AI vs 教科書が読めない子供たち(新井紀子)

東洋経済新報社 国立情報学研究所教授

本日読了。最初に登場したRSTの例題を間違えてしまった自分にショックを受け、読み進む意欲が回復するまで少し時間を要したが何とか最後までたどりつく。

数学者として論理と立場が一貫していて気持ちがいい。東ロボくん開発プロセスなどで分かった科学的事実はまだそれほど多くはないものの、研究者としての真摯で誠実な姿勢を感じるし、現在の自身の周辺環境との関連性からも説得力のある”推論”も提示されていると思う。

複数人によるディスカッションなどで、自分の解釈と意見が他のメンバーとかなり違うなと感じることは多いのだが、もしかすると”理解不足””読解力の低さ”に原因があるのかもしれないと疑ってしまった。それでも、人生の折り返し点を過ぎた我が身を思えば、”違う”ことに焦点を当てて、この先の方向性を見出していくのが得策だななどと考えつつ、子供たちにはしっかりと教科書を読める理解力と能力を身に付けてもらいたいと思う。

AIと仕事の関係については、本書のようにもならないし、どのような経済(労働)社会が到来するのか誰も想像、予測できないような状況になるのだろうと只々思う。人間が行う仕事はなくならないということは間違いはないだろうし、個別具体的に対応しなければならない仕事の拡大可能性が高く、だからこそより小さい単位で需給をコントロールすることが重要という見解には大いに頷く。私自身の仕事上の方向性にはここに光明があるようにあらためて感じることができた。

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