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困った!を解決するデザインの読書会を開催しました。

SmartHRで、書籍「困った!を解決するデザイン」の読書会を開催しました。

私は株式会社SmartHRで働くmaihaというものです。SmartHRのアクセシビリティを向上して、SmartHRを使えるユーザーを増やすことが私の仕事です。最近は、開発チームと製品の機能改善に取り組んだりしています。

普段の業務では開発チームのメンバーと関わることが多い私ですが、今回の読書会は、SmartHRのコミュニケーションデザインを担当するコムデのメンバーと実施しました。

コムデについて知りたい人は、別記事「SmartHRの「コミュニケーションデザイン組織」が担う役割と活躍するデザイナー像」のコミュニケーションデザイングループってどんな役割?を読んでください。

読書会の参加者

  • コムデ

    • Opsメンバー 2名

    • 主にグラフィック制作を担当するメンバー 4名前後

  • プログレ

    • アクセシビリティスペシャリスト 1名(私)

    • アクセシビリティテスター 3名

コムデOpsについては、別記事「デザイン組織を根っこからよくする、SmartHRコムデのディレクションユニットについて」の、今後に向けて「コムデ的デザインOps」を模索を読んでください。

読書会開催のきっかけと、開催目的

この読書会は、コムデOpsのmzk(もずく)さんと「コムデで、アクセシビリティ的な話をすることある?」とざっくばらんにしたお話の中から、以下の課題感を伺いました。

  • これまでの経験などから、ユニバーサルデザインの知識があるメンバーもいる

  • コムデ内にユニバーサルデザインに基づくガイドラインなどはなく、基準や方向性を明示できていない

  • メンバーの経歴によって知識に差があるので、勉強会などが出来るとよさそう

現在SmartHRでは、新入社員向けを対象にアクセシビリティ研修を毎月実施していますが、研修の対象が全職種のため「グラフィック制作において、高いアクセシビリティを目指すための知識」についてはお話できていません。

グラフィック制作を担当するメンバーの中には、以前の経歴でユニバーサルデザインに関わったことがある人や、アクセシビリティに興味があり実践しているという人もいましたが、そうでない人も多く、メンバーによって知識や認識がバラバラでした。

そんな課題を知ったとき、思い出したのが、昨年発売された書籍「困った!を解決するデザイン」でした。この本の読書会が「伝えたいことを多くの人に伝えるデザインとは」について、考え直す機会になれば。と思い、読書会を企画しました。

読書会のゴールとしては
「ウェブサイトの画像、イベント告知バナー、印刷物、ebookなど、あらゆるグラフィック制作業務において、実際に発生しうる課題とその解決策について知る」
より多くのユーザーに届く成果物が生まれやすい環境の土台をつくる」
というようなことをイメージして、準備をしました。

この読書会終了後に実施したアンケートの感想を見ると「課題を解決策について知る」「環境の土台作り」というゴールに近づけたんじゃないかなあと思います。アンケートの回答はこの記事の最後で紹介します。

読書会の形式

読書会は、オンラインで、アクティブブックダイアローグ形式で行いました。
参考: 未来型読書法 アクティブ・ブック・ダイアローグ®(ABD)公式サイト

アクティブブックダイアローグは、ざっくりいうと、参加者それぞれが担当する範囲を読み、内容を要約したものを発表し、議論したり感想を言い合う読書会の手法です。

今回、私達の読書会は1回30分という短い時間での開催だったため、一つの章の中の各節ごとに担当者を振り分けました。
会の前半の15分で、自分の担当範囲を読み、要約を付箋に書き込む。
後半の15分で、発表と議論・感想をいうという時間割で行いました。

参加者の事前準備が不要な点がアクティブブックダイアローグのいいところだと思います。開催時間のみで完結できる、参加者に負担のない読書会を目指しました。

読書会の雰囲気

読書会には、ZoomとMiroを使いました。読書会の雰囲気が少しだけ伝わりそうなMiroのスクショを貼っておきます。

Miroのスクリーンショット。ボードが6つ並んでいて、各ボードには付箋がたくさん貼ってある。拡大率が低い表示のため、付箋に書かれている文字は読めない。
Chapterごとに付箋や、議論の参考資料を貼りつけたMiroのスクショ

書籍で提示されている内容や事例をMiroで再現する「Miro芸」が見れたのも楽しかったです。

4種類のポケモンの名前が書かれた横長の長方形がピラミッドに積まれている図。ポケモンは上から、ピカチュウ、ヒトカゲ、ゼニガメ、フシギダネ。図の右上に吹き出しで「一匹選ぶんじゃ」と書かれている。右下には付箋が貼られていて「表現がうますぎるwwwww」と書かれている。
4種類のポケモンの名前をピラミッド形で提示することで、価値や能力に差があるように見える例


