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JFL第23節 HondaFCー武蔵野@都田〜サッカー観戦ができる幸せ〜

サッカーが観戦できる幸せを、あらためて。

 静岡・関東に直撃し東北を抜けて行った台風19号。ニュースの通り各地に甚大な被害を与えた。東京では金曜日の夜から雨が降り始め、連休初日の土曜日は引き続き雨、さらに雨脚は強くなっていく。そして台風に備え、交通が完全停止し予定では日曜日午後まで運休予定。一日家で缶詰だ。片付けが捗る。

 アウェイHonda戦は当初土曜日に設定されていたが、生憎土曜日の静岡は台風直撃。翌日曜日に変更されたが、それでも日曜日の朝には電車が動かなければどう頑張っても公共交通機関での移動は不可能。そもそも、台風で家や自分がどうなるかもわからない。停電や強風の被害のほか、私の家は海抜の低い場所なので、河川が氾濫すれば水没の可能性もある。そうなれば大変だ。家や最悪命が危ない。テレビでは、よく見知った多摩川が氾濫する様子が幾度となく流れていた。

「これはサッカー観戦どころじゃないかなあ」

 残念ながら、天候には勝てない。せっかくの連休も台無しだ。既にビールも飲んじゃったので車の運転もできない。連休をどう過ごそうかと思いながら、寝る前に雨風の状況を確認しようと閉めていた窓を開けると、雨は小降りになっていた。とはいえ風はまだ強く、冷たい空気が部屋に入り込んでくる。
 私の家の辺りは幸運にも停電も無く、家の被害も無し。心配していた川の氾濫も起こらなかった。ほっと胸を撫で下ろすとともに頭に浮かぶのは、「もしかしたら、明日新幹線は動くのでは?」ということ。調べると、新幹線は朝6時に運行判断をするらしい。

「JR東海、がんばれ。」

そんな望みに賭け、この日は眠った。

翌朝。目覚ましもなく6時前に起きると、新幹線は始発から動くとの情報。
東京メトロも7時には動き出した。
あれ、行けるじゃないか。
行こうか。
不思議な高揚感で身体が軽い。昨日家から出ていないせいもあるだろう。旅行中に、うまく行くかわからない乗り換えができた時、開いているのか分からない国境を抜けた時の達成感に近い気がした。

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 人がまばらな東京駅は不思議な感覚だ。品川駅を出てしばらくすると車窓からは多摩川が見えた。昔部活の試合をしたこともある河川敷のグラウンドが水に浸かっている。武蔵小杉の町は泥濘に塗れていた。ニコタマも武蔵小杉も行ったことのある町。知り合いも住んでいる。自分の街がそうなっていてもおかしくなかった。

あらためて、自分に被害が無かったのは幸運だっただけで、いつ自分が災禍を受けても不思議では無いのだと現実に引き戻される。そして、趣味に時間を使えることができること自体、幸せなことなのだ。だからこそ、行ける時にサッカーを楽しもうと思った。

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弾けないギターを弾くんだぜ

浜松に着くと、夏のような暑さ。台風一過。ビールが飲みたい。
駅はつい先日までエコパで行われていたラグビー一色。パブリックビューイングも大盛況。台風で足止めされたのか、大きな荷物の外国人の姿も多い。そして駅前はポケモンGOをする人で溢れている。
 HondaFCの本拠地がある都田は浜松駅から15キロほど北にある地域だ。バスで40分。浜松駅前でレンタサイクルを借りる手もある。市内からは国道257号を北へ。バイパスから接続する都田テクノロードはどこまでもまっすぐだ。

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 ここで言うテクノとはテクノポリス地域で工業団地や企業の研究施設、技術センターがあることが由来だが、静岡でテクノといえば電気グルーヴ、BGMにするならばアルバムは最もミニマルな一枚「DRAGON」だろう。そもそもテクノポリスって言えばYMOだし。

