねだり大作戦"の前にも挿入されたことは日本のファンにとっては嬉しいサプライズだったが,これはあくまでもおまけのようなもの。

そんな中,実にシンプルではあるが印象に残ったのは,"Catch Me If You Can"での演出だ。サビの部分でバックの巨大スクリーンが赤一色に染まるだけなのだが,真っ赤な背景の前に3人の姿がまるで影絵のように漆黒のシルエットとなって浮かび上がるのだ。曲のテーマである鬼ごっこを「動く紙芝居」に見立てた心憎い演出。このシーンをステージの正面から観ることができるのは,映像作品ならではの利点だと思う。

■観客
観客が大人しい。それなりに盛り上がって入るのだが,9,000人いるとは思えない歓声の小ささ。1,500人~3,000人規模の海外の会場に明らかに負けている。海外のファンは日本のファンとは違って「SU-METALの歌に合わせて歌っている」と3人も「Rolling Stone」誌のインタビューで語っていた。母国のファンの意地を見せて,もっと歌わないと!(とは言え「新春キツネ祭り」のオープニングで見せた盛り上がりは世界基準だったと思うけど。)

ロンドン公演で学習したファンの振る舞いが「欧州仕様」になっていたことを思い出した。客入れBGMでMETALLICAの"Master of Puppets"が流れた時には「Master! Master!」と声を上げ,アンコールを求める時には「アンコール!」というしょぼい掛け声ではなく「We want more!」と叫ぶようになっていた。残念ながらその後の「新春キツネ祭り」ではそんな「欧州の香り」が薄らいでしまっていた印象を受けるので,6月の幕張では再び欧州の雰囲気を感じさせるように振る舞いたいものだ。

■その他
最後の曲である"ギミチョコ!!"が終わった後の「We are BABYMETAL!」のコールの際,SU-METALがイヤーモニターを両耳とも外していた。今まで片方のイヤモニを外すことは度々あったが,両方とも外したのは7月のロンドン公演以来2回目だと思う。当時の幕張公演はいわば「凱旋公演」。ワールド・ツアーから母国・日本に戻った嬉しさがあったのだろう。「日本のファンの声をもっと聞きたい!」というSU-METALの素直な思いが行動に現れたのだと思う。

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※アメブロからの転載です。


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