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ライブ参戦レポ/BABYMETAL「巨大キツネ祭り」-DAY2

2017年10月2日 Text by Kotaro MASUDA a.k.a. TAROO-METAL

1日目のライブレポートでも書いたが,やはりビジュアル面での演出が光るライブだった。

思い返せば2014年3月の日本武道館2デイズでは,全方位開放型のラウンド・ステージが見る者の度肝を抜いた。2015年1月の「新春キツネ祭り」では,"悪夢の輪舞曲"を歌うSU-METALを乗せた巨大な橋が丸ごと天高く上昇。照明の素晴らしさとあいまって,非常に幻想的な世界が演出されたことが印象に残っている。

同年8月の「巨大天下一メタル武道会」では"Road of Resistance"の煽り部分で昇降機に乗ったYUIMETALとMOAMETALが尋常ではない高さまでリフトアップされた。この時のステージは質素極まりない構成だったので,この演出が一番派手と言えば派手だった。さらに同年12月の横浜アリーナ公演では,3人を乗せたゴンドラが会場内を1周するという,およそBABYMETALらしくない演出がファンを狂喜させた。

そして2016年9月の東京ドーム。日本武道館を思わせるラウンド・ステージがスケール・アップしてもはや巨大な構造物と化して東京ドームの中心に鎮座。最高部は56.19mにもなるドームの天井に届かんばかりの高所には「天空ステージ」が設置され,5.5万人の観客を驚嘆させた。

こうして回を重ねるごとに進化してきた演出は,2017年9月の「巨大キツネ祭り」において5枚の巨大スクリーン,可変式照明,実写映像とCGのリアルタイム合成というハイテク技術を導入することによって,さらなる進化を遂げたのだった。BABYMETALの3人がライブを重ねるごとに進化・成長を遂げるのはファンの間では周知の事実だが,演出やステージについても同じことが言える。現状に甘んじることなくマンネリを打破し,常に新しいことに挑戦するスピリット――それが「チームBABYMETAL」に携わる者に共通する精神なのだと実感した。

さて,2日目の座席は200レベル。1日目の400レベルに比べてフロアに近い高さだったため気づくことができたのだが,ステージ上方に設置された例の可動式(可変式)の照明装置は,1機ではなく3機並んでいた。これはかなり贅沢な仕様だ。それぞれが十字架の形になって3つ並んだ時は何とも強烈な存在感を放っていた。

2DAYSということで注目されたセット・リストは両日とも13曲。入れ替わったのは3曲のみ。1日目の"ド・キ・ド・キ☆モーニング","Amore - 蒼星 -","4の歌"に代わって,"ギミチョコ!!","紅月−アカツキ−","GJ!"が披露された。替わるとすれば2つのソロ曲とドキモニだろうと予想した人は多かったはず。多くのファンにとっては納得のセット・リストだったのではないかと思う。

ただし,ある意味驚きだったのは""Catch me if you can"がなかったということ。この曲がライブで披露されないことはほぼなく,海外のフェスで5曲程度しか演奏できない場合でもセット・リストに組み込まれることが多い曲だ。盛り上がること必至の定番曲なので,おそらく10月の大阪城ホール公演2DAYSでは演奏される可能性が高い。

最後に運営に関する苦言を1つ。会場内での写真撮影が全面禁止されていたが,もはや有名無実化したこのルールは撤廃した方が良い。百歩譲って開演中の撮影は禁止にするとしても,開演前と終了後くらいは撮影を許可しても問題はないはず。確かにそれでもステージ・セットの一部は撮影されてしまうかもしれないが,そのことがアーティストの権利や価値を損なうとは思えない。むしろライブ前後のファンの興奮がSNS上で拡散されることで話題性が増すので,アーティストにとってはプラスしかないと思うのだが。

■会場到着&入場
2日目は妻METALと一緒に参戦。17時頃にAゲートに並び,入場開始を待つ。予定どおり17時30分に開場。Aゲートは昨日のNゲートよりも入口が広いので,入場は非常にスムーズだ。通路に飾られた花の写真を撮りつつ,一路場内へ。17時40分頃には着席できた。

