見出し画像

私の見てきた事業再生の世界~§1.事業再生の全体像

事業再生とは

事業再生。
皆さんはこの言葉を聞いて、どのようなイメージを持たれるだろうか?
事業の再生というのだから、
● ビジネスモデルを変革し儲けの仕組みを作り出す?
● 効率の悪い事業を切り出したり、シナジーのある事業をくっつけたり?
● 営業・マーケティング戦略の構築やアドバイス?
● 売れないラーメン屋を1度見て、売れるラーメン屋にする?
様々な想像をされるかもしれない。また、最先端の経営理論などを駆使して、ソリューションを提供すると誤解されている方もいるかもしれない。

私の見てきた事業再生は、そんな“カッコいい”ものではなく、とても地道で泥臭いものでした。簡単に言うと、「お金に困った社長(=企業)のお金の悩みを解消し、事業に集中してもらう」ことです。

「お金の悩みを解消」するために、金融機関に対し①会社の現状を説明し、現状を打破するための②将来計画を策定し、それを実現するための③支援を求め納得してもらうことがゴールになります。
なお、後の説明のため、前述の①、②、③は、
① 現状分析
② 計画策定
③ 金融機関調整
と表現させていただきます。

事業再生アドバイザーの役割

現状分析、計画策定、金融機関調整の3つを行っていくのが私の見てきた事業再生の業務になります。これらを行うために、各種作業があります。
事業再生において、金融機関調整ができればゴールですが、仮に、社長の頭にあることを金融機関に対して口頭で説明しても、業績が良い時は「さすがですねー。」と言って話を聞いてくれますが、業績が悪い時には誰も納得してくれません。他人に物事を納得してもらうためには、それなりの準備とロジックなどが必要なのです。
もちろん、自社に事業再生(特に金融機関との交渉)に明るい方がいれば、社内で実行できますが、いない場合は、専門家(=事業再生アドバイザー)にお願いすることがベターだと思います。

なお、中小企業あるあるなのですが、数字は得意でないからとか、難しいことはよくわからないから、適当にそっちでやって!とか言う社長がいたりします。ただし、そんな社長にも以下のことを要求します。
① 過去を振り返り、悪化の原因と現状を理解すること
② 打開策を考える(=アクションプラン)
③ 策定した計画数値は必達目標であることを理解してもらう

なんだかんだで、事業のことを一番よくわかっているのは会社(社長)です。これらを理解し考えることができなければ、正直、そんな会社は潰れた方が良い。そんな風に私は思います。

一方で、資金繰りに奔走している会社(社長)は、とても孤独で、不安なものです。そこに、一人で悩むのではなく、事業再生アドバイザーも一緒に悩むべきだと思います。また、金融機関にも悩ませればいい。そんな風に思っています。

したがって、事業再生アドバイザーは、単に依頼された作業をするのではなく、『様々な観点から情報を整理し、打開策を考える材料を提供し、会社(社長)の良き相談相手(壁打ち相手)となる』こと、そんな役割を果たすべきだと私は思います。

社長と2人で夜中まで議論して、作った計画などは、私としても想い入れが強くなります。そんな経験をしていくと、その計画がその後どのように実行され結果として現れてくるのか?それを間近で見てみたい!そんな気持ちになってしまいますね。

本編の全体的な流れ

それでは、次回以降でどのような説明をしていくか、簡単に触れておきたいと思います。
はじめに、①現状分析。事前準備からデューデリジェンス(=以下「DD」と略します。)について、分析・作成ポイントなどを説明していきたいと思います。一般的には、財務DD、事業DD、税務DD、法務DDなどありますが、ここでは財務DD事業DDについて取り扱っていきたいと思います。

次に、②計画策定。計画策定上の留意点。掲載項目など説明していきたいと思います。

最後に、③金融機関調整。どんなことを行うのか?関係者の立場、スタンスなど、一般論にも触れると思いますが、私の経験・体験をメインで説明させていただければと思います。

それでは、今回はここまで。

番外編

本編では話を簡単にするため、必要な説明をすっ飛ばすことがあります。それを補足するために、番外編を設けました。文字ばかりで味気はありませんが、本日及びそれ以降にサラッとおさらいするのに良いかと思いましたので添付しておきます。

最後まで、お読みいただきありがとうございました。

以下、文章はございません。投げ銭いただける方、投げて下さい。大変励みになります!

ここから先は

0字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?