見出し画像

レビュー/祝☆再発!「BABYMETAL ARISES - BEYOND THE MOON - LEGEND - M -」見どころはここだ!

BABYMETAL ARISES - BEYOND THE MOON - LEGEND - M - / BABYMETAL
2021年11月発売(Reissued Edition / THE ONE限定)

写真 2021-11-03 21 29 44

2020年にTHE ONE限定完全受注生産で発売された映像作品が,この度めでたく廉価版で再発された。収録されているのは2019年7月にポートメッセなごやで行われたライブで,いわゆる“MOAMETAL聖誕祭”である。

もともとは写真集付きで発売されていたアイテムだが,価格が22,000円と高く,しかも同時期に「BABYMETAL AWAKENS - THE SUN ALSO RISES -」のBlu-rayも発売されたため,懐事情により泣く泣く「LEGEND - M -」の購入は断念していたという個人的な経緯があった。THE ONE限定販売ゆえ再発はないだろうと半ば諦めていたので,メモリアルなライブ作品を今回こうして入手できたのは嬉しいかぎり。それにしても,再発にあたって写真集は省かれたが,Blu-ray1枚とライブCD2枚組で定価15,400円という相変わらず強気な価格設定には若干の疑問を感じないでもないが……。

大所帯でのパフォーマンスが賛否両論を巻き起こした2018年の〈ダークサイド〉というコンセプトを経て,ついにファンの誰もが納得する3人体制のBABYMETALへと原点回帰して行われた国内2本目のライブが,この映像作品に収録されているライブである。それだけでもこの公演は多くのファンにとって特別な意味を持つものであったが,本公演は「LEGEND - M -」。影の主役はMOAMETALであり,それこそが本公演最大の見どころなのであった。

写真 2021-11-03 21 32 20

見どころの1つ目は“ヘドバンギャー!!”。この曲の途中からはMOAMETALがマイクを握り,メイン・ヴォーカルを務めた。MOAMETALは2014年の限定ライブでもこの曲を同じように歌ったことがあり,そのライブを私は会場で目撃したのだが,10代の少女にとって5年という歳月が持つ意味は実に大きいということを改めて実感させられた。

なによりもまず,MOAMETALの歌声にしびれた。アイドル系のキュートな声色ながらピッチは安定しており,芯が通っていて優しい歌声。「いい声しているなぁ」と惚れ惚れしてしまった。この5年で単純に歌うことが上手になった印象で,“オトナカワイイ”の王道を行くパフォーマンスだったと思う。

そのたたずまいも必見だ。SU-METALからマイクを受け取ってから歌い出すまでにかなりの間があったのだが,その間のMOAMETALの微笑みはいったい何を意味しているのだろう。自分が主役を務めることにワクワクしながら特別な演出を楽しんでいるようにも見えるし,「さあ,いくぞ!」と気合い充分な“不敵な微笑み”のようにも見える。いずれにしてもその堂々たる歌いっぷりは見事と言うしかなく,“ヘドバンギャー!!”がまるで元から自分の持ち歌であるかのようであった。

写真 2021-11-03 21 34 17

見どころの2つ目は,その“ヘドバンギャー!!”に続けて披露された“Shine”だ。この日に初披露された新曲で,もちろん当時は曲名すら不明だった。ステージ中央に置かれたアコースティック・ギターを冒頭で奏でるMOAMETALの姿にもびっくりしたが,その後まるでコンテンポラリー・ダンスを踊るかのようにギターを中心にして優雅かつ情熱的に舞うMOAMETALの姿を見て,言葉を失ってしまった。「こんなMOAMETAL,初めて見た……」。〈ダークサイド〉の期間中に自らのダンスを見つめ直すことが多かったと聞くが,その時の試行錯誤と鍛錬,そして経験がMOAMETALのダンス・スキルと表現力を格段に飛躍させていたことは明らかだ。

ちなみに,この曲で登場したアコースティック・ギターは神バンドとしてBABYMETALを支えてきたギタリスト藤岡幹大さんのモチーフだというのがファンの間での定説である(藤岡さんは,このライブの前年に不慮の事故で亡くなっている)。そう考えると,ギターにそっと手を置き,慈しむように優しく撫でるMOAMETALの姿は,あまりにもエモい。この曲をSU-METALとMOAMETALの2人だけで演じたのは,この時が最初で最後である。“3人目”を登場させなかったのは,長らく共に戦ってきたSU-METALとMOAMETALの2人だけで藤岡さんを弔いたかったからなのかもしれない。

最後に,このライブのサポート・ダンサーを務めた藤平華乃さんにも少しだけ触れておく。

ライブ・ビューイングの感想レポートにも書いたが,元気溌剌の藤平華乃さんの姿がとにかく眩しい。3人のアベンジャーズの中では個人的に一番好きかもしれない。初々しくて真っ直ぐでひたむきで常に全力。汗だくになりながら笑顔で踊るその姿は,初期の頃のBABYMETALに最も近いと思う。

写真 2021-11-03 23 04 18

【収録曲】
01 Road of Resistance
02 メギツネ
03 Elevator Girl
04 Distortion
05 Shanti Shanti Shanti
06 Starlight
07 シンコペーション
08 ヤバッ!
09 PA PA YA!!
10 ギミチョコ!!
11 KARATE
12 FUTURE METAL
13 ヘドバンギャー!! feat.MOAMETAL
14 Arkadia

※Bloggerからの転載です。

いいね!と思ったら投げ銭感覚でサポートを!よろしくお願いします🔥