見出し画像

キャントリップとは 第1回(ファストトリップについて前編)

獰猛、なかむぅです。
今回はレガシー環境におけるキャントリップについてお話ししたいと思います。

◎キャントリップとは


 そもそも「キャントリップ」とは何かというと、なんらかの効果にドローする効果が付与されていることを指します。今回はこのテーマでお話しできればと思います。

キャントリップに対する個人的な考え


 キャントリップ呪文はわざわざマナやカードを消費してドローをするわけですが、なぜ多くのデッキがこのキャントリップ呪文を採用しているのか個人的に考察したいと思います。
 そもそも、自身のハンドやゲーム中のドローが対戦相手に対し、最強であればなんの問題もありません。対戦相手が勝つ前に自身が勝ってしまえばよいですし、対戦相手がこちらの勝ちを遠ざけるより、さらにこちらが対戦相手の勝ちを遠ざけてしまえば自ずと勝ちが近づきます。
 では、そのようなハンドやドローが安定して続くのかと言ったら「NO」です。それが可能であれば、ハイランダーのように様々なカードを採用し、いかなる状況にも合うドローをすれば確実に勝てるからです。
 安定したハンドやドローが確約されていないMtgだからこそ、デッキ構築の楽しさやプレイングの研鑽、それらを準備した上で訪れる『運』に感動し楽しませてくれるものだと思っています。
 では、キャントリップとはどのようなものかというと、私は、
自身のデッキが勝つためのプランを、最大限後押ししてくれるもの』
と考えています。前述したように、対戦相手に合わせて、自身が勝つ速度を上げたり、対戦相手の勝ちを遠ざければ勝ちます。これは、対戦相手のデッキが全て同じであれば、キャントリップを使うまでもなく、自身のデッキ構築の時点で勝ちを決めることができます。
 対戦相手は各々が用意する最高のデッキで試合に臨み、各々の個性や多様性、その時の調子などによってゲームがつくられます。これら全てに対応できるカードやデッキがあれば良いですが、そのようなものはなく、対戦相手のデッキによっては、自身が用意したデッキの得手不得手が出てしまいます。これらの中の不得手の部分を極力少なくし、『勝つためのプランを最大限後押ししてくれる』のがキャントリップであると私は考えています。

◎キャントリップの種類


 まずはキャントリップの種類についてです。キャントリップには大きく2つの種類があります。
①ファストトリップ
こちらは、ドローする効果の解決が呪文の解決と同時であることを指します。
②スロートリップ
こちらは、ドローする効果が呪文の解決時や解決後すぐではなく、特定のフェイズやステップを迎えてから行われるものを指します。
 それではレガシーにおける、キャントリップを考察していきます。
※今回はファストトリップの前編として、多くのデッキが採用しているキャントリップ呪文についてお話ししたいと思います。

◎ファストトリップ


レガシーを代表するキャントリップ


 キャントリップといえば、多くの方がファストトリップを使用していると思います。
代表的なカードとしては、
⚫︎渦まく知識(1マナインスタント)
⚫︎思案(1マナソーサリー)
※ここまでが今回のお話になります。以下は後日お話しできたらと思います。
⚫︎定業(1マナソーサリー)
⚫︎思考掃き(1マナインスタント)
これらのカードについてメリット、デメリットを考察したいと思います。


◎渦まく知識(1マナインスタント)


