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消息からのあらすじ【真実の広告主】6/18

東西の大国がなぜ大統領選で蜜月を報じられているのか?
もしや、東西統一のための布石か?

新聞に目を通してながら椿の亡くなったお父さんはそんなことを真剣に考えていた。しかし、いくら時が経っても、政権が終わる頃にも東西が統一されるなんて話は出てこなかった。西も東も体制は変わらない。
「パパも案外妄想癖あるんだね」
椿は小馬鹿にしながら春の縁側で新聞を読むお父さんに甘えていた。懐かしい、俺も偶然居合わせた。まだ椿が結婚をする前だから、5年以上もまえのことだった。
「東西冷戦のことは俺が教えてやったのに」
こ親子は面白い。歴史観の話になるとどちらがより知識があり、より考察力があるかを競い合う。椿もお父さんも俺からしたらなかなかの知識量だと思うのだが、この戦いに俺はジャッジマンとしても介入することができなかった。

「知ってます?ゴールデンシャワーの話」
ゴシップの話題を放り込むくらいしか俺が会話に入る余地はなかった。馬鹿げた話だと思いながらも、俺はやっぱり椿があの頃から好きだったのだと思う。

「あー、ハニトラされて放尿しているシーンを激写されたってやつでしょう?ウケるよね。話としてありえなさすぎて逆に喜劇だって私は思ったくらいだよ」
2022年、俺たちはゴールデンシャワーの意味をよくよく理解した。あれは確かに本人の愚行ではなかった。
広告塔となってくれた東西の二大巨塔が訴えていた事実の切実さに俺たちは敬意を払う。感謝して。。。
爆心地はドーナッツになる。空洞に住まう我々は何もわかっていなかった。


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