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まいむまむ先生へのお返事

コメント欄では字数が足りないと思われましたので、記事として回答させて頂きますね。

元記事は、下記です。

そもそもは、トインビーの国が亡びる三要件について。

  1.  理想を失ったとき

  2.  歴史を失ったとき

  3.  物事を数量で見るようになったとき

としたというお話をしました。

1)は、失われた30年を経て、今なおあがき続ける日本人は、戦後の「日本復興」という理想に燃えた時代と異なり、何をすればいいのか? 良く分からないという時代になりました。

2)は、自国の歴史をないがしろにし、自虐史観なるものまで生み出しています。
聖徳太子非実在説なんかは、亡国の発言と言えるぐらい衝撃的でした。

こんな感じで、上の2項までは、比較的簡単に皆さんの納得が得られる内容になるかと思います。

その一方で、3番目の項目については、意味不明になるかな? と思いました。

そこを、まいむまむ先生がキッチリと抑えて下さり、質問してくださいました。
※)さすがです。

そこで、私は、以下のように回答させて頂きました。

タイパやコスパ重視で、正解だけを追い求め、プロセスを無視すること。
失敗を恐れ、挑戦や試行錯誤をしなくなること。
金銭や評点にならない行為(主婦による出産・育児・家事・介護)を無価値としてしまうこと。
人のやさしさに基づく利他の行為や人のつながりといった数字で価値があらわせないものがおろそかになっていくこと。

人々が金や数字でしか価値を見出せなくなることで、国家としてのまとまりが失われるということをトインビーは言いたかったのです。

コメント欄での回答

目に見えないもの・数値化が困難なもの を無価値と切捨ててはいけない、というお話です。


 まいむまむ先生は、さらに突っ込んで、ファクトフルネスの観点を引き合いに出してくださいました。

ファクトフルネスとは、世界を正しく見るために、数字やデータをしっかりと用いる。思い込みを無くす。

という思想方針です。

実は、私が私塾・松賢堂で教えているテーマが、まさに

世界を正しく見ること

です。

だから、松賢堂とは仏教の正見道の漢字変換で出来ているわけです。
※)どちらも「しょうけんどう」と読みます。

正しいものの見方とは何か? というものです。

さて、上述のように、ファクトフルネスもまた世界を正しく認識したいという目的から誕生した考え方ですね。
ただ・・・松賢堂では、ファクトフルネスは科学万能主義の偏った見方を内包しているという評価をしています。
※)もちろん、立脚点としては素晴らしいですし、データで解析するのもまた大事な事です。

ですが、その数字、データは果たして事実だと言い切れるのだろうか?
となると、言い切れないんですよね。
中国の公表データのように事実を反映していないデータということもありえます。
経産省から、今年の事業活動に関するデータの回答を求められることがありますが、「経産省の指標では書けない・書きようがない・現実に即していない」ことだらけです。

つまり、我々がマクロとしてとらえているデータは、ミクロで見れば捏造や歪みが加えられたものの総体を見ているようなものです。

ですから、松賢堂では、数字やデータを重視はしますが、

そこには必ず歪みのベクトルが潜んでいる

という風に考えています。

というか、人間である以上必ず恣意的なものの見方に陥っている、とします。

つまり、常に偏りのない見方をするために、偏りがないと思われるものの見方を否定し続け、それらを積み上げていくという考え方です。

きちんと数字やデータに基づいて思考はするけれども、必ずしも、基いたデータが正しいとは限らない、と。
そして、目に見えない、数字にしづらいものの存在が人々の動きに影響を及ぼしていることも勘案します。

主婦の家事という数値化しづらい経済活動について数値化を目指すのも一手ですし、分かりにくい親切心とか嫉妬心による助力や阻害行為もまた様々な箇所で発生していると捉えます。

我々は、決して世界の本当の姿は捉えることが出来ない。
それが出来るのは全知全能の神様以外にありえない。
だからといって、神様に丸投げで何もしないというわけにはいかない。

人が人としてより良く生きること。

そのためには、自分が偏ったものの見方をしていると、常に自覚すること。
常に自分自身の偏りを自覚していると、他者の偏りに対し「寛容」でいられる。
その「寛容」さこそが、社会を円満にし、争いのない穏やかな世をつくる礎になる。

松賢堂の思想原点


松賢堂の学問は、間接的には世を救う学問であれかし、というものになります。

なお、ファクトフルネスが間違った考え方というわけではないです。
私の場合、そこから少し違う路線に行ってしまった感はあります。

しがないオッサンにサポートが頂けるとは、思ってはおりませんが、万が一、サポートして頂くようなことがあれば、研究用書籍の購入費に充当させて頂きます。