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ライブレポ/継続開催を希望!BABYMETALの「DARK NIGHT CARNIVAL」

2018年10月31日 Text by Kotaro MASUDA a.k.a. TAROO-METAL

■会場到着&物販
この日のグッズ販売開始は11時。5分前に待機列に並んだが,幕張の時と同様列はあまり長くはなかった。2015年の「新春キツネ祭り」の時は朝9時前に会場に着いた時点で列はすてに会場を1周しており,4時間並んで買ったことを覚えている。あの異常な状況に比べれば,ずいぶんと普通になったものだ。とはいえ日曜日のライブということもあり,幕張の時より並んでいる人数は多そうだった。

販売は予定通りの時刻に始まったようで,列は小刻みに前進。結局並んでから約100分後,12時40分頃にはお目当てのTシャツをゲットできた。その他にリュックも衝動買い。デザインが良い意味で普通っぽくて幕張公演の時から気にはなっていたのだが,決定打に欠けていたので購入は控えていた。ところがこの日会場でこのリュックを背負う人を多数見かけて,改めてその普通っぽいデザインにひかれて結局購入となった次第。

その後はしばし会場周辺を散策して感じたのだが,会場周辺の雰囲気がいつものライブとは違っていたように思う。どことなくのんびりしていて,楽しげで,お祭り感が強かった。思い思いにコスプレしている人が多いせいもあったかもしれない。みんなが一様に白塗りする「白ミサ」とは異なり,にぎやかで雑然としたゴチャゴチャ感があった。これぞまさしく「カーニバル」。

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■入場&着席

14時50分頃に入場口となるAゲートに到着。特に大混雑,大混乱になることもなく,予定を10分近く過ぎた15時10分頃になってようやく入場開始。座席指定券を受け取り,金属探知機によるチェックを受けて,いざ客席へ。

手元の座席指定券には「200レベル 213扉,23列」とある。着席して会場を見渡し,まず感じたのは「ステージが遠い」ということ。幕張公演1日目も遠かったが,ステージからの距離で言えばPAよりもわずかに前方だった。しかしこの日はPAよりも後方。ステージ対面のスタンド席1列〜3列目あたりと同等の距離だったのだ。とはいえ23列目なので比較的前方だし,しかも幕張とは異なり下手側。別角度からステージ全体が見渡せるという意味では良席と言えるだろう。

SSAのPitは幕張よりも明らかに狭かったと思うのだが,それはスタンドの両サイド最前に可動式のスタンド席を用意していたためだと思う。Pitにしては手狭なため,サークルやウォール・オブ・デスはかなり作りにくそうだった。それでもPitのオーディエンスは頑張って大きなサークルと巨大なWODを作っていたのだが。

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■Galactic Empire

ほぼ定刻の16時30分に場内が暗転。「Dark Night Carnival」オリジナルのキャッチ映像が流されたあと,帝国軍の面々がステージに登場した。

パフォーマンス半ばで幕張公演の時と同じくデス・スターを模したバルーンが1個,Pitに投じられた。しかしバルーン遊びは長続きせず,1分〜2分ほど前方ブロック内を飛び跳ねただけ。幕張1日目よりは続いたが……。通路にいた係りの人は,もっと気を使うべきだったと思う。Pitから飛び出たバルーンを回収するのが早すぎた。

驚いたのはオーディエンスの反応。明らかに幕張公演1日目よりも盛り上がっていた。2公演をこなし,その様子がSNSで拡散・共有されたことにより,この日がはじめての「帝国軍体験」となる人たちにとっても勝手が分かっていたのだろう。幕張で感じられたどことなくギクシャクした感じや,どう反応したらいいのか分からないという戸惑いは,ほぼ皆無。それまで出会ったことのなかったアーティストとオーディエンスがBABYMETALを介して友達になり,もはや同志であるかのような空気が会場内に満ちていたことが印象的だった。

銀河帝国軍のパフォーマンスは30分ほどで終了。幕張1日目の45分は正直少し長いと感じたので,この措置は大正解だ。中だるみせず,最後まで締まった展開になったと思う。オーディエンスとの絆を感じさせる素晴らしいショウだった。

■Sabaton
Galactic Empireのステージが終わってからおよそ30分が経過。満を持してウォー・メタルの雄Sabatonが登場。会場内からは待ってましたとばかりにGalactic Empireの時よりも数段大きな歓声が上がった。

