なぜ弱さを見せあえる組織が強いのか(R・キーガン/L・L・レイヒー)

英治出版   中土井僚 監訳 池村千秋 訳

「弱さ」にこそ成長、発展、発達に向けたチャンスの種があるという趣旨に、強く賛同する。そしてそれをオープンにして、改善、進化、変革への「意欲」と組織内にある絶対的な「信頼」を土台にした「しくみ」によって、個人と組織の成長、能力向上を同時に実現するというプラクティスに感嘆せざるを得ない。【隠す】ことに費やすコストの大きさがすさまじいものであるとの考え方も大変納得できるものだ。

人の成長は、大人になってからも続き、それには3段階のレベルがあるというのもわからなくはないが、この知見に共感するためには、自分がもう少し知識と経験を蓄えるか、提供者がもう少し丁寧に説明をすべきなのかという疑問は湧いた。

いずれにしても、この成長、発展、発達は一足飛びに到達できるものではなく、ステップを着実に踏んでいかなければ、本当の意味で到達しているとは言えないと思うので、その到達スピードばかりに意識がいってしまうと実現可能性が低くなってしまうと思う。また、組織内の個人にはよく適応できる理論も、単独で活動する個人には、かなりなアレンジも必要であろう。

このトレーニング、「しくみ」の構築を目指すべきなのは、もしかすると民間企業よりも行政をはじめとした公的機関、非営利組織のほうなのかもしれない。

ここで紹介された手法とエッセンスを実際の現場でアレンジしながら、試しに小さくはじめてみたいという好奇心は持っておきたい。

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