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天使ウィンター&悪魔シャーク 双極の卵🥚🥚3

それもあって楽しくて仕方なかった

見えない空を
気持ち良さそうに仰ぎ、上を見るウィンター
井戸の底以上に深い天窓が分かっているようだ

ウィンターは、また回想に戻っていく

日は暮れ
空気は冷たくなり
夜になり星一つ、月もない空
カラスの羽根で覆われてるような漆黒の闇
人間なら、相手に
触らなければ
隣に誰がいるか分からない程の闇
自分の腕さえも見えない闇
光のまったく無い闇
その中で、
川の水がサラサラと流れる音が聞こえてくるのは気持ちよかった
地獄の昼間の空は澱んではいても
地獄の景色の中であっても
長い年月地層で濾過された地底の水
長い年月、暗い土の中で過ごしてはいても
光を含みながら天から地に落ち、泥に混じり
地中深く入っていっても、その本質は光

シャークの横で、川の水の流れる音を聴きながら懇々と眠りに落ち

濾過された水は、純度を増すと言う声が
遠くの方から響く

翌朝、微睡ひっつながら目が覚めた
「ウィンター」と、
シャークが私を呼ぶ声は気持ちいい
背中に回す腕や手、抱き寄せられくっつくほほ
抱き寄せられる度に
楽しくて、くっついていたかった
なぜ、安心感があるのか不思議だった
何故と今も、信頼感さえあるのも不思議だった
今も不思議だ
ウィンターの口元は微笑む
相手は悪魔なのにと思う
そして彼のちょっとした笑みは、
非行少年の顔を見るようで、
人間の女はこれに堕とされるなとも思った

シャークの顔の前で、聞いた
「君は、女を堕落に堕とすのが仕事か」
「Yes l do💫
 女性を陥落させるのが仕事❄️
君には、堕とす前に堕とされた
 好きだよ、愛してる」そう言って、
右手にキスをしながら、ウィンクをする
「どう言うふうに堕とす?
 ・・・そうだな、どんな格好をする、
 受けのいい服装とかあるだろ」
「まあ、女性によって違うけど。
 お見せしましょう」と言ってシャークは
 サッと立ち上がった
 さっき迄、
 私と裸で抱き合っていたシャークは
 会った時の服で立ち上がり、
 私にキザに一礼し、
 次々と魔法で変装をしていった

白衣、老舗の二代目、バーテン、マジシャン 弁護士、狩猟者、カフェのマスター、ディーラー、今度は洒落たスーツになり似合うなと思って聞いていた(まあ、どれも似合ってはいたが)

「ちょっと悪いボンボンか?」
「金貸し業兼スポーツ事業経営者」
「二足のわらじ設定か、
 どういうタイプを狙うんだ」と私は、
洒落たスーツ姿のシャークの前に会った時の格好で立って、言っていた

紺地のスーツのボタンは外してあって
紫色のシャツを通して体をなぞり、
「いい生地だな、色もいい」
私はシャークの腰に手を回し、胸に顔を置き、ハグしていた。
温かい体は生地を通して伝わり、心地良い
「でないと、引っかかって貰えない」
「確かに、そうだが」
シャークをハグしたまま、
背中をシャツ越しになぞり、
紺のネクタイを引っ張り、外そうとしたが
「めんどくさいな」
「初めて?」
「人間の服は脱がした事が無いな」と言い、
私からネクタイを取り、ボタンを外していく私に、ネクタイゆっくり外していくシャーク
「お好みで?」と笑う
「脱がしたくなるな」
シャークは結び目を外し、
シュルとネクタイを首から外す
私はボタンを外し終え、シャークの体が見える
ベルトをボタンを外し、
シシャークは私の背を木に押し付け、
私のスカートを託し上げ、
右太腿が持ち上げられた、
シャークのしたり顔は優越的で、
まったく地獄で
悪魔と恋仲になるなんて思ってなかった
シャークは
私の頬や髪にキスしながら言った

「色の白い陶器のような皮膚、
淡い金髪のウェーブに色素の無い金色の瞳
凍てつく寒さの暗い空の下では
その姿は映えるだろうな」
「そうだな、
 地上ではマントは身につけないしな
冬の冷たい地面
寒さを募らせる、冷たい風
人生が暗澹に乗り上げ
凍える思いを抱えて歩く者もいるだろう
光感じずに、希望もなく
微かな望みさえも祈りにできない
冬の寒さは暗く
人の希望を打ち砕くような所があるのが冬
私が光をたずさえ、風に光を撒き散らす
届く者には届くし、届かない者には届かない
春は希望に満ちる
私はそれまでのつなぎ目だ
冬は、空気も澄むし
クリアだ
人間の活動は落ちるが
人間に自然が踏み荒らされない時期である
夏や秋は、人間が自然を踏み荒らす時期
そうでない時期が必要だ」
「風に光を撒き散らす
届く者には届くし、届かない者には届かない
届く事を願っている?」
「願っているよ。届くように、気持ちが軽くなるように。春の季節のように気持ちが和らぐように」
「それを打ち砕くのが悪魔なんだが、これからは、それを少し手加減しよう」
「手加減?悪魔がそれでいいのか?」
「冬の季節だけ、君の季節だけ、女性に柔らぐ言葉を少しかけよう」
「きっと、本当に少しだけだろうな」
「本当に、手加減する訳にはいかないからね。それはウィンター、キミだけだ」

悪魔に願うモノはない
まあ、当然だ
あの時、これは私の愛する者だと思った

全てが魅惑的だった
昼夜、たわいない事を喋っていた
普段自分達がどんな仕事をしていたか
どんな人間がいたか
喋っては、ひっついたり抱き合ったりしていた
食事は、取らなくても平気だが
シャークが気を使って
天使が食べても大丈夫な
飲み物や食べ物を出してくれた
基本、大丈夫なのだが

仕事場に戻らないで3日ずっと地獄にいた
問題はなかった
冬ももうおわり、
格精霊達からの連絡も殆どない
その様子が見える鏡を私は持って来ていた
精霊達が私を訪ねてくる場所に対の鏡を
私はその場所に置いてあり、
地獄に来る時様子がわかるようにとしてあった
時々取り出しては、丸い手鏡を見ていて
問題は起こっていなかったし、
報告も通常で問題なかったから

変な話
とてもリラックスした毎日だった
肩に手を置かれたり、引き寄せられたり
笑ってる顔や囁きかけるシャークの声
よどんだ景色しか見せない
地獄の薄ら寒い空気の中
甘美で楽しい気持ちで心酔していた

天国と地獄は、共存関係だ
ただ、
お互い標的にしている人間がかち合った時
その人間の魂の奪い合いになる
一つの魂であったり、大勢の魂であったり
地獄も天国も国や領土の奪い合いはしない
するのは、人間の魂の奪い合い
ただ歴史の局面で、
勝たせる側についたりする
地獄は、疫病や病で人口調整
科学の発展を即したりする

人間が死ぬ事に関心は無い
たまに人間に関心を持つモノがいる
手を貸したり
恋に落ちたり
人の事は言えないなぁとウィンターは笑う
見えない目、布で覆われて見えない目で
手に持った手鏡を取り出して見る

咄嗟に魔法で隠した鏡だった
精霊達が集まる場所に置いてある鏡
「バレないようにしないとな。三重に魔法をかけておいて良かった」

end

続く
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