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ライブ参戦レポ/驚天動地のフィナーレが待っていた幕張公演2日目|BABYMETAL「LEGEND - METAL GALAXY」2日目

2020年1月29日 Text by Kotaro MASUDA a.k.a. TAROO-METAL

1日目の公演も驚天動地の演出だったが,2日目はその遥か斜め上をいく演出だった。「BABYMETALは最新が最高」というのは定説だが,まさか2デイズのライブでそれを目の当たりにするとは思わなかった。ファンの思い込みや期待を良い意味で裏切り続けるBABYMETALの真骨頂,ライブ1本ごとに進化・成長を遂げるBABYMETALの底知れぬ可能性をこれでもかというほど思い知らされた日だった。

予想通り2日目は3rdアルバムのDisc-2完全再現。神バンドは黒装束に身を包んだ「西の神々」で,心なしか昨日よりも音がソリッドかつタイトに聴こえた。

意外だったのは日本限定盤収録の“BxMC”が披露されたこと。1日目にDisc-1から唯一“↑↓←→BBAB”だけが披露されなかったことから,日本限定盤収録の曲はセット・リストに組み込まれないと思っていた。ところが蓋を開けてみればまさかの“BxMxC”解禁。BABYMETAL史上最も凶悪なデスメタル・サウンドはメタル耳に心地よく,初めてラップに挑戦したSU-METALのパフォーマンスも堂に入っていて超クール。巨大スクリーンにはBABYMETALのライブとしては初めてリリックMVが映し出され,演出のカッコよさに拍車がかかる。

“BxMxC”は振付けもカッコよくて見応えあり。ラップ・メタルだけど嫌味な感じは全然なくて,素直にカッコよく見えた。SU-METALはサビになると「BMC」のハンドサインを繰り出しつつ全身を使って観客を煽る。このSU-METALのなりきりっぷりには心底惚れ惚れした。SU-METALの新しい一面を見た気がする。

“BxMxC”のSU-METALがカッコよすぎたのはダンスだけではない。初挑戦したラップも同様だ。特に「かまし⤴︎」「さけび⤴︎」と語尾を上げて歌うところが素晴らしかった。アルバムではエフェクト処理されていることもあってボカロのように正確に語尾が「⤴︎」と修正されていたわけだが,ライブは生歌でそれを見事にやり切った。さすがにアルバムのように正確無比ではなかったが,生身の人間の力だけで再現し得る最高レベルの出来栄えだったと思う。大健闘だ。

“BxMxC”の初お披露目はもちろん衝撃だったが,この日最大の(正確にはこの2日間,いや2017年12月以来の)メガトン級のサプライズは,最後の最後で“イジメ、ダメ、ゼッタイ”がプレイされたことだ。

2018年の〈ダークサイド〉から封印されてしまった初期のBABYMETALを象徴するアンセムが,およそ2年ぶりに披露されるというだけでもファンにとっては狂喜乱舞の事態。ところがこの日にプレイされたのはただのIDZではなく,前日の“Road of Resistance”と同じく東西の神バンドと3人のアベンジャーズが勢ぞろいするという,究極のIDZだったのだ。

私の記憶が確かなら,IDZがセット・リストに組み込まれたのは2017年12月の「LEGEND-S」以来およそ2年1カ月ぶり。古くからのファンが心の底で熱く願いつつ,でもけっして実現はしないんだろうなと半ば諦めかけていた夢が,ついに現実のものとなったのだ。場内は興奮のるつぼと化し,言葉にならない怒号と絶叫と悲鳴が混じり合ったとんでもない雰囲気だった。

ダンサーが2人から4人に増えたので,IDZの演出の修正は大変だったはず。ところがステージ上で踊るMOAMETAL,鞘師里保,藤平華乃,岡崎百々子の4人のダンサーたちの連携は完璧で,まるでもう何年もこの4人でこの曲を踊ってきたかのように自然で洗練されていた。この曲の振付けの目玉である中間部でのバトル・シーンはもちろん4人で展開されたのだが,まるで殺陣でも見ているかのような迫力に目が釘付けになった。

この上ない多幸感と驚きと感謝の気持ちに満たされつつライブ本編は終了。しかしBABYMETALはさらなるサプライズを繰り出した。

懐かしさを感じさせる「あの音楽」と「あのナレーション」と共に突如始まった「キツネ様のお告げ」。それは奇跡のIDZによって極限まで熱せられたオーディエンスを天国から地獄へと叩き落とさんばかりの衝撃をもたらした。その内容は「2020年10月,メタルレジスタンスは最終楽章となる第10章をもって終止符が打たれる」というもの。

このお告げをどう読み解いたらいいのだろう。「最終楽章」「終止符」「Doomsday」という言葉から嫌でも連想されるのはBABYMETALの解散もしくは活動停止という悪夢だ。しかし「メタルレジスタンスという活動」に終止符を打つという意味ならば,BABYMETALは別の何かをテーマにした活動をその後も続けるということになる。デュオとしての体制からの大幅な転換を含め,何かを大きく変えて活動を継続する可能性は高い。

