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誰もが知る部品。実は意外と競争の激しい分野?

今回も買って良かったというか、必要に迫られて購入したものとその特許調査です。

初回の調査はこんな感じです。

マニアックなナット

買ったものは、ゆるみ止め機能のあるナット(以下、ロックナット)です。

DIY好きなので車検もユーザー車検をすることが多く、2台ある車のうち軽自動車がこの春に車検です。
車検整備で清掃等のために後輪のドラムブレーキを分解する必要があるのですが、そのためにはハブナットという中心の大きなナットを外す必要がありました。

分解したドラムブレーキ。真ん中の太いボルトにハブナットをつける

機械分野に疎くても、ボルトとナットくらいは聞いたことがあると思います。ただ、ナットを外して内部を清掃するのに、なぜ新しいナットを買う必要があるのかは分からない方の方が多いかもしれません。

飛行機や車などで使うナットのうち、振動がかかる部分に使うナットにはゆるみを生じさせないための工夫がされているロックナットなどを使います。
その中でも、再使用が禁止されているナットがあります。私の車のハブナットも再使用禁止だったので、新品が必要だったという訳です。

ネジのゆるみ止めの方法が網羅的に説明されているHPがありましたので、興味のある方はこちらをどうぞ。

実際の写真を見ると分かりますが、今回外したロックナットはナイロンナットです。

ナットの内側上部に樹脂が見える

ちなみに、これだけ大きなナットなので1つ400円くらいしました。

今回はアメリカの特許調査

日本の販売元のロックファスナーによると、ナイロンナットはアメリカで発明されたもののようです

ロックファスナーのHPには「米国エスナ社より直接技術提供を受けた日本で唯一のナイロンナット製造メーカーです」とあり、ナイロンナットの原型は1940年頃にエスナ社で開発されたとあります。

引っかかるのは、「原型が開発された」という表現。「1940年頃に開発して、特許を取得しました」とは書いてない所をみると、特許がどうなっているのか気になるw

ナイロンがインサートされたナット」という観点でアメリカの特許を調べたところ、1975年6月9日に出願がありました。特許も取得されており、特許番号は4019550です。私が買ったナイロンナットと全くと言っていいほど同じ構成です。

米国特許第4019550号

当時のアメリカは先発明主義(先に発明した人に権利が与えられる)だったので、出願日はあまり重要ではないハズですが、エスナ社とは別の会社からの出願でした。
インターネットで無料検索できるサービス(J-PlatPat)は米国の特許番号の1番から検索可能なので、正しくヒットしそうなものですが英語なのでうまく検索できてないのかもしれません。

原型の開発が1940年頃、日本の販社の創業が1966年、この特許の出願が1975年。
時系列が全然あいません。
やはり、米国特許調査は私には無理なのかなぁ…。

日本のロックナットの発明は?

日本には富士精密製作所が誇るUナットと、ハードロック工業が誇るハードロックナットいう凄い技術があるので、日本も負けてないのかなぁと思って検索してみました。

ナイロンナットと原理が同じ、Uナットだけ挑戦してみました。

富士精密製作所のHPによれば、1962年にはUナットは特許を取得しているようなのですが、富士精密製作所としては出願した記録は見つかりません。 
それもそのはず、検索サービスのJ-PlatPatは、日本分については1971年からが対象なので、簡単に分からないのです。

他の会社も含めて検索すると、びっくり。
これでもか!ってくらいゆるみ止め機能を有するナットがヒットします。
IPC分類をF16に限定して、年代不問でゆるみ止めナットのキーワード検索しても2000件以上はヒットします。

ハードロック工業と富士精密製作所を筆頭に自動車メーカなども多く出願していました。同じ検索式で2015年1月1日以降の出願に絞っても450件以上あり、近年においても、まだ発明が止まらないようです

最後に

誰もが知るナットも、ゆるみ止め効果を付した発明となると、近年でも件数が減ることなく出願されています。
枯れているようで、意外と新しく、競争が絶えない分野なのかもしれません。簡単に思えるものほど、奥が深いのかもしれませんね。


最後までお読みいただきありがとうございます!
特許調査に間違いなどがあれば、ご指摘をいただければ幸いです。


また、趣味と実益を兼ねようと、家電修理を始めようとしています。今はまだ修行ということで、無償で対応します。修理して欲しいものを超・超・大募集中です。第1回の修理の状況はこちらに。

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