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今日の座席は200レベルの237扉7列目。昨日と同じくCブロック真横付近の上手だが,ステージの近さが昨日とは断然違う。しかも目線はアリーナよりも少し高い位置なので遮るものはなく,視界も良好。ステージ全体を見渡すことができそうだ。

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今日は水曜日なのでやはり客足は悪い。そんな中,ふと周囲を見渡すと,前の列の右手に制服姿の女子高生2人組がいるではないか。しかも1人はセーラー服。周囲を黒いTシャツ姿が右往左往する中,夏服の白い制服は異様に目立つ。しばらくすると彼女はTHE ONEのフード付きマントタオルを羽織った。どうやらTHE ONEのメンバーらしい。YUIMETALとMOAMETALの同世代がこうしてライブに来てくれるなんて,実に嬉しい話ではないか。

そうこうしているうちに開演まであと15分となった。いつのまにかMosh’sh Pitはほぼ満杯。Mosh’sh Seatもほぼ埋め尽くされている。場内には昨日と同じく王道のヘヴィ・メタルが流れており,一部のファンが早くも盛り上がり始めている。

■開演
定刻を10分ほど過ぎて場内が暗転。巨大スクリーンには「巨大キツネ祭り」の始まりを告げる映像が流れ始めた。やはり今日は良席だと確信。天井から吊るされたスピーカーにスクリーンが遮られることもなく,全体がちゃんと見える。

01 BABYMETAL DEATH
2日目もオープニングはBMDだった。それにしてもステージが近い。スクリーンもよく見えるが,ステージ上の3人の姿もクリアに見える。音響も400レベルにいるよりははるかに良い。

02 ギミチョコ!!
2曲目はまさかの”ギミチョコ!!”。昨日の"KARATE"で導入されて観客を大いに魅了した実写とCGのリアルタイム合成が,この曲でも見られた。それに加えてこの曲での巨大スクリーンの使い方とカメラワークは実に秀逸で,中間部では曲の早いテンポに合わせて3人の姿をコマ送りのように次から次へとリズミカルに切り替えるという凄技が炸裂。この手法はクールでカッコよかった。曲が持つノリの良さにマッチしていたと思う。

ちなみに曲自体は余計な煽りがない原曲に忠実なバージョン。それでも演出の巧みさもあり,観客は大いに盛り上がった。

03 メギツネ
3曲目は昨日と同じく”メギツネ”。”BABYMETAL DEATH”→”ギミチョコ!!”→”メギツネ”と続く圧巻の流れは,まるで海外フェスのよう。思わず今日はフェス仕様の超アグレッシヴなセット・リストになるのかとドキドキした。もちろんそんなことはなかったわけだけど……。

オープニングからの怒濤の3連発で場内が早くも異様なテンションに満たされる中,SU-METALは昨日と同じように観客にジャンプを要求。もちろんみんな素直に従い,会場全体が人の波で揺れまくる。特にPitに発生した一斉ジャンプは圧巻の光景で,まるで巨大な大波のようだった。Seatでも果敢にジャンプするファンも続出。

-- 神バンド・ソロ
ここでいったん小休止。ソロのアレンジは昨日と同じだ。「ッチャチャ!ッチャ!」。

04 ヤバッ!
神々のソロはそのまま"ヤバッ!"へ。およそメタルとは程遠いテイストの「ッチャチャ!ッチャ!」からいきなり"ヤバッ!"の爆音へとつながる一連の流れは,昨日も思ったがやっぱり素晴らしい。曲が始まった途端にギアが1段も2段も上がる感じだ。それにつられて場内からは大歓声が湧き上がる。私の隣りにいた女性2人組は終始フリコピをしながらライブを楽しんでいたのだが,どうやらこの曲は一番のお気に入りだったようで,3人が登場して曲のイントロが流れ出した途端,狂喜乱舞していた。

