見出し画像

【推し音楽】ムソルグスキー作曲の歌曲「死の歌と踊り」・・・死神さんが変幻自在!

この曲が好きだ!
好きな歌なので、面白さが伝わるように絵を描いてみた!
歌を聴きながらどうぞ♪


歌って踊れるステキな死神さんの歌(1番〜4番)を、わたくしスズキがご案内しよう。ちょっぴり妄想を加えながら。

大丈夫!怖がらないで!
一緒に前に進んでいきましょう!
きっと死神さんとお友達になれます!(え!?)

モデスト・ムソルグスキー作曲
Modest Mussorgsky (1839-1881, Russia)
歌曲「死の歌と踊り」
Песни и пляски смерти
Songs and Dances of Death

M Suzuki | Feb 2024 | Adobe Illustrator

1番から4番はそれぞれ個別のメロディーを持つ歌であり、サビなどの共通部分はない。いずれも情景を描写するナレーションで始まり、死神が登場するという流れになっている。そして、死神のセリフ、あるいは対話が繰り広げられる。

というわけなので、キーワードは死神を意味する単語であろう。
ロシア語:Смерть
発音のローマ字表記:Smerti
発音のカタカナ:スメルティ / スミェルティ

・文法上、語尾が変形することもある
・最後の i は省略されることもある

死神さんが出るかもしれないと、ビクビクしながら聴こう。
そして、じっくり注意深く耳を傾けて Smert(i)という単語が聞こえてくるのを待つ。
聞き取れたら、「ぎゃー!!やっぱり出たー!」とパニクってみよう。(?)

なお、当ページにおける各曲の題名は、イメージをもとに私が勝手に付けたものであり、原題とは異なる。

1番:ママよりやさしい声で子守唄を歌う死神さん


M Suzuki | Feb 2024 | Adobe Illustrator

それは夜明けだった。
苦しむ赤ん坊を一晩中看病して疲れ切った母に突然の来客。
コンコンコン、ドアをノックする音。
(誰か助けに来てくれたのだろうか?!)
ぎゃー!!死神さんが来ちゃった・・・
死神さんは、やる気満々だ。
彼は人間を死に導くのが仕事であり、それを最高の悦びとしている。
一方、来て欲しくないものが来てしまったのだから、母はパニック状態。
登場するなり、死神は優しい落ち着いた声で母を労る。

「怖がらなくていいんだヨ。
お友達なんだから。
お疲れのようだから、休憩しなさいな。
ワタシが代わりに子供に子守唄を歌ってあげるヨ。
ママは上手くできなかったんだね。
ワタシならママより甘い声で歌うもんねェ。」
一見やさしそうな言葉だが、ダメ出しが混じっていて、嫌なヤツ丸出しの死神さんであった。

ここから、死神さんとママの対話が始まる。
よく聴いてみよう。
落ち着いたダンディーな歌いっぷりは死神のパートである。
死神のパートは「バーユシュキ、バーユ、バーユ」で締められる。
これは死神さんオリジナルの呪文などではない。
ロシアの子守唄である。
一方、ママのパートは、恐怖でパニックに陥っているので、速く激しい歌となっている。

「もう、やめて!頬が白くなっていく、息が弱くなってきた!」
ママが叫ぶ。
「いい兆しだネ」
死神がうれしそうに返す。ホラー映画並みに恐怖だ。

シューベルトの歌曲「魔王」を思い出す?
私もそう思った。「魔王」ではナレーション、魔王、父、子供の4つのパートを一人の歌手が歌い分ける。だが、このムソルグスキーの歌では、子供のパートはない。


2番:窓の下で愛のセレナーデを歌う死神さん


M Suzuki | Feb 2024 | Adobe Illustrator

さて、1番では子守唄を歌った死神さんだったが、2番では何とロマンチックに愛の歌を熱唱する。

病気で死期が近い若い女の部屋の窓下に陣取った死神。

ちなみに、夜に好きな人の家の窓下で歌って相手の気を引こうというのは、古い時代のヨーロッパではお馴染みのアプローチ方法。(窓下で歌うというと、「ニュルンベルクのマイスタージンガー」のベックメッサーの姿が思い浮かんだ。死神にもリュート風の楽器を持たせてみた!)

今回もまた死神さんは自信満々だ。
「魔法の力を持ったミステリアスな騎士が、アナタを解放しに来たヨ!」
(なんと!自分は騎士様のつもりなのね、死神さん。。)
女の子は言葉を発しない。死神が一人で歌い続ける。

不覚にも私は死神が歌うこのセレナーデのメロディーにちょっと惚れてしまった。ゆったり落ち着いたテンポ。厳かで高貴な雰囲気と、危険だから近づいてはいけないのに、うっかり吸い込まれてしまいそうな魅惑を感じる歌だ。

さあ、あなたも聴いてみよう。誘惑されてみよう。(?)

