見出し画像

フェス参戦レポ/6年ぶりに復活した鋼鉄音楽の祭典LOUDPARK

あのLOUDPARKが6年ぶりに帰ってきた。2017年を最後に休止状態にあった日本最大のヘヴィ・メタル・フェスティバル「LOUDPARK」が,6年ぶりに限定復活したのだ。しかもヘッド・ライナーは奇跡的な復活を遂げたメタル界の革命児Panteraだ。久しぶりのLOUDPARKというだけでも胸熱なのに,生ける伝説と言っていいPanteraが降臨するとなれば,これはもう参戦しないわけにはいかない。

というわけで,以下は喜び勇んで6年ぶりに参戦した2023年3月26日に幕張で開催されたLOUDPARK参戦記である。レポートと呼べるほどたいそうなものではなく,各バンドのステージを見たひと言感想集のようなものだが,忘備録的な記録として残しておく。

最終ラインナップ

JASON RICHARDSON & LUKE HOLLAND
初見。超絶技巧で凄かった。ギターとベースでここまで魅せるスキルに脱帽だ。しかも事実上のトップバッターでありながら,すでにかなりの轟音。 LOUDPARK ってこうだったよなあとしみじみ。腹に響くサウンドが心地よい。

H.E.R.O.
このバンドも初見。スリーピースなのにサウンドが分厚くてビックリした。

OUTRAGE
カッコいいのひと言につきる。テクニカルな問題があったのか,終始ヴォーカルが聞き取りにくかった。私がたまたまそう聞こえる位置にいただけかもしれないが。

OUTRAGEが渾身のパフォーマンスを見せているのに,会場内がやや盛り上がりに欠けるというか,オーディエンスのボルテージが上がりきっていない印象を受けた。みんなPANTERAまでパワーを温存しているのか?などど思ったり。

BLEED FROM WITHIN
これまた初見。全力パフォーマンスとビッグなサウンドで会場を大いに盛り上げたと思う。モッシュ/ダイブは禁止ですとさかんにアナウンスされる中,ヴォーカルのスコットが客席にダイブして歌っていたのには笑った。フェスにはこの手のノリが必要。

Amaranthe
この日のお目当て1組目。2014年のLOUDPARKと2019年のDOWNLOAD JAPANで見て以来,3度目だ。

トリプル・ヴォーカルはいつ見ても壮観。エリーゼがゴージャスなせいもあるが,会場の雰囲気が一気に華やかになる。ダンサンブルなアゲアゲ曲の連続に,私がいた一般前方エリア大盛り上がりだった。

CARCASS
さすが「リヴァプールの残虐王」。その名に恥じない暴虐サウンドと鉄壁の演奏には鬼気迫るものがあった。きらびやかなAmarantheの後だっただけに,その凶々しさがいっそう強烈に感じられた。この辺りから観客も多くなってきた気がした。

Tokyo … that was incredible! Thank you for your energy! We will be back! 🇯🇵 #carcass #tokyo #loudpark #loudpark2023 #japan #tornarteries #metal

Posted by Carcass on Monday, March 27, 2023

STRATOVARIUS
王者の貫禄。大ベテランらしい観客掌握力はさすがだ。鉄板曲“Black Diamond”と“Hunting High and Low”も確かに素晴らしかったが,高速美麗なインスト曲"Stratosphere"に特にしびれた。

NIGHTWISH
今回のお目当て2組目。NIGHTWISHのライブを見るのは2016年の単独公演とLOUDPARK以来となる3回目。大好きなバンドということもあり,唯一無二の世界観に思いっきり陶酔した。シンフォニックな素晴らしい楽曲をライブとは思えないクオリティで完全再現する演奏スキルはさすがのひと言。音量がやや抑えめだったことも「聴きやすさ」という点では良かったと思う。神曲“Ghost Love Score”で締める“いつものNIGHTWISH”に胸がいっぱいになった。

最後に出てきたバックドロップにはスカイツリーや都庁など東京を象徴する建造物が描かれていたが,これはおそらく中止になってしまった1月のJapan Tourで使う予定のものだったのでは。それにしても乳がんの治療をしたばかりのはずのプロールが元気そうで良かった。

KREATOR
スラッシュ・メタルは永遠に不滅。メタル・フェスでは絶対に欠かせないと痛感した。2014年のLOUDPARKでその煽動力の高さに度肝を抜かれたが,そのアジテーションは9年経ってもまったく衰えていなかった。その最大の要因は,ややヒステリックなミレのヴォーカルにあることは明らかだ。衰えしらずの強靭な声は,スラッシュ・メタルの象徴だ。ウォール・オブ・デスやサークル・ピットをさかんに煽る姿も最高にクールだった。

KREATORの一員としては初来日となるフレデリクもカッコよかった。ヘドバンをかましまくる激しいアクションはステージ映えしまくっていて,会場の雰囲気を大いに盛り上げたと思う。ひと目でそれと分かる歴代アルバムの禍々しいアートワークをバックドロップに用いていたのも良かった。

Pantera
今年のLOUDPARKはPanteraのために開催されたと言っても過言ではない。事実上,Panteraのワンマン・ライブ。他の9組のバンドはみんな前座だったのかと錯覚してしまうほど。それくらい圧倒的だったし,観客も盛り上がっていた。1990年代にメタルの歴史を塗り替えた伝説的バンドのライブを,まさか2023年になって見ることができるとは。こんな幸せなことはない。

セット・リストは「Far Beyond Driven」からが気持ち多めだと感じた。全米1位を記録したモンスター・アルバムだから,当然といえば当然のことなのかもしれない。すべてがハイライトだったが,個人的に最もカッコよくてグッときたのは“Walk”である。

サンウドは轟音の極み(しかも"あの音"である)。イヤー・フラグを装着していなかったら,たぶん耳が死んだと思う。それくらいラウドだった。しかしバランスがやや悪く,肝心のギターの音が聞き取りにくかった。これもまた私の立ち位置の問題かもしれないが……。

誰もが実現不可能だと思っていたPanteraのリブートを現実化してくれたザック・ワイルドとチャーリー・ベナンテの献身には感謝しかない。ザックはザックだったけど,チャーリーはヴィニー・ポールに見える瞬間が何度かあった。

そしてフィル・アンセルモである。無敵を誇った若き頃に引けを取らない怒号と怒気を強烈に放つ一方で,曲と曲の合間にしゃべりながらふと見せる柔らかで楽しげな表情が実に印象的だった。

今のメンバーで新曲を作ってほしいとかアルバムをリリースしてほしいなどとは思わない。Panteraのレガシーを後世に引き継ぐために,1日でも長くツアーを続けてほしい。ただそれだけである。

東京会場のタイムテーブル
AMARANTHE
NIGHTWISH
NIGHTWISH
KREATOR
KREATOR
Pantera
Pantera


いいね!と思ったら投げ銭感覚でサポートを!よろしくお願いします🔥