見出し画像

誘導しすぎ

 高齢者の事故割合が増加したといういかにも高齢者の運転に問題があるかのような記事に違和感をおぼえました。

基本的に人口が多い高齢者比率が全体の中で上がっていくのは、当然のお話になります。
それを踏まえた上で数字を見なければいけません。

ここで、別サイトを紹介します。

出典:警視庁

上図のように事故率で考えるのなら、若者の事故率の方が高いです。
たしかに、認知機能や運動機能の衰えで中高年層よりは事故率が高くなっていますが、若者世代よりはるかに事故率は低いです。
さらに、一人当たりの事故発生件数(一人当たり事故率)は、下図のように減少しています。

出典:警視庁

なのに、冒頭の記事のように高齢者の事故が増えているというイメージが出来ているのでしょうか?

原因は、 マスコミによる誘導記事 にあります。

高齢者の人口比率が増加中である以上、事故率が下がっても事故件数が下がるとは限らないのです。

単純計算してみましょう。
お年寄りの数が100人から150人になりました。
事故率が10%から8%に減りました。
では、事故件数はどうなったでしょうか?

人口100人 x 事故率10% = 事故件数10件
人口150人 x 事故率8%  = 事故件数12件

はい。事故件数は増えていますね。
このように条件によっては事故率が減少しても事故件数が増えることは、普通にありえるわけです。

ましてや、人口比率です。16~24歳は1200万人。
75歳以上のお年寄りの人口は3467万人。
25~74歳までの人口は7584万人。

年齢別の運転免許取得者数のデータは不明ですが、
単純に
若者層 : 9.8%
中高年層:61.9%
高齢者層:28.3%
という人口比率になります。

一方、事故件数の比率を比較すると
若者層 :26.7%
中高年層:51.9%
高齢者層:21.7%

となります。

若者層が突出して多いため、中高年層と高齢者層の数字が下がることになったわけです。
ということは、中高年以上は人口比率で考えると妥当な範囲内。

若者層に事故が多い。

という結論が導き出されるわけです。

この結論は、異常なものではなく、ごくごく普通の当たり前のことです。
当たり前すぎて記事にならない。
だから、記事になるように高齢者にクローズアップしたのでしょうけれども・・・

むやみにお年寄りを悪者にする風潮をやめにしませんかね?

自分たちの父母祖父祖母に当たる方々に変なレッテルを貼るのは悲しいことだと思いますので。

しがないオッサンにサポートが頂けるとは、思ってはおりませんが、万が一、サポートして頂くようなことがあれば、研究用書籍の購入費に充当させて頂きます。