それはさておき,この日のハイライトといってもいいのは,ある意味この曲かもしれない。「ヤバッ!」と言ってYUIMETALとMOAMETALが両手で口を覆って静止するシーンで,目を見開いたYUIMETALの顔が巨大スクリーンにドアップで大写しになったのだ。ファンは確実に悶絶し,萌え死んだことだろう。スタッフが狙いすまして撃ち抜いたに違いない会心のショットだった。

05 紅月-アカツキ-
アゲアゲな曲が続いてとんでもない熱気に包まれた場内をクール・ダウンするかのように"紅月−アカツキ−"へと続くイントロが場内に響き渡る。SU-METALのソロは”Amore - 蒼星 -“から”紅月−アカツキ−”に差し替えられたが,これはほぼ予想どおりだ。私の後ろにいた男性2人組はBABYMETAL初心者らしく,このイントロを聴いて「アモーレ?」と言っていた。思わずツッコミを入れたくなったが,ぐっと我慢。

SU-METALの歌声が至高なのはもちろんだが,この曲の見どころの一つはギター・ソロだ。大村神と藤岡神がお立ち台に登ってソロを弾きまくり,最後は真ん中のお立ち台の上で背中合わせになって泣きのメロディをハモるシーンは,この曲の演出に欠かせない大切な要素だと実感した。曲がよりエモーショナルになる。演出上,上手と下手に分かれたままギター・ソロに突入することも多々あるが,そのやり方だとここまで叙情的な空気は醸し出せないと思う。

そのギター・ソロでのこと。後ろに引っ込んで観客に背中を向けたSU-METALは,ドラムの青山神とベースのBOH神の方へ交互に顔を向けていた。単なるアイコンタクトか,それとも変顔対決か?

06 GJ!
BLACK BABYMETALの曲は昨日の"4の歌"から"GJ!"に変更。"KARATE"だけではなく"GJ!"もテンポが原曲よりもやや遅く,とてもグルーヴィーなアレンジになっていたと思う。コミカルな歌詞に反してリズムはグルーヴ感満載のカッコいい曲なので,このアレンジは大正解。観客はリズムにノリながら三三七拍子。強烈な一体感が会場全体を包み込む。

07 シンコペーション
SEに合わせて心電図のようなCGによる演出を用いたオープニングは1日目と同じ。ささやかと言えばささやか,シンプルと言えばシンプルな演出だが,あるのとないのとでは大違い。「いよいよ始まるぞ」と気持ちが一気に盛り上がる。

この曲で面白かったのはYUIMETALとMOAMETALの動作の違い。「好き,嫌い,好き,嫌い,好き」と歌う部分で,MOAMETALは情感豊かに顔の角度を替えながら人差し指を唇に近づける。一方,YUIMETALは例によってと言うべきか体幹の強さを発揮。腕を前後に動かしながらも頭部は微動だにしないのだ。この違いは何とも面白い。

08 META!メタ太郎
力強いイントロが始まると「待ってました!」とばかりにオーディエンスから大歓声が湧き上がる。BABYMETALの曲の中で最も演者と観客が楽しい時間を共有できるのが,おそらくはこの曲だ。誰もが拳を突き上げ,力のかぎり叫ぶ。会場内を支配するのは究極の多幸感。

09 イジメ、ダメ、ゼッタイ
昨日の時点で気づいたのだが,イントロのSU-METALによる英語のナレーションがアップデートされた。特段前よりも発音が良くなったわけでもなければ,喋り方がより流暢になったわけでもない。抑揚が若干抑えられてナチュラルな語り口になった印象を受けた程度の差だ。とは言え,そのようなささやかな変化であってもファンにとっては話のネタになる大事な要素。何も変わらないよりは断然よい。

