【推し音楽】ムソルグスキー作曲の歌曲「死の歌と踊り」・・・死神さんが変幻自在!
この曲が好きだ!
好きな歌なので、面白さが伝わるように絵を描いてみた!
歌を聴きながらどうぞ♪
歌って踊れるステキな死神さんの歌(1番〜4番)を、わたくしスズキがご案内しよう。ちょっぴり妄想を加えながら。
大丈夫!怖がらないで!
一緒に前に進んでいきましょう!
きっと死神さんとお友達になれます!(え!?)
モデスト・ムソルグスキー作曲
Modest Mussorgsky (1839-1881, Russia)
歌曲「死の歌と踊り」
Песни и пляски смерти
Songs and Dances of Death
1番から4番はそれぞれ個別のメロディーを持つ歌であり、サビなどの共通部分はない。いずれも情景を描写するナレーションで始まり、死神が登場するという流れになっている。そして、死神のセリフ、あるいは対話が繰り広げられる。
というわけなので、キーワードは死神を意味する単語であろう。
ロシア語:Смерть
発音のローマ字表記:Smerti
発音のカタカナ:スメルティ / スミェルティ
・文法上、語尾が変形することもある
・最後の i は省略されることもある
死神さんが出るかもしれないと、ビクビクしながら聴こう。
そして、じっくり注意深く耳を傾けて Smert(i)という単語が聞こえてくるのを待つ。
聞き取れたら、「ぎゃー!!やっぱり出たー!」とパニクってみよう。(?)
なお、当ページにおける各曲の題名は、イメージをもとに私が勝手に付けたものであり、原題とは異なる。
1番:ママよりやさしい声で子守唄を歌う死神さん
それは夜明けだった。
苦しむ赤ん坊を一晩中看病して疲れ切った母に突然の来客。
コンコンコン、ドアをノックする音。
(誰か助けに来てくれたのだろうか?!)
ぎゃー!!死神さんが来ちゃった・・・
死神さんは、やる気満々だ。
彼は人間を死に導くのが仕事であり、それを最高の悦びとしている。
一方、来て欲しくないものが来てしまったのだから、母はパニック状態。
登場するなり、死神は優しい落ち着いた声で母を労る。
「怖がらなくていいんだヨ。
お友達なんだから。
お疲れのようだから、休憩しなさいな。
ワタシが代わりに子供に子守唄を歌ってあげるヨ。
ママは上手くできなかったんだね。
ワタシならママより甘い声で歌うもんねェ。」
一見やさしそうな言葉だが、ダメ出しが混じっていて、嫌なヤツ丸出しの死神さんであった。
ここから、死神さんとママの対話が始まる。
よく聴いてみよう。
落ち着いたダンディーな歌いっぷりは死神のパートである。
死神のパートは「バーユシュキ、バーユ、バーユ」で締められる。
これは死神さんオリジナルの呪文などではない。
ロシアの子守唄である。
一方、ママのパートは、恐怖でパニックに陥っているので、速く激しい歌となっている。
「もう、やめて!頬が白くなっていく、息が弱くなってきた!」
ママが叫ぶ。
「いい兆しだネ」
死神がうれしそうに返す。ホラー映画並みに恐怖だ。
シューベルトの歌曲「魔王」を思い出す?
私もそう思った。「魔王」ではナレーション、魔王、父、子供の4つのパートを一人の歌手が歌い分ける。だが、このムソルグスキーの歌では、子供のパートはない。
2番:窓の下で愛のセレナーデを歌う死神さん
さて、1番では子守唄を歌った死神さんだったが、2番では何とロマンチックに愛の歌を熱唱する。
病気で死期が近い若い女の部屋の窓下に陣取った死神。
ちなみに、夜に好きな人の家の窓下で歌って相手の気を引こうというのは、古い時代のヨーロッパではお馴染みのアプローチ方法。(窓下で歌うというと、「ニュルンベルクのマイスタージンガー」のベックメッサーの姿が思い浮かんだ。死神にもリュート風の楽器を持たせてみた!)
今回もまた死神さんは自信満々だ。
「魔法の力を持ったミステリアスな騎士が、アナタを解放しに来たヨ!」
(なんと!自分は騎士様のつもりなのね、死神さん。。)
女の子は言葉を発しない。死神が一人で歌い続ける。
不覚にも私は死神が歌うこのセレナーデのメロディーにちょっと惚れてしまった。ゆったり落ち着いたテンポ。厳かで高貴な雰囲気と、危険だから近づいてはいけないのに、うっかり吸い込まれてしまいそうな魅惑を感じる歌だ。
さあ、あなたも聴いてみよう。誘惑されてみよう。(?)
