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221210 怪獣のバラードってすごい

ここ最近は合唱団のお手伝いをさせてもらっていて、合唱曲に触れることが多い。
その中でも「怪獣のバラード」はとても有名な名曲ですが、歌詞を味わえは味わうほど、感情の熱さに撃たれる。

「怪獣のバラード」はのんびり暮らしていたのんびり暮らしていた怪獣が海を見てひとを愛するために旅を始めるという歌だ。
この度のきっかけの歌詞が先ず素晴らしくて、「のんびり」暮らしていた怪獣が「思わず」叫び、「出かけよう」と動き出すのんびりからの瞬発性が素晴らしい。それくらい怪獣にとって「海が見たい ひとを愛したい」が切実だったことか如実に伝わる。

この曲の構成としては、サビは「出かけよう砂漠捨てて 愛と海のあるところ」なのだが、山場は明らかに「海が見たい ひとを愛したい 怪獣にもこころはあるのさ」にある。二度のぶつかるハーモニーや海が見たい↑の音の運び、フレーズの最後のクレッシェンドの熱が総てを語っている。その前にこのパートだけか第三者目線ではなく、怪獣の一人称視点なのがすごい。遠景から怪獣にクローズアップして、出かける怪獣の背中を写していくカメラワークがすごい。

怪獣とはなにか。怪獣といえばやはり人間と戦う「攻撃性」のイメージであると思う。それが「ひとを愛したい」という気持ちになり、ひとと関わろうと街に出るのである。すごい勇気じゃないか?
そのキッカケになるのがキャラバンの鈴の音である。キャラバンとは隊商のことであり、人の住めない不毛の地である砂漠のなかでほのかに感じられた人間味なのかもしれない。もしくは、砂漠という吸音性の高い環境に突然湧いた爽やかな音だったのかもしれない。この音だけで怪獣の心には「海が見たい ひとを愛したい」という心/のぞみ が芽生えているのがすごい。
サビは最後に歌詞が変わり、「出かけよう砂漠捨ててて」→「新しい太陽は燃える」となる。新しい太陽という熱意が突然ここで現れるのがまたすごい。怪獣の中で燃え始めた熱が太陽になって現れる。すごすぎる。

自分は、シザーハンズ的な触れると壊してしまう切なさとそこから湧き上がる勇気の尊さがこの曲にはある気がしていて、この曲を歌っている子供たちの純粋な熱に胸がいつもいっぱいになってしまうのだ。


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