45分のショウは圧巻のひと言。代表曲をギュッと詰め込んだセット・リストはこの日がSabaton初体験の人には申し分ないものだったに違いない。MCでは恒例の「バカ!」ネタも披露するなど「らしさ」前回。そして何より,満員の観客のノリの良さに心の底から感激しているヨアキムの姿や,満面の笑みをたたえてプレイする各メンバーの楽しげな様子がBABYMETALファンの心をわしづかみ。コワモテのビジュアル・イメージとは正反対と言っていい彼らの人柄の良さが,パフォーマンスのそこかしこからにじみ出ていたと思う。

終わってみれば,今夜はもはやSabatonの単独公演かと思ってしまうほどの盛り上がり。バンドとオーディエンスによって生み出された一体感は尋常ではなかった。“Swedish Pagans”での大合唱や“To Hell And Back”での手拍子&一斉ジャンプなどはその象徴。2015年に待望の初来日を果たしたLOUDPARKでの伝説的パフォーマンスを超える充実度だったのではないか。正直に告白すると,Sabatonを見終わった時点でもう帰ってもいいと思ってしまうくらいの満足感だった。

■BABYMETAL
充実のSabatonを超えなきゃ主役の名が廃る。BABYMETALは自らハードルを上げた感じだが,自身の名を冠したフェス「Sabaton Open Air」を主催するほどの歴戦の勇者を向こうにまわして,いったいどれほどのパフォーマンスを見せるのか。幕張公演1日目との比較を含めて,期待は非常に高まった。Sabaton終了後20分ほどで,ついに新生BABYMETALの日本国内3公演目が始まった。

何はともあれ,この日のハイライトは,幕張公演のセット・リストから1曲だけ差し替えて披露された“META!メタ太郎”に尽きる(“GJ!”の替わり)。この曲では「3つのサプライズ」があった。

まず,曲の前に幕張ではなかった「紙芝居」が久しぶりに流された。これが1つ目のサプライズ。私を含め多くのファンは「何かが起こるかも」という期待感を極限まで膨らませたのではないか。(ちなみに,この記事を書いている今になって,この紙芝居はもしかしたら幕張でも使われたのではないかと思い始めている。どうも記憶が定かではないので,間違っていたらご容赦を。)

2つ目のサプライズは,冒頭のYUIMETALのパートをSU-METALが可愛らしく歌ったこと。今年のツアーではたとえば“ギミチョコ!!”のようにMOAMETALがYUIMETALの役割をカバーすることが基本だったので,ごく自然にSU-METALが歌い出した時は一瞬何が起きたのか分からなかった。

そしてこの曲3つ目にして最大のサプライズは,途中のコール&レスポンスでGalactic Empireのダース・ベーダーとSabatonのヨアキムがステージ上に姿を見せたこと。SU-METALが英語で紹介する中,ダース・ベーダーは赤いライトセーバー,ヨアキムは(なぜか)バズーカ砲を持って登場。SU-METAL,MOAMETALと共にステージ前方に集まると,4人は小さなステージに乗せられて高々とせり上がった。

ダース・ベーダーの腰に手を当ててピョンピョン飛び跳ねるMOAMETAL。「してやったり」という感じでお茶目に破顔一笑するSU-METAL。スマイルしながらも「なぜ俺はここにいるのか」と若干の戸惑いが感じられなくもないヨアキム。無機質なマスクの下ではどんな表情をしていたのか大いに気になるダース・ベーダー。あまりにも特別なこの演出を目の当たりにしたオーディエンスは万感の思いを込めて天高く拳を突き上げ,「オーオーオー」と声を張り上げたに違いない。

一つだけ残念だったのは,ゲストの2名が特に歌うわけでもなく,ささやかに観客を煽っただけだったこと。できればヨアキムには野太い声で「オーオーオー」と歌ってほしかったので,ちょっと拍子抜けだった。もともとBABYMETALのライブはその性格上どうしても型にはまりがちなので,今後はせめて特別な日に限定した上でもうちょっと大胆かつフレキシブルに振り切ることがあってもいいのではないかと思う。たとえば,この日の”META!メタ太郎”のバックバンドを丸ごとSabatonにしてしまうというような。