 9分を超す「ムジナ」から始まり、ポンキッキーズでも使われていた「ポポ」、バリ島の祭りをサンプリングした「バロンダンス」はサンプル元に反してクラフトワークの「ツールドフランス」を惹起させる。お正月を題材とする曲はスターリンの「90’sセンチメンタルおせち」以来ではないかと思われる「お正月」。架空の民謡テクノ「ノイノイノイ」は歌詞は意味不明だがノれる一曲。民謡とテクノといえばYMO「Absolute Ego Dance」が思い浮かぶが、電気のはほぼギャグだ。ミックス違いの「先日のみちのくグルメツアーの件、御予算の都合上、ソフトボール大会とさせていただきますmix」も必聴。そして最後を飾るのは電気グルーヴ屈指の名曲「虹」。10分を越える曲だが是非最後まで聴いてほしい。
まっすぐな道でテクノを聞けば都田の街はすぐそこだ。五味八珍を過ぎた頃にはトリップしていること間違い無いだろう。

 話は完全に逸れたが、都田は地元建設会社都田建設がリノベーション・経営するおしゃれなお店が集まっており、非常に面白い地域でもある。地域デベロッパーではなく、建設会社直営なのも興味深い。駅もリノベーションされてカフェが併設。マリメッコファブリックがふんだんに使われた可愛らしいデザイン。試合だけでなく散策が楽しい街だ。他にも蔵を改造した書店、ホテル等もある。北欧好きにはたまらない。静岡は面白いことをしている建設会社が多い印象。三島の加和太建設しかり。


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門番に挑む武蔵野。

 HondaFCは言わずと知れたJFLの門番だ。時にはJリーグチームをも凌ぐ強豪。天皇杯では浦和レッズを倒したのも記憶に新しい。思えばHondaに勝った記憶がとうに無い。スタジアムはサッカー専用で、こじんまりとしているが過不足ない整備の行き届いたスタジアム。

 この日の武蔵野は普段の4−4−2から3−4-3にフォーメーションを変更。GKは本田渉。ホンダに本田である。DFは寺島はるひ、小松崎雄太、金守貴紀のCB3枚+普段サイドバックの金井洵樹、大竹陸が両WBで起用され、実質的には5バック。ボランチには高慶汰森谷実が起用されて岩田啓佑がベンチ外へ。左右のウイングに水谷侑揮池田直樹、1トップで石原幸治という布陣。金井と池田は怪我明け初のスタメン起用。森谷は10試合ぶりの出場とメンバーがガラリと変わりました。守備に重点を置くのは去年のHonda戦から変わっていません。一方のHondaは台風で中止となった先週の今治戦からほぼ変更なし。レッドカードによる出場停止となった堀内颯人に替えて三浦誠史が起用されました。

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 守備的な武蔵野でしたが、前半からHondaにペースを握られます。昨年の都田では6失点の完敗。「今年も大量失点か・・・」と思った矢先、ラッキーな形で武蔵野が先制。高慶汰が前線に出したボールは相手DFに頭でクリアされますが、キーパーへとバックパスしたクリアボールが弱く、後ろから追ってきた石原幸治が奪ってループシュート。前に出ていたキーパーが必死に追いかけますが間に合わず。相手にとってはミスから痛い失点となります。

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しかし王者Hondaは動じません。リスタートからすぐに縦パスで敵陣中央に展開すると古橋達弥からパスを受けた遠野大弥がシュート。これがゴール隅に決まりわずか2分で同点に。Hondaは目まぐるしくポジションが変わり守備で人数をかけてもなかなか対応できません。すると29分に左サイドを攻略され、一気に駆け上がったDF三浦誠史に決められ逆転を許します。攻めに転じたい武蔵野ですが、なかなかシュートに結びつくチャンスが作れません。

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 さらに悪いことに前半40分にボランチで奮闘した森谷が無念の負傷交代。久々の出場でパフォーマンスは上々だっただけに残念な交代となりました。ボランチ本職の本田圭佑もいましたが、普段右SHがメインの鈴木裕也が交代しそのままボランチに。前半は結局シュート3本に終わりました。