一通り女の子の容姿を褒めた後、死神はもう、どうしようもなく女の子に魅了されて、我慢できなくなってしまったようだ。うっとり完全に恍惚状態の死神さん。キケンな空気が漂う。。

「ワタシの激しい抱擁で、息の根を止めてあげる!」と突然女の子に襲いかかった!
(なんという恐ろしい・・・)

シーン・・・

沈黙の次の瞬間、死神は最大の声量で歓喜の雄叫びを上げる。
Ty moja! ティー マヤ!
「これでお前はワタシのものだ!!!!」
(ガクガクブルブル・・・)

ティーは「お前」で、マヤは「私のもの」


3番:酔っ払った老人と軽快にダンスを踊る死神さん


M Suzuki | Feb 2024 | Adobe Illustrator

さて、今度は農村に来た。
誰もいない。
激しい吹雪がゴーゴー不気味な音を立てている。
何かが出そうだ・・・ブルブル
こんな夜は人が死ぬんだよね。。ブルブル

ぎゃー!!やっぱり出たー!
死神さんが、酔っ払ったおじいさんとダンスしてる。
哀れなおじいさん・・・きっと彼は死ぬんだ。

ヨーロッパでは、死ぬ時は死神と踊ると言われている。いわゆる「死の舞踏」である。クラシック音楽でも美術でも「死の舞踏」を扱った作品がある。

M Suzuki | Feb 2024 | Adobe Illustrator


死神が楽しそうに話しかける。
「やあ!酔っ払っちゃったんだネ。
さぁ、そこに横になって寝るといい。
ワタシが雪で包んで温めてあげる!」
(ダメですよ!そこで寝ては死んでしまう!)

M Suzuki | Feb 2024 | Adobe Illustrator
M Suzuki | Feb 2024 | Adobe Illustrator


この曲の題名は「トレパック」という。
ロシアやウクライナの庶民の踊りである。速い2拍子の軽快なダンス。チャイコフスキーのバレエ音楽「くるみ割り人形」にも含まれている。ただし「くるみ割り人形」では楽しげな明るい曲だが、ムソルグスキーのこの歌ではもちろん暗い短調だ。でも重くはない。軽い。だから気軽に聴いてみてね。


4番:軍司令官としてカッコよく勝利宣言する死神さん


M Suzuki | Feb 2024 | Adobe Illustrator

さて、子守唄を歌ったり、愛のセレナーデを歌ったり、ダンスを踊ったりしてた死神さんは、今度は戦場にいる。

昼間の激しい戦闘は夜まで続いたが、やがて静かになった。
彼の出番だ!
月の光を浴びて、彼の白い骨が光る!
軍馬に乗って死神さん登場!
丘の上から死体の山を眺めてご満悦の様子。
「闘いは終わった!
チミたちはもう死んでる!
ワタシがお前ら全員に勝ったゾ!」
誇らしげに堂々とスピーチする死神さん。

おっと、歌詞をよく見ると「君たちはもう死んでいる」なんて言っていない。
だが、イメージとして、そう言っているように思える。

死体の山に向けた死神スピーチは続く。
「立ち上がって行進せヨ!ワタシの兵隊たちの数を数えたい!」
死んだ者は死神さん専属の兵となるらしい。
「そして、自分の骨を土に埋めヨ!」
骨は地上に残して、魂だけ連れていくつもりなのだろうか?
死神は、土の上で真夜中にうるさく騒いで宴をする予定なのだそうだ。ダンスで土を踏みまくって、骨を土の中に永遠に閉じ込め、決して蘇らないようにするんだそうだ。

ピアノ伴奏はこの4番が最も激しい。腕に自信あるピアノ弾きは、ぜひ弾いてみてくださいね。バリトン歌手やバス歌手のお友達がいるなら、歌ってもらうといい。(羨ましい!)



さあ!いかがでしたか?
死神さんと仲良くなれましたか?
1番から4番のうち、あなたのお気に入りはどれですか?!

実は、私にとって2回目となる当作品の生鑑賞を予定している。
歌うのは、これまた「推し」のバス歌手ルネ・パーぺ様!
とても楽しみだ!

え?当ページで紹介したYouTubeのストリーミングのCDジャケット写真に写っている銀髪の歌手も気になる?では、また別途ご紹介しよう。

クラシック音楽はやはり素晴らしい!
特に歌曲やオペラはお絵描きの題材が豊富!
下のアイコンのサイトでイラスト作品を公開しているので、よかったらご覧ください!
(営業・宣伝ではなく、完全に遊びです・・・)

https://msuzuki-art.myportfolio.com

この記事が参加している募集

私の作品紹介

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?