立体的な円柱状の円グラフの描かれた付箋と誤認を避けるために、3Dグラフはやめよう と書かれた付箋。グラフの書かれた付箋には「青(奥側に表示されている項目)のほうが多いのに、赤(手前にある項目)が多く見える」と書かれた吹き出しが乗っていて、わかりやすい という文字のスタンプが押されている。
円柱状の3Dグラフを使うことで、手前に表示される項目の割合が多く見える例

参加者の感想

読書会終了後にアンケートを実施して感想を聞いてみました。参加メンバーの中には「読書会」という場に参加するの自体が初めてだという人も多かったのですが、そんな参加者にも満足してもらえたんじゃないかなーということがアンケートの結果からわかります。

アンケートの回答を一部、紹介します。

設問: 読書会に参加して、新しく知ったことはありましたか?

  • 色合いや文字の間隔、グラフの見せ方などで受け取り側の見え方が全然違うということ。

  • 日常に増えつつあるインクルーシブデザインの存在(洗剤のアタック)、色覚特性の男女の差(男性20人に1人、女性500人に1人)など

  • ペルソナを敢えて少数派にすることで得られるアイデアもあるということ

設問: 読書会の内容をどのように活かせそうですか?

  • 営業資料などをつくる際に、文字色だけでなく太さなどで強弱をつけるようになった、白黒ベースで見やすい資料かどうか意識したいと思うようになった

  • こうやったら使いやすくなるかも と提案する場面があった時活かせると思いました。ちゃんと活かせるように日々の中でも意識していきたいです。

  • 普段のコミュニケーションで専門用語を使わない、表記揺れがないように気をつけるはすぐに活かせました!

  • こうやったら使いやすくなるかも と提案する場面があった時活かせると思いました。ちゃんと活かせるように日々の中でも意識していきたいです。

参加者からの感想・コメント(自由記入欄)

  • 以前、ユニバーサルデザインコーディネーターの資格を取ったものの実務に活かせていないな〜と感じていたのですが、今回の勉強会が実際の場面との橋渡しとしての学びの場になりとても嬉しく感じました。何ごとも知っておく・学んでおくのに無駄はないんだなというか……。また今回のように「自分が知らない世界・存在すら意識できていない問題」がある、ということに気づけたのは、他の課題に取り組む上でも必要な視点だったと思うので、参加できてよかったです。また良い教材があったらぜひ学んでみたいですー!企画ありがとうございました!

  • 今回複数人で勉強会することによって、自分では気付かない視点での意見なども聞けてすごくためになりました!ユニバーサルデザインなども勉強しなきゃ〜...と思っていてもなかなか手を出せていなかったのですが、今回読書会の機会をいただけてとてもありがたかったです。セクション毎に要約する形式も理解しやすかったので、自分の勉強の際も取り入れようと思います!

  • 95%は知っていることだったのでもう少しレベルが高いか、実際の作業的な具体性をはらんでいて「すぐ活かせる」などの工夫があればよかったかなと思いました!

主催者の感想

30分で読書会をやるのは初めてだったので、短い時間を有効活用できるか不安がありましたが、一緒に会の企画〜運用を担当してくださったmzkさんと、参加者のみなさんのおかげで、有意義な会にできたんじゃないかと思います。本当にありがとうございます。

読書会に参加した参加者に1名、視覚障害のあるメンバーがいました。読み上げや文字の拡大が可能な電子書籍のリフロー版が発売される予定だと知り、発売を待っていたのですが、読書会開催中には発売されなかったため、そのメンバーのみ書籍を読むことができませんでした。
リフロー版や、テキストデータの提供がある書籍が増えるといいなあと思いました。

また、Miroを読書会の会場に使ったことについて、参加者による図形を使った自由な表現が見られたことは、とても楽しかったし、読書会を盛り上げる要因になったと思います。
一方で、スクリーンリーダーを利用するメンバーにとっては、ボード上にランダムに貼られた付箋を読みながらの読書会は、あまりいい体験ではなかっただろうという反省もあります。
Miroのボード上の内容を発話して共有する形で、そのメンバーに情報を共有しましたが、今後の読書会では、全てのメンバーが同じように楽しめる方法を選びたいと思いました。この体験は、オンラインホワイトボードを利用するコラボレーションについて、改めて考えるきっかけになりました。


読書会の目的は実際に発生しうる課題とその解決策について知り、「より多くのユーザーに届く成果物」が生まれやすい環境の土台づくりでしたが、読書会を通してインプットに関してはじゅうぶんにできたと思います。
より強い、崩れない土台にしていくために、ガイドラインづくりなどのアウトプットもやっていけたらいいなぁと思っています。

参加者のみなさん、mzkさん、改めて、ありがとうございました〜!

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