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 後半からHondaは八戸雄太に代わって中村桐耶を起用。後半もHondaがペースを握りますが、決定的な場面を数回外して点差を広げられず。ここで点差を広げられていれば勝負は違っていたでしょう。武蔵野も石原のシュート、セットプレーのクリアボールを寺島がダイレクトで枠内シュート。徐々に攻勢に出ます。勝負に出た武蔵野は大竹陸から田口光樹に交代。池田直樹を一列下げ、前線で起用。するとここからギアが上がり徐々に武蔵野ペースに。
 78分に金井が左サイドを突破すると抜け出した石原幸治にパスしシュート。これが決まり同点。武蔵野側が沸き立ちます。

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 勢いに乗る武蔵野はわずか3分後の81分、中盤でボールを奪って縦パスを田口光樹へ。ここからカウンター発動。ボールを持った田口がボールを運ぶと一気にサイドチェンジ。フリーの逆サイドでボールを受けた水谷侑揮が落ち着いて決めて逆転ゴール。これには武蔵野応援席、ベンチも総立ち上がり。監督大喜び。

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 こうなると王者Hondaといえど焦りが見え隠れ。山藤健太に替えて大町将梧を起用し1点を取りに行きますが、ゴール前を固めた武蔵野がなんとかゴールを守りそのままゲームセット。3分との掲示だったアディショナルタイムが、まあ長かったですね・・・実際5分近くやってましたけど・・・

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波に乗る王者に土をつける。

 Hondaは本当に久しぶりの敗戦。快進撃を続ける天皇杯を含めて4月13日の5節ホンダロック戦以来の敗戦。武蔵野は今治・ソニーと続いた連敗を劇的勝利で止め上位戦線に踏みとどまりました。ソニー・今治との勝ち点差は4。ロック、宮崎とは同勝点(ロックは1試合未消化)。1つの勝ちがここからは大きな意味を持ってくるだけに本当に大きな勝利となりました。また個人成績では水谷が初の2桁得点をマーク。序盤不調だった石原も8得点と2桁目前。この2人に田口、後藤、鈴木、澤野と言ったタイプの違う選手が揃っているのは今年の強みでしょう。池田、金井とけが人復帰も嬉しいニュースです。

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 選手は金曜夜の練習後バス移動も、渋滞で浜松入りは翌朝。土曜日は雨でボールを使えず日曜日の試合に臨んだとのことです。台風の中家族や家を残しての移動し、コンディションの悪い中勝利を掴んだ選手には頭が下がります。試合後の表情にも現れていますね。一方で、チャーターバスで遠征予定だった試合なだけに、この試合を多くのサポーターと現地で分かち合えなかったことは残念です。今年はとにかく台風に翻弄されていますね。

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 勝ちに不思議のなんとやら。

 予想どおり、Hondaは強かった。パスワーク、コンビネーションの綺麗さはJFLではなかなかお目にかかれません。最終ラインでボール回しをしていても徹底して追い回す意識も凄い。不利な状況からでも一気に打開出来る力も凄い。とにかく何枚も上手のチームです。
 しかし、今日に限っていえば、守備では前半のクリアミス、攻撃では後半数回あった決定機を決め切れなかったところに潮目があったのかもしれません。ここで点差を広げられていたら間違いなく我々の勝利はありませんでしたし、もっと大差での敗戦の可能性も十分あったと思います。終盤は逆転されたこともあってか若干苛立っているようにも見えました。
 武蔵野としては、強者相手にミスを逃さず、最後まで粘り強く戦ったことが勝ちに繋がったと言っていいでしょう。水谷や高がかなりヒートアップする場面もありましたが、それだけの勝利への執念を感じました(カードを出されたのはいただけませんが)。なにより、非常に見応えある試合でした。今年の武蔵野では1、2を争う好ゲームだったと思います。

 この流れで次のFC大阪戦も連勝と行きたいところ。今年はやや低迷していますが、ここ数年は上位を常にキープしているチーム。一筋縄ではいきません。気を引き締めていきましょう。
またHondaFCには天皇杯が控えています。是非鹿島アントラーズをを倒して欲しいですね。現地には行けませんが、期待しています。

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#武蔵野シティ #HondaFC #JFL #サッカー #浜松


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