見出し画像

「面白い」ってどういうの?

「面白い」というのは、何でしょう。

 @nosimodaさんのツイートが元で、「面白い」について考えはじめました。
 色々と考えを巡らせました。また、@nosimodaさんとお話をしてみたいという思いが以前からあり、スペースを使ってお話する事になりました。
 そこでお話した内容を元に、改めて「面白い」について考えてみました。
 @nosimodaさんから、「面白い」と「楽しい」は違う、という指摘を頂きました。おそらく二つの言葉を混同して使っているケースや、概念として近似してる場合もあると思います。

ただ、物事を突き詰めて考えるなら、先鋭化しさせて要件を整理した方が良いと思いますので、「面白い」と「楽しい」の区別を考えました。

「楽しい」

 達成したい目的なく遊ぶ状態、ではないかと。
 子供の頃、滑り台を滑り降りて遊んだ経験がありますが、ただ滑り降りるのが楽しくてやっていたと思います。
 滑り降りる事で何かが達成される訳でも、目的もありません。
 ただその体験を続けたい、という欲求なのだと。(やがて飽きるので、欲求の解消というのが目的とも言えますが、それを意識して行ってはいないので、そこには思考を向けない事にしました)

「面白い」

 それに対して「面白い」は何かの「目的に向かって行う」という事が前提になっているように感じます。
「動物の森」で部屋を飾るのは楽しい、借金を効率良く返す方法を発見するのは面白い、というような違いかな、と。
「面白い」というのは、目的達成がより上手くできるようになった瞬間、あるいは、それを予感した瞬間に生じる感覚だと思います。上達した時、上達を予感した時、という事かな、と。
寓話「アリとキリギリス」のキリギリスは目的なく遊ぶので「楽しい」、一方アリは冬に備えて備蓄する。アリが目的達成の方法を見つけ出したら、それは「面白い」となる、かも知れません。
 では、目的達成が上手くできるようになるには、何が必要か。

世界を記号化する

 少し思考がジャンプします。
 昔(二十年以上前)に読んだ書籍(書籍名を忘れてしまいました)に「人間には記号化欲求がある」という記載があったと記憶しています。
 ここで言う「記号化」とは、「理解する」と同じような意味です。
 世界を理解する(自分の意識、脳の中に世界を記号化する)という欲求が人間にはあるのだと。
 世界を理解している方が、生存に有利です。毒のある食べ物を食べなくて済んだり、危険な動物の行動を知っていれば、遭遇を避けられますから。
 欲求の充足には報酬が与えられる仕組みが、体にできています。
 空腹を満たしている最中は、頭の中で血糖値が花火を打ち上げる(断食を経験した人はご存知かも知れません)、というような。
 記号化欲求が満たされた場合も、報酬が与えられるのだと思います。おそらくそれが「面白い」という感情なのだろうと。
 アリストテレスは、王様からの無理難題の解決方法を入浴中に思い付いて「エウレカ!」と叫んで大通りに飛び出したという有名な逸話がありますが、多分、彼の感情の中には歓喜とともに「面白い」という感情が湧き上がっていたのではないかと思います。

創意工夫

 東映動画時代のとあるアニメーターはストップウォッチを用意し、1枚の作画の時間を記録し、そのレコードを更新する、という事を行っていたそうです。
 定型化された作業を行う事は、苦痛かも知れません。しかし、それを効率化して早く行う事が目的となると、そこには「面白さ」が生まれます。
 作業手順を変えると、1工程あたり数秒短く出来た!さらに工夫するともう数秒!限界かと思った時、ブレークスルーが訪れ、一気に数分のオーダーで短くなる、やろうと思えばおそらく誰にでもできる遊びです。
「目的」と「記録」と「工夫」。

好奇心を途切れさせないように謎を提供し続ける

 ゲームで面白さをプレイヤーに提供し続ける事をまとめると、こういう事になるかな、と。
 もう息切れがしそうな定義ですね。
 ただ、これは物語を読んでいて途中で面白く無くなった時、この謎の提供が途切れてしまった場合だったんだな、と気づく事がありました。もっとも世界設定の謎が明かされる事に興味が行っていたため、それが尽きて面白くなくなった、という事だと思います。好奇心の指向性は人ぞれぞれですから。

万人に共通の面白さ

 一つの「面白さ」の仕組みで、これを達成するのは、おそらく難しいと思います。
 面白さは、新規の知識の獲得ですから、人によって概知の土壌が違いますし、興味の指向方向も違います。
 だから、「面白い」は人の数だけあるし、その方向性も様々です。
 けれど、ゲームの中で何かを達成したい時、その方法が見つかったら「面白い」という感情を巻き起こす事ができる、という事は分かったと思います。
「目的」と「目的達成のための手段」と「その手段に気づくためのヒント」、この辺りの並べ方に、「面白い」をうまく提供するレシピが隠されていそうです。

今の段階のまとめ

 達成したい目的を達成するために、必要な手段に気づいた瞬間に与えられる感情、それが面白い。
 そういう事ではないかと、思います。

宜しければ、ゲーム制作などのクリエーター活動のサポートをお願い致します。