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コップに水などなかった(無意味な文章)

(注:世の中には意味のある文章が多すぎるため、無意味な文章を書いています。決して意味を見出さないでください)

 グラスにワインが半分だけ入っている。それを見て、

「まだ半分もある」

 と思う人と、

「あと半分しかない」

 と思う人とで性格の違いがわかるなんて話がある。

 それを踏まえたうえで、僕らのコップの中身の話をしよう。

 僕らのコップには半分だけ水が入っている。それは僕らが生まれたときから半分だけだ。それからいくら年を重ねても、人生の節目節目で輝いても、苦しんでも、やがて死を目前にしたとしても変わらない。

 僕らのコップには半分だけ水が入っている。

 今その場でそっと目を閉じて、自分の内側のコップを覗いてみて欲しい。見えただろうか? 見えない人も少なくない。だから見えなかったとしても落ち込まないで欲しい。もし見えた人がいたなら、しっかりと見て欲しい。僕らのコップには半分だけ水が入っている。

 では、もう半分はどうなっているのだろうか?

 空っぽだろうか。

 他の何かが入っているだろうか。

 ここで一つ、新しく明らかにしよう。

 僕らのコップに入った水は、いつだって半分だけだ。

 しかし、もう半分は人による。水面が大きく揺れていることもある。

 コップのもう半分の何かは重要だろうか?

 揺れ動く水面は苦難を表している? それとも喜びに震えているのだろうか?

 いや、本当に内面のコップは何かを暗示するものだろうか。

 ただ存在するだけかもしれない。


 ただ、そこにあって、あなたの姿を鏡のように映しているだけかもしれない。


 もう一度、内側のコップを覗いてみて欲しい。

 そこに水は入っているだろうか。入っているとしたら、どれくらいだろうか。いや、水だったかな? ワインだったんじゃないかな? ミルクじゃいけないんだっけ? 君の原初の液体はなんだい? キリスト教徒ならイエスの血だろうか?

 それはコップだっただろうか。

 グラスだっただろうか。ゴブレットかもしれない。

 材質はなんだろう。透明とは限らない。ブリキや樫の木かもしれない。

 もうなんか、わからなくなってきたな。

 コップってなんだい? 警察官かい?

 やめだ、やめ! そもそも内面なんて見ようとするもんじゃないんだ。誰が始めたんだこんなこと。

 「外見は内面の一番外側」なんて誰かの言葉があるように、内面を見るより先にちゃんと目に見える形で鏡で見れば良いんだ。それが気にくわなければ自撮りしてアプリで加工してしまえばいいし、どうしても気にくわなければ貯金を握りしめて高い美容院に行って「私を変えてください!」って頼めばいくらでも変えてもらえるし。

 まぁ、内面なんてそんなもんだよね。気にするほうが損するよ。

 コップに水などなかった。

 最初からね。

(EON)

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