検討を「加速」する
皆さまも嫌いな言葉や言い回しのひとつふたつお持ちだろうが、私はどうにもこの「加速」というやつが気に食わない。
一番顕著なのは政治家センセイのお使いになる「検討を加速」だの「議論を加速」だので、そもそもが好感の持てない方たちであるから、その言葉尻にもついツッコミを入れたくなる。ふつうに「検討を重ねます」「議論を続けます」でよくないですか。「いやさぁ、今までも十分検討してたんだけど、これからよりいっそう検討してやんよ」という、どこか責任回避、自己弁護的なニュアンスを感じる。
いったん気になり始めると次々に耳に入るようになる。テレビ・ラジオのニュースや新聞記事でもよく遭遇する。どんな用法があるだろうか。日経新聞のデータベースを検索してみよう。
このあたりは経済ニュース特有の言い回しという感じで、特にイヤな気持ちにはならないですね。こう、検討とか議論とかを加速する例文はないだろうか。
あった。議論を加速。役人の方ですね。
これは政治家センセイ。つい使っちゃうんだろうな。気持ちは分からんでもない。
「開発を加速」「研究を加速」「成長を加速」などはぼちぼち見かけますね。
しかし一番はこれだな。教育DX加速化委員会!! 意味不明な略語「DX」に、これまた私の嫌いな言葉である「~化」も使用したなかなかのパワーワードですねぇ。すばらしいセンスだ。
調べたら文科省の事業に「高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)」ってのがありましたね。加速化を推進? 意味がよく分からん。
国交省には「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」というやつが。きりがないのでこのへんで。