バーチャル千年祭inガルディア

西暦2025年、ガルディア建国千年祭を開催して国内及び世界を盛り上げる計画。具体的には日本のオリンピックのようにブルーインパルスを飛ばして文字を浮かび上がらせたり、世界各国から企業や団体、財界の要人を招いたり観光客を呼び寄せたりして景気も良くする。1000にあやかって半年から1年かけて1000のブースを出店したりアイドルを呼んだり、色々な派手なイベントが計画されていたが、昨今の不安定な世界情勢とSDGsの向きもあいまって『祭りなんて不謹慎』の空気となり、派手な演出を自粛し祭典の殆んどをオンライン上のバーチャルで行う事となった。
唯一設置されたリアル会場はブース関係者らの撮影会場(リーネの鐘が設置されたドーム)であり、そこでは関係者が日々を過ごす為の宿泊施設や飲食店ブースが用意されれている。

一般客は入場できないルールであるものの税金がどのように使われているかを視察する要因として抽選1000名が選出される。

当日、人々が最も注目しているのはテレポート装置を開発したとの噂が流れていたルッカアシュティアのブースだった。ルッカは大学生でありながらAIに関する技術特許を複数所有する有名個人発明家でありながら、しかしその生活素性は報道される事はなく、謎のベールに包まれた人物だった。

ルッカは機械工学にも詳しく、軍事兵器に転用できそうな護衛ロボを開発したりと、政府や企業も一目置いている。
中学生の文化祭で作ったAIリュックサック(リュックサックの中をAIが監視し、欲しいものを言えば自動的に上の方に持ってきてリュックも開けてくれる。)が爆発的ヒット

影のファンが数万人規模でいて、当日はルッカが出店するという事で会場はルッカのファンが殺到する。
抽選で選ばれた1000人の内の半分がルッカのファンだった。

ルッカはある意味ではアイドル的な存在で、ボディガートが必要とされた。千年祭委員会はルッカのブース周辺に警備員を30人を配備し、観客がブースに雪崩れ込まない様に非常線をはっていた。

大会のベースがオンラインとはいえ、格式ある祭典である。開会式と閉会式があり、ガルディア王による演説も行われる。
その日、マールも王族として父の公務に同席する予定だったが、その場にはいなかった。マールはトイレに入ると変装の為に髪を括い、衣装を裏返しに着て会場の席を抜けだし、護衛の監視をふりきる。マールは王族の立場から逃げようとしていた。

出店ブースはいくつもあり、マールは仕事先を探していた
16歳なればどこかのバイトで雇ってもらえるはずと思っていたマール。
自由になるオカネを持たされていなかったので出店企業の中から当日バイトの面接を受けるつもりで走っていた。マールはキャンディー屋さんや、スイーツ屋さんで働きたかったのでそれ系のブースへと走った。

残念な事にキャンディー屋やスイーツ屋のような明るいブースはなく、品揃えはあるもののコンビニっぽい店が数件あるだけだった。

妥協しなければならない。マールは目についたブースへと入った。

あとがき

出店ブースの種類は科学から宗教、飲食、ダンス、競技他、多岐にあるもののの出店に際してのルールは先進性かつ新規性、スケールの大きさが求められていた。歴史や考古学分野のブースにしても多くの人が知らないジャンルこそが求められる。新たな概念の発掘と普及、人々に夢を見せるのが祭典の目的だった。
たとえば

【中国の闇研究ブース】
中国を国際的に非難する為のブース。欧米諸国と比べて不自然な程に多くの臓器移植件数の統計がある。臓器移植のブラックなビジネスモデルが表立って確立されている容疑がかけられている。他、違法なクローンビジネス等を告発する為のブース

【アメリカの医療機関が提唱するポーション開発】奇跡の肉体再生液体を開発する為に投資家を募る宣伝ブース
エナボックスの開発についてもプレゼンされるが、あまりに如何わしくてオンラインでは人気なし

【日本ブース、ラ王はぜ乾燥タイプになったのか】
を徹底的に議論討論された研究資料

【新興宗教ラヴォス世界】
『世界はいずれラヴォスによって終わる。がんばっても意味がない。』等のキャッチフレーズに活動する。活動は幅広く一言では語れない。400年前に存在したとされる邪神と魔王を偶像崇拝し、それの16分の1のフィギュアやキーホルダー、Tシャツ等を配ったり売ったりもする。
時代を変革する為の合言葉『ラヴォス召喚』をベースにし、熱烈なるファンが少数と沢山のアンチの罵倒によって成立している。

【南米からの出店、海底に眠った古代遺跡の残骸が現代を越える程の超技術】
残骸を各研究機関に分析して貰ったりデータが発表されるが、専門的過ぎて誰にも凄さが伝わらない。多方面から捏造のレッテルをはられる。
主催のスポンサーは実はトレジャーハンターであるが、深海から発掘に膨大なコストをかけてしまい、コストを回収する為に古代のガラクタに市場価値をつけようと宣伝をしている。

【6500万年前に人類が存在した説のブース】
『当時の人間には骨がなく、魔力的なものが骨の役割を果たしていた。骨がないので化石が残らなかった。』等の説を提唱しつつ、魔力が実際に存在する証拠としてボッシュが魔法を演じてみせるものの誰も信じない。

【中国の闇を正当化するブース】
新興宗教ラヴォス世界もオススメするブース。『例えば日本では年間1億の鶏のオスが卵を産めないという理由から雛の段階にてシュレッダーにかけられる等として無惨に殺されている。多くの人間は基本的にクソとしてクソの歯車なので誰かを非難する資格なんてない。』等といっている組織的ブースだが、実態はヴィーガニズムを推進している団体がスポンサーにいる。


あとがき

ここの一話目にinする計画

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