「平造夫妻2」 後編 陽炎番外編 仮面の忍者赤影 二次小説 1832文字


「丁度、あんたの所に行こうと思ってな。亡くなったのは、朝から昼かけてのようで。滑って、頭を打ったようなんだが。あの男は、ほうぼうでいざこざ起こしているが、午前中あんたはどこにいた」


村の井戸の場所迄、後数十歩。距離にして目と鼻の先で、井戸端会議で賑やかなこの場所は、村長の言葉で静まり帰った


「えっ、どこにいたと言われても、いつものように、子供の世話して庭の前の畑を手入れして、、、」そこ迄言って、もしかしてと思う


「あんたを見た者は」村長の声が、きつく響く


「昼から、お隣に行きました。午前中の畑の様子は、お隣の方が見てるかも知れませんが。誰も尋ねて来た人は、おりません」女は、急にカタカタ震えだしそうになった

その時、寄り添うように女の肩を強く抱き
「幼子が三人もいるのに、遠くへ出かけられる訳ないじゃないですか!」山の麓近くに住む女だ。嫁ぎ先の亭主が死に子供もいなかったので、隣村から出戻ってきた恰幅のいい女が言った。


「どこに行ったって聞かれても、せいぜい隣の家くらいですよ」こんどは、今年最初に夫を亡くした女が、村長の前に来て、目をキッとして言った


「ま、まあ、そうだな。幼い子が2人いるしな」女の勢いに、蹴落された村長

「子供は、井戸に水を汲みに行く時はお隣の方に子供を見てもらっているんです。だから、今も、いつもそうなんです」と、女は怯えて言い、村長も自分が声をかけた時に女が置いた、両天秤の水汲み桶に目がいく


その時、木の影から遠くから光る目が


女は急に震えが止まり、二日前から夫の奇行と村長も村人達の知っての通りの夫の普段からの行動、人との諍いをぺらぺら、ぺらぺら、ぺら、ぺららららららーーー、ぺーら、ぺららららーらーと滑らかに喋り、女は自分が不思議であった、が止まらなかった


「村長、その男の奇行は私も見ていたよ。あの男と言う言い方は、人の夫に申し訳ないけどさぁ」と急にさっと女の側に立った、昨年亭主が出かけ先で亡くなった女が言った
(私はさ、水瓜にきた女に一つ山越えた地蔵の岩場にお供えをするように夫に言いなさいと言われ従っといて良かったと思うよ。あの亭主も亡くなる前に地蔵に参ったのは、いい功徳になっと思って安心さ。運が悪いねあの夫もうっかり足滑らせて崖下に落ちて、人を罵倒しこき使うような男だったから今は毎日安心だけど、行状の悪い夫が亡くなったら女房を疑うなんて、酷いね。この村長の金満な顔はホント嫌になるよ)


また、それを喋る女の反対側から彼女の肩を持って、キッとした顔で村長に
「賭場場になってる男の所で喧嘩になってるのを見たよ!里の男衆も、知ってる」と喋り出す女は、亭主を持病で亡くした女だった
(病にふせってる亭主に、加減の軽い日は散歩させなさいと山菜売りに言われてから数日後、夫が散歩中足を滑らせて亡くなってホッとしたよ、これからの事があるにしてもさ、癇癪起こして子供叩くから子守もさせられないなんて、本当困った夫だったよ。あたしはさ、うっかり亡くなってくれたからいいけど)

「あいつらが、あやしいんじゃないのかい。いっつも揉め事してるし。子供のいる女が長い間留守にできないよ」山菜採りに行った夫が亡くなった女が、強く言い、続けて言う
「普段から夫に苦労してる女が殺すと思っているのかい!天狗様の足でも持ってない限り、無理だよ」

「村長、都合よくお金もらおうとしてるのでは。殺した奴さっさと役人に渡せば、お金入ると噂だよ」と言い、ズイっと前に出て続ける
「村長が、子供を見てくれるのかい!」と、最初の恰幅のいい女が、村長を威嚇するように太い腕を組み、どっしりした巨体を揺らし鼻息が憤怒の勢いだ


それもそのはず、腕組みをしていた女は姑、小姑にいびられた怒りを思い出していた
(あんな意地悪な姑置いて、帰ってこれて助かったよ、ほんと。誰があんな姑と小姑の心配なんかするものか。亭主が死んでくれてさまさま)


「いきなり夫が死んだと言い、労わるでもなくお前じゃないのかみたいな言い方って、夫がなくなって子供三人育てていかない女房に、よく言うね」と場所が水汲み場、他の女房たちも鼠の如く現れ、口々に村長、村長、村長と詰め寄り、女を庇うように囲んでの女房達の剣幕と連隊感に、一番前の大入道の出立ちに、女房達の殺気が波波となり、村長の一歩一歩後退って行くタジタジさを、畑仕事や通りかかった男や水汲みに来た男や子供達は、その光景に、逆らってはイケナイ、逆らってはイケナイと心に刻みつけました


終わり

https://note.com/mugen38/n/n8c4a05138b17


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