 カードを3枚引き、その後あなたの手札からカードを2枚、あなたのライブラリーの一番上に望む順番で置く。
〈メリット〉
 渦まく知識のメリットは、まず手札外のライブラリーから3枚引くことです。現在のハンドに加え、ライブラリーから3枚追加して選択することができます。ゲームに有効なカードを選択し、有効度の低いカードをライブラリーに戻します。
 この効果は手札の質を高める効果が大きく期待できます。何よりインスタントでキャストできることから、対戦相手の多くのプレイングに対応できます。このインスタントでキャストできるメリットは以下の状況をつくり、ゲームプランをスムーズにすることもできます。
渦まく知識+ライブラリーシャッフル』
 渦まく知識は、2枚のカードをライブラリーへ戻す効果があります。有効度の低いカードをライブラリーへ戻し、その後ライブラリーをシャッフルしてしまえば、その後のドローに有効度の低いカードがくる可能性を下げてくれます。
 ライブラリーシャッフルについてはいかなる方法でも上記の効果が得られますが、「フェッチランド」でのシャッフルは特に高い効率で効果を得ることができます。これは、渦まく知識とフェッチランドの能力がどちらもインスタントタイミングで行えること、そして、マナの消費が極めて少ないことが挙げられます。これにより、対戦相手から見て好きの少ないプレイングが可能となります。他、ライブラリーシャッフルの使用例を記します。
⚫︎石鍛冶の神秘家(ライブラリーから装備品を手札に加える)
⚫︎輪作、エルフの開墾者、聖遺の騎士(ライブラリーから土地を戦場に出す)
 ライブラリーシャッフル手段ではありませんが、以下のカードによる効果も有効度の低いカードを引く可能性を下げてくれます。
⚫︎ドラゴンの怒りの媒介者
⚫︎帳簿裂き
⚫︎発掘を持つカード(発掘により、ライブラリーのカードを墓地に送る)
〈デメリット〉
 メリットを見るところ、それほどデメリットがないように感じますが、致命的なデメリットがあります。
 それは、ハンドのカードに有効度の高いカードがなく、渦まく知識をキャストし、ライブラリーから有効度の高いカードをハンドに加え、その後ライブラリーにカードを戻しても、ライブラリーをシャッフル(または他のリフレッシュ)する手段がなければ、ただドローの先送りをしただけで、結果ハンドの質は向上しません。
 マジックの対戦において、ハンドの質が上がらない、または下がることは敗因に直結します。
※ここでのデメリットの話はあくまでゲームをスムーズに進める上での考察になります。ゲームの終盤や対戦相手に応じた決定的なカードを探しに行くときはこの限りではありません。
例)ANTに狂乱の呪詛やエルフに疫病を仕組む者など。
渦まく知識についての総括
⚫︎渦まく知識は、手札の質を上げる。
⚫︎ライブラリーシャッフルとのシナジーでライブラリードローの質を改善する。
⚫︎ライブラリーをシャッフルする手段がないときに使用しても一時的にハンドの質を上げるだけで、ライブラリーの質は上がらない。
⚫︎インスタントであるため、ソーサリータイミングでの使用選択が可能。
 以上により、渦まく知識は、シャッフル手段を内包したデッキでは多くの貢献を期待でき、マーフォークのようなシャッフル手段が皆無なデッキではカードの効果を最大限活用できないと考えます。


◎思案(1マナソーサリー)


 あなたのライブラリーのカードを上から3枚見る。その後それらを望む順番で戻す。あなたはあなたのライブラリーを切り直してもよい。
カードを1枚引く。
〈メリット〉
 思案の強みは最大で4枚のカードにアクセスすることができることです。呪文解決時にライブラリーを3枚確認でき、好きな順番に並び替えドローできます。これは、キャントリップの効果で有効度の高いカードをハンドに加えるとともに、その後のプレイングの予定を立てやすくするメリットがあります。思案の良い点はそれだけではありません。ライブラリーからドローするカードがゲームプランにそぐわない場合、ライブラリーをシャッフルし、プランを立て直すことができます。
つまり、思案はライブラリーからのドローの質を高めることができるカードになります。
『思案+ライブラリーシャッフル』
 思案はライブラリーの上から3枚のカードを並び替えます。この時に確認した3枚がゲームプランに全て沿っていれば、ゲームの勝ちに近づきます。しかし、有効度の高いカードが1〜2枚ほどになると、有効度の低いカードを先延ばしにするだけになってしまいます。そこで、ライブラリーシャッフルを用いることで、有効度の高いカードのみをドローし続け、有効度の低いカードを引く直前でライブラリーをシャッフルし、ドローの質を下げずに済みます。
 ライブラリーシャッフルの手段については渦まく知識の時と同じように、いかなる手段でも効果は得られますが、フェッチランドによるライブラリーシャッフルはインスタントタイミングでの起動、マナ効率の高さでスムーズなゲームプランを可能にします。
〈デメリット〉
 渦まく知識との比較になってしまいますが、思案はライブラリーからのドローの質を上げることはできますが、手札の質を上げることはできません。すでにハンドにあるカードの入れ替えができないため、ハンドに有効度の高いカードがなければ、思案で確認したカードでゲームに臨まなくてはいけなくなります。さらに、ソーサリータイミングでのキャストであるため、対戦相手のプレイングに細かに対応することが難しく、事前にライブラリー内で並び替えたカードを対戦相手に合わせておかないと、致命的なミスにつながることもあります。
 思案を使用する際は、ライブラリーから欲しいカードが明確にあるか、または有効度の低いドローを事前にケアしたい時が望ましいと感じます。
思案の総括
⚫︎思案はライブラリーからのドローの質を上げる。
⚫︎思案は最大4枚のカードをライブラリーから確認できる。
⚫︎ライブラリーシャッフルを用いることで、ライブラリーから有効度の高いカードをドローし続け、有効度の低いカードをドローする前に、ライブラリーをリフレッシュしドローの質を下げない。
 思案はライブラリーから必要なカードを手に入れる力があります。これは、コンボやテンポを用いたデッキに合っています。コンボでは必要なカードを引き込み、テンポデッキでは、状況に応じて必要なカードを引き込み、勝つ速度を上げたり、対戦相手の勝ちを遠ざけたりできます。

 今回はキャントリップについての個人的な見解と、一部のキャントリップ呪文についてお話ししました。
 毎度ながら、文章が長くまとめきれておりませんがお付き合いいただきありがとうございます。次回はファストトリップの後編を予定しております。よろしければまたお目にとめていただければと思います。
ではまた、なかむぅでした。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?