とはいえ,「Dark Night Carnival」ではSabatonやGalactic Empireの面々とのコラボがあるんじゃないかと勝手に期待していたので,顔見せ程度ではあったとしてもこの特別な演出は素直に嬉しかった。転換期にあってセンシティブな状況にある今の新生BABYMETALにとっては,ダース・ベーダーとヨアキムをステージ上に引っ張り出すのが精一杯の遊び心だったのかもしれない。

その他に気づいたことをいくつか列挙しておく。

幕張1日目に比べてSU-METALがとてもリラックスしていた印象を受けた。随所に笑顔が見られ,特にゲストの2名を紹介した時にはまるでいたずらっ子のようにニコニコ。この手のサプライズが本当に好きなのだろう。お祭り気質なB型の面目躍如か。

そのSU-METAL。肝心のパフォーマンスは明らかに幕張1日目よりも良かったと思う。新体制でのスタートが上手くいった手応えを幕張でつかんだ上で,この日の公演に適度にリラックスして臨めたことが大きいのではないか。具体的には特に“紅月-アカツキ-”と“THE ONE”の歌声が絶品だった。もはや至宝である。“THE ONE”にはいったいどのような思いを込めて歌っていたのだろう。冒頭のアカペラ・パートが非常にエモーショナルだった。

そしてMOAMETAL。この日のセット・リストにはBLACK BABYMETALの曲が1つもなかったので,新生BABYMETALにおけるMOAMETALの立ち位置と存在意義がより一層薄れてしまった夜だった。この日はあくまでも「Extra Show」だから例外的だとは思うが,持って生まれた人懐っこさと華やかな雰囲気は「one if them」にしてしまうにはあまりに惜しい。今後の演出に期待だ。

SU-METALとMOAMETALを支える5人のダンサー達はMVP級の大活躍だった。遠目に見ても彼女たちのダンスにはキレがあり,しなやかで力強かった。時折スクリーンに映し出される表情は生き生きとしていて,心からこのステージを楽しんでいる様子が手に取るように分かった。SU-METAL&MOAMETALとのコンビネーションも完璧で,昔からのメンバーだったかのような一体感。これぞプロフェッショナル。しかも要所要所で歌っていたことがファンとしては何よりも嬉しかった。この5人は正真正銘BABYMETALの一員であり,まさしくTHE ONEなのだ。

最後に,BABYMETALの屋台骨である神バンド。この日の構成はギターが上手にISAO氏,下手に大村氏。ベースはBOH氏。ドラムは当初誰だか分からなかったのだが,後に元FACTのEiji氏であることが判明した。ちなみに「ドラムが下手すぎる」とTwitterで話題に上がったが,私自身はそこまで下手とは感じなかった。たしかに時に不安定になる場面があったのは事実だが,それはライブならばどのバンドにも起こりうるレベルのことだったように思う。むしろ青山氏のプレイ・スタイルに慣れ過ぎてしまい,Eiji氏のスタイルを個性と捉え切れず,無意識のうちにそこに違和感を感じてしまったのではないか。

そんな神々が奏でるサウンドは,明らかに幕張公演よりもバランスが良かったと思う。会場の違いも大きく影響していただろうが,幕張では埋もれ気味に感じたギダーはきちんと聴こえたし,全体的に低音が効いていて迫力あるサウンドだった。ただ,Sabatonの方がメタルの名にふさわしい轟音だったのも事実。いつも思うことだが,BABYMETALのライブはまだ絶対的に音圧が足りないのだ。

幕張公演1日目に参戦した感想を綴ったブログにも書いたが,今の私の最大の関心事は「7人体制のBABYMETALが今後のスタンダードになるのか」ということ。キャパ2,000人規模の会場のステージだとさすがにこの大所帯は厳しいと思うので,おそらく再編成される線が濃厚だ。発売が待たれる3rdアルバムも含めて,キツネ様からの次なるお告げを楽しみにしようではないか。

【セット・リスト】
BABYMETAL WORLD TOUR 2018 in JAPAN
EXTRA SHOW “DARK NIGHT CARNIVAL”
2018年10月28日(日)
さいたまスーパーアリーナ

01 IN THE NAME OF
02 Distortion
03 ギミチョコ!!
04 Elevator Girl
05 紅月-アカツキ-
06 Starlight
07 META!メタ太郎
08 メギツネ
09 KARATE
10 Road of Resistance
11 THE ONE - English Ver. -

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*アメブロからの転載です。

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