パフォーマンスはもちろん万全。1万人の観客が一斉に繰り出すダメジャンプは迫力満点だし,Pitに断続的に発生するサークルはどれも超高速回転だ。吹き上がる炎の熱量もけっこうなもので,Cブロック横の200レベルから7列目にいても,その熱を体感できたほど。Pitの最前付近にいた人やステージ上の7人にとっては一瞬のこととはいえかなり熱かったに違いない。

10 KARATE
この曲はもっと評価されていい曲なのでは。2日続けてライブで観てそう思った。クルーヴ感と重量感,疾走パートの爽快感,キャッチーなサビ,そしてCGによる斬新な演出により強調される壮大なスケール感。「巨大キツネ祭り」において新たな進化を遂げたこの曲は,ライブでこそその魅力を存分に発揮する。歴史は浅いがIDZよりも印象に残るかもしれない。

11 ヘドバンギャー!!
この曲でも私の周囲ではフリコピをする女性が多数発生。ベビーヘドバンに至っては男女を問わずの状態だ。左隣の女性が繰り出すヘドバンが激しくて,その長髪がワッサワッサと私の左肩にふりかかる。目の前のPitで繰り広げられる土下座ヘドバンには妙な迫力があった。場内の雰囲気はもはや怪しい宗教儀式のような様相に。

12 Road of Resistance
いよいよライブはフィナーレへ向けて加速する。目の前で繰り広げられるWODの迫力にあっけにとられ,例によって超高速回転するサークルに思わず失笑。SU-METALの「さいたま〜!!」という絶叫に「うぉ〜!!」という大歓声で返すオーディエンス。何もかもが感動的だ。

この曲で定番のシンガロングが発生した直後,SU-METALが右耳のイヤモニを外して耳に右手を添えて,目を閉じて微笑みながら満足そうに観客の大合唱に耳を傾けていた姿が感動的だった。

13 THE ONE -English Ver.-
昨日は感じなかったことだが,今日はこの曲になってドラムの音がやたらと大きかった気がした。特に冒頭部分。腹の底に響き全身の産毛が振動するバスドラと,とんでもなく硬いスネア。あれはLOUDPARKで言えば中堅どころの音圧だ。あれが標準になってほしい。

大画面を見ていて気づいたことが1つ。それはYUIMETALとMOAMETALがお立ち台に登る時のこと。YUIMETALは両手で上品にスカートの両裾をつまんで登り,MOAMETALは勢いよくガバッという感じで豪快に登る。こんなところにも個性が出るのだ。

■終演
最後に流れたトレーラーは昨日とは微妙に違っていた。地図上でどう見ても広島と思しき当たりに紅い点が灯ったことが最大のポイント。ライブ後に発表されたヒントと合わせて考えれば,SU-METALの20歳を祝う聖誕祭を広島で開催,というのが新たなお告げの内容だろう。20歳で大人の仲間入りという意味で「洗礼の義」,広島はSU-METAL生誕の地なので「聖地」。問題は日付だが,12月2日〜3日の2デイズというのが濃厚だ。会場は広島グリーンアリーナに違いないという説が有力だが,すべてはファンの勝手な予想と期待に基づいた推測にすぎない。10月の大阪城ホール公演終了後にすべてが明らかになるはず。心して待ちたい。

今日をもって私が参戦したBABYMETALのライブは19公演目。次は区切りの20公演目だが,これはSU-METALの20歳を祝う広島公演に参戦せよというお告げだろうか。20と20。これはもう何か意味があるに違いないと思えて仕方がないのだが……。

■セット・リスト
巨大キツネ祭り in Japan
2017年9月27日(水)
さいたまスーパーアリーナ
01 BABYMETAL DEATH
02 ギミチョコ!!
03 メギツネ
-- 神バンド・ソロ
04 ヤバッ!
05 紅月-アカツキ-
06 GJ!
07 シンコペーション
08 META!メタ太郎
09 イジメ、ダメ、ゼッタイ
10 KARATE
11 ヘドバンギャー!!
12 Road of Resistance
13 THE ONE -English Ver.-

*アメブロからの転載です。

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