一通り女の子の容姿を褒めた後、死神はもう、どうしようもなく女の子に魅了されて、我慢できなくなってしまったようだ。うっとり完全に恍惚状態の死神さん。キケンな空気が漂う。。
「ワタシの激しい抱擁で、息の根を止めてあげる!」と突然女の子に襲いかかった!
(なんという恐ろしい・・・)
シーン・・・
沈黙の次の瞬間、死神は最大の声量で歓喜の雄叫びを上げる。
Ty moja! ティー マヤ!
「これでお前はワタシのものだ!!!!」
(ガクガクブルブル・・・)
ティーは「お前」で、マヤは「私のもの」
3番:酔っ払った老人と軽快にダンスを踊る死神さん
さて、今度は農村に来た。
誰もいない。
激しい吹雪がゴーゴー不気味な音を立てている。
何かが出そうだ・・・ブルブル
こんな夜は人が死ぬんだよね。。ブルブル
ぎゃー!!やっぱり出たー!
死神さんが、酔っ払ったおじいさんとダンスしてる。
哀れなおじいさん・・・きっと彼は死ぬんだ。
ヨーロッパでは、死ぬ時は死神と踊ると言われている。いわゆる「死の舞踏」である。クラシック音楽でも美術でも「死の舞踏」を扱った作品がある。
死神が楽しそうに話しかける。
「やあ!酔っ払っちゃったんだネ。
さぁ、そこに横になって寝るといい。
ワタシが雪で包んで温めてあげる!」
(ダメですよ!そこで寝ては死んでしまう!)
この曲の題名は「トレパック」という。
ロシアやウクライナの庶民の踊りである。速い2拍子の軽快なダンス。チャイコフスキーのバレエ音楽「くるみ割り人形」にも含まれている。ただし「くるみ割り人形」では楽しげな明るい曲だが、ムソルグスキーのこの歌ではもちろん暗い短調だ。でも重くはない。軽い。だから気軽に聴いてみてね。
4番:軍司令官としてカッコよく勝利宣言する死神さん
さて、子守唄を歌ったり、愛のセレナーデを歌ったり、ダンスを踊ったりしてた死神さんは、今度は戦場にいる。
昼間の激しい戦闘は夜まで続いたが、やがて静かになった。
彼の出番だ!
月の光を浴びて、彼の白い骨が光る!
軍馬に乗って死神さん登場!
丘の上から死体の山を眺めてご満悦の様子。
「闘いは終わった!
チミたちはもう死んでる!
ワタシがお前ら全員に勝ったゾ!」
誇らしげに堂々とスピーチする死神さん。
おっと、歌詞をよく見ると「君たちはもう死んでいる」なんて言っていない。
だが、イメージとして、そう言っているように思える。
死体の山に向けた死神スピーチは続く。
「立ち上がって行進せヨ!ワタシの兵隊たちの数を数えたい!」
死んだ者は死神さん専属の兵となるらしい。
「そして、自分の骨を土に埋めヨ!」
骨は地上に残して、魂だけ連れていくつもりなのだろうか?
死神は、土の上で真夜中にうるさく騒いで宴をする予定なのだそうだ。ダンスで土を踏みまくって、骨を土の中に永遠に閉じ込め、決して蘇らないようにするんだそうだ。
ピアノ伴奏はこの4番が最も激しい。腕に自信あるピアノ弾きは、ぜひ弾いてみてくださいね。バリトン歌手やバス歌手のお友達がいるなら、歌ってもらうといい。(羨ましい!)
さあ!いかがでしたか?
死神さんと仲良くなれましたか?
1番から4番のうち、あなたのお気に入りはどれですか?!
実は、私にとって2回目となる当作品の生鑑賞を予定している。
歌うのは、これまた「推し」のバス歌手ルネ・パーぺ様!
とても楽しみだ!
え?当ページで紹介したYouTubeのストリーミングのCDジャケット写真に写っている銀髪の歌手も気になる?では、また別途ご紹介しよう。
クラシック音楽はやはり素晴らしい!
特に歌曲やオペラはお絵描きの題材が豊富!
下のアイコンのサイトでイラスト作品を公開しているので、よかったらご覧ください!
(営業・宣伝ではなく、完全に遊びです・・・)
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