そもそもBABYMETALはアミューズの稼ぎ頭の一角を担っていることからも解散は考えにくく,本人たちが明確に「辞める」と言わない限り続くと予想する。個人的な妄想としてはYUIMETALの復帰を挙げたい(一夜限りでも可)。

いずれにしても4月1日の「FOX DAY」にメタルレジスタンス第10章の詳細が明らかにされるようなので,その時までは適度に妄想しつつBABYMETALの今後に想いを馳せるしかない。

さて,ここからはセット・リストの順に各曲について簡単に触れていく。

IN THE NAME OF
オープニングの“IN THE NAME OF”では予想通りSU-METALとMOAMETALの他,アベンジャーズ3人を加えた5人が登場。マスクを着用して杖を持つという演出で,ステージ中央に3人,両翼に2名を配したポジショニングに見えたが,どうやら5人がV字型に並んでいたようだ。古の邪悪な宗教儀式のように禍々しくてカッコよくて,ダークサイドのオープニングは何気に大好き。

Distortion
前日のヨアキムの件があったので,もしかしたらアリッサが映像で出てくるかなとほんのちょっぴり期待していたのだが,いつも通りの演出だった。手拍子を煽る間奏部の尺が長めに取られており,SU-METALが人差し指でグルグルと円を描いてサークルピットを要求していた。

PA PA YA!!
Eブロック2列目だったので圧縮がひどく,タオルを回すのに命がけだった記憶しかない。

KARATE
“PA PA YA!!”で生じた熱気をちょっとだけクールダウンできた。しかし西の神々による演奏はただでさえ重量感があってグルーヴィなこの曲の特徴をさらに押し上げる形に。身体を休める間もなくヘドバンをし続けた。

BxMxC
世界初披露。中盤で「BxMxC」とリフレインされるパートが煽りタイムに設定されており,上述の通りSU-METALはハンド・サインで「BxMxC」を表現。観客にも真似させようとしていたようだが,残念ながら私の周辺ではほぼ無反応だった。楽器隊がプレイを止めてSU-METALのラップだけが展開するパートは非常にクールでSU-METALのカリスマ性を堪能できる。

神バンド・ソロ
昨年10月のThe Forum公演の時と同じく,“Kagerou”の前には西の神々によるソロが披露された。骨太で迫力満点のプレイには東の神々とはまた違ったテイストが感じられた。特に凄まじかったのがドラムのアンソニーのプレイ。あのスピードとパワーは人間離れしていて,まさしく神。

Kagerou
神バンドのソロに続けて披露されると,この曲のメッセージ性やダイナミズムが増加する印象を受ける。アルバムで聞くよりもライブの方が断然魅力的な曲だが,神バンドによる凄まじい「前奏」に続けてプレイされたこの日の”Kagerou”は,とてもエモーショナルだったと思う。

シンコペーション
キュートな振付けが印象的なこの曲のファンは多かったようで,“Kagerou”で少しおとなしくなった観客は再び大盛り上がり。3人いるからこそライブで披露できる曲だ。

ヘドバンギャー!!
クラシックの登場にオーディエンスは狂喜乱舞。この曲がプレイされる時にはいつも感じることだが,邪悪な宗教の儀式のような雰囲気が実にメタルっぽくて良い。間奏の煽り部分では一部のピットにいわゆる「骨」たちとカメラマンが侵入し,土下座ヘドバンを煽る様子を撮影していたとか。煽りの時間が長かったのは,そんな演出があったからなのだ(あまり目立たなかったが)。ちなみにスクリーンにはSU-METALの目元がアップで映し出されたが,あれは何を意味していたのだろう。

Starlight
Shine
Arkadia

本編ラストは“Starlight”→“Shine”→“Arkadia”という鉄壁の感動的3部作で,巨大スクリーンを生かした演出を含めて文句なしの出来栄えだった。宇宙の壮大なスケールとまばゆいばかりの光を感じさせるこれら3曲は,この日の「Light Force」というコンセプトを非常によく表現していたと思う。しかしアンコールの「IDZアルティメット・エディション」に,残念ながらこの日の全てが持っていかれてしまったわけだが。

紙芝居
大地に突き刺さったフライングVのイラストが巨大スクリーンに映し出され,物悲しいピアノのメロディが鳴り響いた瞬間,場内からは大絶叫が発生。映像で語られるセリフはかつてのバージョンとは若干異なっており,この特別な日にふさわしい内容になっていた。しかしあまりの衝撃にその内容はほとんど覚えていない。

イジメ、ダメ、ゼッタイ
上述の通り。かつてこれほどエモいIDZがあっただろうか。

紙芝居
これも上述の通り。よく考えればそんなことはないのだが,見た瞬間は「え?解散!?」と思ってしまうので,会場内は戸惑いの空気に支配されていた。

【セット・リスト】
01 IN THE NAME OF
02 Distortion
03 PA PA YA!!
04 KARATE
05 BxMxC
06 Kagerou
07 シンコペーション
08 ヘドバンギャー!!
09 Starlight
10 Shine
11 Arkadia
紙芝居
12 イジメ、ダメ、ゼッタイ

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※Bloggerからの転載です。

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