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春暁に寄せて

夜来風雨声   夜来風雨の声、
花落知多少   花落つること知る多少
「春暁」 孟浩然

夜、部屋の中にまで雨かぜの音が聞こえてくる。
昨日見上げながらその下を歩いた桜も、いまは散り始めてしまっているだろうか。
季節は確かに移ろいゆく。
その移ろいは過ぎ去るだけではなく、また巡りくる。
今年も子どもたちが旅立っていく。
その移ろいはまた巡りくる。
あたりまえに今日も明日も会えた日々は、
明日からはあたりまえには続かない。
私たちはいつも、あたりまえが終わってしまってから、あたりまえではなかったことに気がつく。
それでも、あたりまえに日々を共に過ごせなくても、
夜の中、風雨に桜を想うように、
私たちはお互いの気配を身のうちに感じ、想うことができる。
私はそう信じています。
夜来風の声、花落つること知る多少。



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