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消費税法 区分を極める勉強法【税理士試験】

 はじめまして、Mすけと申します。

 税理士資格取得を目指していて、令和5年度第73回税理士試験の法人税法と消費税法を受験しました。

 この記事では、国税庁HPに掲載されている「質疑応答事例」及び「消費税の軽減税率制度に関するQ&A」(以下、「質疑応答事例等」という。)を使用した勉強方法を紹介したいと思います。

 ちなみにこの記事を執筆現在(令和5年8月)、まだ試験結果は分かっていません。
 もし不合格だった場合、来年以降のライバルを無駄に増やすことになるのでは・・・と葛藤しつつも、なんとか公開に踏み切りました。褒めてください。
(令和5年12月2日追記)
 法人税法・消費税法合格しました!



1 消費税法は区分が全て

 
 消費税法は区分ゲーです。

 区分とは、種々の取引を「課税、非課税、免税、不課税」に分類しつつ、さらに

 ・税率別(通常税率、軽減税率)

 ・取引形態別(売上げ、売上げ返還、貸倒れ回収、特定課税仕入れ、仕入れ、課税貨物の引取り、棚卸資産の調整、仕入れ返還、引取り還付、特定課税仕入れ返還、貸倒れ、非課税資産の輸出、国外移送等)

 ・個別対応方式の対応別(課のみ、その他のみ、共通)
 
 
 に分類することを言います。

 最近の消費税法は改正に次ぐ改正で複雑な規定が乱立し、まさにカオスといった状況です。

 そのような複雑な規定を読み解く能力ももちろん大切ですが、結局のところ、本試験においては区分をいかに早く正確にできるかが勝負の分かれ目になると思います。

 しかしながら、本試験ではテキストや答練であまり見ないマニアックな取引が出題されるため、解答のペースを乱されるばかりか、最悪の場合芋づる式に失点してしまいます。

 そこでおすすめしたいのが、質疑応答事例等の活用です。

 ※ 前提として、テキストや問題集に出てくる区分は、当然に全て覚えてください。

2 質疑応答事例等の重要性


 想像するに、消費税法の試験委員は「できるだけ難易度の高い問題を出したいが、オリジナルな問題を作って後々有識者から不備を指摘されるのは勘弁願いたい。」と考えているのではないでしょうか。

 そこから導き出される結論は、「試験委員は可能な限り公式(国税庁)が出している文書を拠り所にした上で問題を作っている。」ということです。

 何かあっても「いや、だって公式がそう言ってるから…」と言い訳できますもんね。

 そこで私は国税庁HPに掲載されているあらゆる文書を読み漁り、結果として、質疑応答事例等を元ネタにした問題が数多く本試験で出題されていることを発見しました。
 
 以下にその例を挙げます。

(例① 第73回本試験より)
・「介護事業収入は、介護保険法に規定する通所介護に係るものであり、施設利用者から徴収された食事代19,215,560円及びおむつ代1,850,890円が含まれている。」

 この問題については、質疑応答事例に次のとおり掲載されています。


(例② 第73回本試験より)
 サ高住における食事(飲食料品)提供の代金(税抜き対価の額が一人一食につき640円以下で、一日1,920円を超えるものはない。)・・・2,957,180円

 この問題については、軽減税率Q&Aに次のとおり掲載されています。


(例③ 第72回本試験より)
 産業医として招いた個人開業医に支払った報酬・・・450,120円 

 この問題については、質疑応答事例に次のとおり掲載されています。


 ちなみに、予備校の模試や答練においても質疑応答事例等からたくさんの問題が出題されます。
 私が受けた年には、以下のような問題が出題されました。(参考に、それぞれ該当する質疑応答事例等のリンクを貼っています。)

・従業員に無償で貸し付ける社宅は、居住用賃貸建物に該当しない。
・食品のみが掲載されているカタログギフトは、軽減税率対象外。
・野球のシーズン予約席料は、開幕日の課税仕入れ。
マンション管理組合とその組合員との間の取引は、営業に該当しないため不課税。

 これらは多くの受験生が初見であったため、間違えても仕方ない問題とされていました。
 
 しかし、事前に質疑応答事例等を読み込んでいれば正答可能であり、相対評価の試験において大きなアドバンテージを持つことができます。

 では、具体的な勉強方法を説明します。

3 具体的な勉強方法

 
 質疑応答事例等を見ていただくと分かりますが、かなり分量が多いです。
 そのため、まともにやろうと思うとたぶん挫折します。

 そこで、私は次のように勉強していました。

 ① 1回目はじっくり読んで理解する。
 ② 項目ごとに1~2行で内容をまとめる。
 ③ ②でまとめたものを定期的に見直す。

 手順②のまとめ方ですが、国税庁HPの質疑応答事例の「目次一覧」をコピーしてWordに貼り付け、各項目の下に結論とその理由を入力する方法が良いと思います。(下の画像は作成例。赤字が自分で入力した部分です。)

 Wordでなくても、目次を印刷して手書きでメモする方法でもいいと思います。
 下の画像は私が実際にやっていた「軽減税率Q&A」の目次メモです。

 これらは計算問題だけでなく、理論の事例問題としても出題されます。
 そのため、理論として出題されたときの解答になることを意識して結論とその理由を簡潔にまとめるのがコツです。

 なお、まとめ作業はある程度時間がかかるので、比較的時間に余裕がある年内に済ませておいたほうが良いと思います。(ただし初学者は課税、免税、非課税、不課税の違いなど基本事項を理解した状態でないと、読んでも意味が分からないかもしれません。)

 また、重要度は劣りますが、余裕があれば「輸出物品販売場制度に関するQ&A」、「国境を越えた役務の提供に係る消費税についてのQ&A」、「暗号資産の税務上の取り扱いについて」(消費税部分)なども確認しておくのが望ましいです。
 ただしこれらの中には細かすぎる論点も含まれているため、さすがに本試験には出ないだろうな・・・という部分は飛ばしてください。

(追記)
 来年からはインボイス制度のQ&Aも必要ですね。忘れてました。
(追記2)
 本試験もネタ切れのため、新しい事例は出題されやすい気がします。新規に掲載された質疑はこちらで確認できます。

4 まとめ


 以上述べたとおり、質疑応答事例等は本試験対策として非常に有効ですが、しっかり読み込んでいる受験生は意外と少ないように感じます。

 理論ドクターなどには一部掲載されているものの、万全を期すためには全部覚えておくべきです。

 私はこの勉強法を続けた結果、区分で間違えることはかなり少なくなり、本試験の区分もほとんど正解できました。

 この勉強法が皆様の合格に少しでも役に立てば幸いです。

(法人税編は・・・もし受かっていたら書くかもしれません。)

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