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ラグビー観戦

 2019年のワールドカップ日本大会で、ラグビーに注目が集まったおかげで、多くの方がルールを学び、どうやって観戦を楽しめば良いのか?
経験済みかと思います。

が、もう4年前のことだし、もう忘れたーという方もいらっしゃるかもしれません。

そこで、簡単なルールというか、観戦の楽しみ方をお伝えしておきます。

+++++ 大雑把なルール +++++

まず、ラグビーは、フットボールです。
実は、サッカーと源流は同じなのです。
喧嘩別れみたいな感じで分離して誕生したのが、サッカーとラグビーという感じです。

・常にボールが見えるよう密集での奪い合いを禁じたのがサッカー
・ボールを奪い合うことこそが醍醐味として密集のルールを厳格化したのがラグビー

だと思ってもらえば良いです。

ですから、どちらも手を使うことに制約が発生します。

サッカーは、ノーハンド。

ラグビーは「手で」ボールを敵ゴールへ近づけることを禁止する

というものです。

ですから、ラグビーでは、

・スローフォワード : 敵ゴールに近づく方向へ手でボールを投げる反則
・ノックオン    : 敵ゴールに近づく方向へボールを落した反則

が、存在するわけです。

では、どのようにしてボールを敵ゴールに近付け前へ進めたら良いのでしょうか?

答えは、「足」です。

だから、ラグビーもまた「フットボール」と呼ばれるわけです。

キックであれば、いくらでも前にボールを運んで構いません。
ボールを持ったまま、足を使って走ってボールを運ぶのもOKです。

☆とにかく「足」を使って前に出る。

これが、ラグビーの大原則です。

次の原則が、

☆必ず立ってプレイする。

というものです。
膝をついたり寝転んだりした状態のままプレイすることは禁じられています。

ありとあらゆるプレイ(ボールに絡む行為)が、必ず立った状態で行なわれます。
グラウンドに寝転ぶ状態になっている選手は、一切プレイが禁じられています。

そして、最後。

ラグビーはボールを奪い合うことを楽しむスポーツです。

ですから、セットプレイ(反則後のプレイ再開の方法)は

☆常に公平にボールを奪い合えるような形

で行なわれます。

以上の3点を知っておけば、あとは流れに身を任せて観戦していても十分に楽しめます。

+++++  得点のルール  ++++++

でも・・・もう少し、知っておいた方が楽しいですよね?
そこで、得点の数え方について説明します。

ラグビーもサッカーと同じで、キックでゴールにボールを放り込むことで得点を重ねるスポーツです。

トライは、元々はキックでゴールを狙う権利を得るための行為でした。
だから、ゴール(到着点)ではなくトライ(挑戦権)と呼ばれたのです。

トライ(挑戦権)することで、ゴールキックにコンバージョン(転換)し、得点を狙えるようになるので、トライ後のゴールキックをコンバージョンキックと呼ぶようになったのです。

1886年、ラグビーの初期時代では、
トライ1点 ゴールキック3点という配分だったのです。

でも、トライを奪うのって大変だよね。
隅っこにトライしたら得点ほとんど入らないじゃん!?
となり、

トライ2点 ゴール3点
トライ3点 ゴール2点
トライ4点 ゴール2点

と変化していき、

☆1992年に、現在のトライ5点 ゴール2点になったのです。

ですから、私の学生時代は、トライ4点ゴール2点だったんです。w

他にもオンプレイ中に、地面にバウンドさせたボールを蹴ってゴールするドロップゴール
反則の際にプレースキック(地面に置いて蹴る)でゴールするペナルティキックがあります。

この二つのキックでは得点が3点与えられることになります。

以上が得点の獲得方法です。

+++++++ 陣取り ++++++++

ラグビーはボールの奪い合い をするスポーツですが、
得点を重ねるためには敵ゴールに近づかなければなりません。
そこで重要になるのが、陣取りです。

いかに敵陣地内でボール争奪戦を展開するか? がゲームを組み立てる上で重要になってくるわけです。

ですから、観戦中、敵陣地内で戦う時間が多い方が、有利に試合を進めていると判断することが出来ます。

この陣取りをするために考えられる作戦が、「走る」「蹴る」となります。
多用されるのが、「蹴る」です。
理由は、スタミナを温存しやすいことと相手の防衛ラインを崩しやすいことです。
ガッチリと防衛ラインが敷かれているところに走って切り込んでいくよりも、キックで揺さぶりをかける方が効果的なのです。

他に、地域を進めるためのタッチキックというのもあります。
相手側のボールでのラインアウトになってしまいますが、地域が前へ進んでいる分、ボール争奪ラインも前に進んでいますので、走って地域を稼ぐより有効になりやすいのです。

だから、キックの応酬というのが結構多く見られますし、風上と風下でキックの使い方も変わってきます。

いずれにせよ、プレイが一旦中断させられますので、選手にとっては呼吸を整え、次の攻防パターンを味方と確認しあう時間に充てたり出来ます。

ここで、中断した状態から復帰するための セットプレイについて、触れておきます。

+++ セットプレイ +++

+++ ラインアウト +++

ボールがフィールドの外に出ると、ラインアウトというセットプレイが行なわれます。
※)たまにクイックスローという変則技を使うこともありますが、滅多に見ることはありません。

