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リリカとリリィ vita sexualis2つの赤い薔薇🌹🌹 3

いつもの帰り道でしかなかった
ただ、少し回り道をしたぐらいで
その道は、たまに通る道で
道のある一角に置き忘れられたかのようにある小さな公園
夜には黒い森のように思わせる木々の多い公園
小さな公園で
昼間でも木々の多さが
鬱蒼した暗さを見せる公園
その場所は、たまに通る道で
その公園の入り口前を四歩、
五歩、十歩と通った時、
音もなく、静かな匂いと共に私を包み襲った

塞がれた口、
巧みに押さえられた後ろ手に手錠をかけられ、
本当にと思うと同時にスリリングと期待に、
男のトワレの匂いに、耳元で囁く声が、
私に声を上げさせなかった

トワレとは別に、
男には落着くような小さな種子を思わせる匂いがあって、
その匂いは包まれているような、
それでいてどこか不思議に懐かしく落ち着かせ、私に安堵させた

男のトワレの匂いは、
昼間ランチをしたレストランで見かけた男と同じで、
口を塞がれた時に見えた指輪は
ランチをした男が指にしていた物と同じで

力の強いる痛みは、
柔らかな布のスカートをめくり、
ショーツを剥がし、
噛まされた布が声を吸っていた
男の指はゆっくり楽しむように、
お尻から腿にかけて忍びよるようにさわり、
感覚は現実から剥離しているかの感触を私に感じさせ、
私は昼間の事を思い出していた

今日いつもと違いホテルでランチをとった、
珍しく
ひとつテーブルを置いた
パンジーの置いてあるテーブルに食事が運ばれてきた時、
私は知った人を見るように彼を見、
彼も私を見た
フォークを持つ手に指輪を見た
アート系の黒い石のリング
男は食事を終え、エスプレッソを飲み終わると、立ち上がり私のテーブルを通りすぎる時、
雑誌を落とし床に屈んだ時、同じコロンが香った

分かってはいたけれど、私の好きな香りで
(聞いていた香りで... )

目の前で、全ての物が新しく見えた瞬間だった
期待に、気持ちが踊る瞬間だった

今日は、その男の事ばかり考えていた
だから、
少し回り道をして反芻していた時だった
だから、塞がれた口に後ろ手に手錠、
掴まれる胸、
想いのあるような男の手や指の動き、
右内腿に男の右足がすりつけられ、
内腿を上にと押し上げられ、
開く足に、
鬱蒼とした草や乾いた木の匂いに、
まだ少し土の湿った匂いに
(少し笑いがこみ上げてくる私に)、
私を感じさせる

男は事を終え、煙草を吸い、
私の口ビびるに触れ、
何度も口びるをなぞり、
噛ませていた布を取り、
私の口に煙を入れていった。
男のトワレと共に鼻腔に広がり、
葉の陰から月が動いているのが見える。
そして男は、
私の首に肩に胸に柔らかく口をつけ、
再度、
私を責めていった。
男は、去っていった。
後には、
男のコロンと外された手錠、
月が残っていた。

私はズレたブラのホックをハメ直し、
崩れている服を直し、
カバンからカーディガンを出し羽織り、
地面に落ちている
剥ぎ取られた黒いショーツに目がいき、
拾いもせずに、
生足でサンダルで、
ショーツをサンダルの先にかけ蹴り上げた

落ちているショーツを見た人はどう思うかしら
と思いながら、笑いがこみ上げる
公園を出、気に入ったわっと
両腕をグッと上に伸ばし、伸びをした。

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正直、イメージがまったく思いつきません

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