ラインアウト

敵味方に有利不利とならないように、ボールは必ず両チームの真ん中に投げ入れられます。
※)真ん中に投げ入れなかった時は、ノットストレートの反則となります。

もちろん、投げ入れるチームは投げ入れるタイミングや高さをきちんと打ち合わせていますので、たいてい、投げ入れるチームがボールを獲得することになります。

ラインアウトのあと、ラックモールという密集プレイに移行することが多いです。(密集プレイはのちほど説明します)

もう一つのセットプレイ。ラグビーの代名詞であるスクラムをご説明します。

+++ スクラム +++

スクラムは、両チームのFWが一丸となって押し合い足でボールを奪い合います。
ボールの奪い合いこそラグビーの醍醐味ですので、厳格なルール・作法が設定されています。
ですから、対等な奪い合いの場であるスクラムを崩す行為は、コラプシングの反則となります。
また、スクラムで押し込まれると、スクラムが回転してしまうことがあります。
90度以上スクラムが回ってしまうと、ホイールとなり、再度スクラムを組みなおすことになります。

スクラム

スクラムの中に投入されたボールは足で奪い合うことになります。
そのため、2番フッカーと呼ばれる選手が活躍することになります。
残念ながら、観客はスクラム内部でのボールの動きを見ることは出来ません。

スクラムを見るときは、3番(最前列の最右翼)が押し込まれるかどうか?

に注目すると良いでしょう。
ここが押し込まれると不利になるからです。
直接得点に結びつくプレイにはなりにくいのですが、スクラムで優位に立ったチームの方が有利になりやすいので、注目しておくといいでしょう。

最後に

+++ 密集プレイ +++


の説明をしておきます。

+++ ラック +++

タックルを受けた選手が倒れた場合、ラックという密集プレイに移行することになります。
そこに敵側が突っ込んでジャッカル(ボールを奪う)を仕掛けてくるわけですが、味方はこれを素早く阻止するためのフォロー(敵プレイヤーと押し合い)に入ります。


ラック

タックルで倒された選手の手前にボールが転がっています。
これは、立っていない選手はプレイしてはいけない、というルールによるものです。
もし、倒れた選手がボールを持ち続けていたら、ノットリリースザボールの反則を取られることになります。
一方、倒れた選手の味方が相手を押し返しているのが見えます。
倒れた選手の上からジャッカルされるのを防ぐためです。
このせめぎ合いの最中に相手陣内へ倒れ込んでしまうと、倒れ込みの反則を取られてしまいます。

ラックによりボールキープが成功すると、タイミングを見計らってボールが味方にパスされ、プレイが継続されていくことになります。

この時、ラックで、どちらがボールを持っているのか?

を判断するには、ラックの後方に控える選手たちの並び方に注目しましょう。
雁行のように斜めに並んでいるチームが、ラック内でボールを保有しています。
一方、横一線に近い形で並んでいる方が守備側で、ボールを保有していない方になります。

もう一つの密集プレイが、

+++ モール +++

です。

モ-ル

ラックと異なり、ボールを持った選手が立った状態にあります。
この状態で、相互の選手が押しくらまんじゅうのように押し合いへし合いをします。
モールは、故意に崩せばスクラムと同じでコラプシングの反則になります。
したがって、モールを壊さずに無効化しないといけなくなるのです。

攻撃側はモールが2回止まるまで押し続けることが許されます。
防御側はモールを2回止めるしか選択肢がありません。
2回停止すれば、ボールを外に出さなければいけないというルールがあります。

モールは、ラックと比べると試合中に見ることが少なくなります。
コントロールが難しいのと、ラインアウトからの派生以外では、ほとんど発生しないことが原因です。
でも、ゴール前でラインアウトが形成される試合では、モールが発生しやすいので、拝めるチャンスがあれば楽しみましょう。

日本代表は伝統的にモールが得意ですので、ゴールライン手前のラインアウトがあれば、果敢にモールで押していく時があります。

私が高校時代に記虎先生から教わったのが、ドライビングモールでした。
ボールを持って立っている選手からボールを譲り受け、入れ替わるという技です。
押す方向を変化させて相手チームの力の集中点をずらしてしまうことが狙いです。
相手の力の集中が殺がれると、こちらのモールを止められなくなってしまうからです。

モールは、どこに力を加えていくのか?

を瞬間瞬間で判断し、実行していかないといけませんし、チームが一丸とならなければ十分な威力を発揮できません。
非常に難しいプレイですが、決まると物凄く面白いプレイになります。

+++ 最後の最後に +++


ゴチャゴチャと細かいことを書き連ねましたが・・・

泥臭いまでに愚直に。
体を張ってみんなのために。
敵・味方・審判・観客が最高のプレイをエンジョイする。

これがラグビーです。
細かいルールの運用は審判が。
敵も味方もお互いがお互いをリスペクトしあい、信頼し合い、最後の最後まで全力でプレイし、観客と共に、その場を最高の舞台に仕上げる。

勝ち負けも大事ですが、それ以上に、いかにコンタクト(ぶつかり合い)を通して、自分のこれまでの努力を出し切るか?
そこに命をかける熱い男たちの集まりを堪能して欲しいと思います。

しがないオッサンにサポートが頂けるとは、思ってはおりませんが、万が一、サポートして頂くようなことがあれば、研究用書籍の購入費に充当させて頂きます。