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季節

わたしが思うに、今は楽しみが多い。
いつだってどこにいたって楽しい。
楽しくないときがない。
だから、
季節に思いを馳せるということもない。
いつでも楽しいから。

むかしは今みたいにゲームもない。
スマホもない。
娯楽自体が少ない。
そうなってくると、
季節のイベントが楽しみになる。
楽しみだから考える。
心待ちにする。

むかしは、【いつでも】ってことがない。
いつでもおいしいものを食べることはできない。
いつでも快適な温度ではいられない。
いつでも安定というのがない。
だからこその季節のイベント。
季節のイベントで心を満たす。
季節のイベントは、
ある意味祈りでもあったと思う。
イベントが楽しみになると
自然と季節を感じられるようになる。

快適を手放した生活に
ちよっと憧れるときがある。
人間本来の感覚を味わえる気がするからだ。
でもこんなに
快適を味わい尽くしてしまった今となっては、
簡単に手放すことは難しい…
井伏鱒二のサンショウウオの話を思い出す。

小学3年生のときに、
佐藤校長先生が朝の会で話してくれた。

台風の時、
激流に流されたサンショウウオが
川の淵に空いていた小さな穴に
偶然入ることができた。
そこは静かで快適で
時々エサの海老が入ってくる。
しばらくすると台風は止んだ。
しかしサンショウウオは、この穴が快適だったためそこにいることにした。
なにもしなくても毎日海老を食べられるからだ。
何年か経ち…
そろそろ出ようかなと思ったときには
体が大きくなりすぎてしまい
出ることができなかった。
という恐ろしい話。

その後、高校生になったとき
国語の便覧をみていたら、
井伏鱒二  サンショウウオと書いてあるのが
目に止まった。
気になって本を読んでみたところ、
小学3年生のときに校長先生から聞いた話だった。
ただ、実際の話は
なんともいえず後味が悪い結末だった。
カエルも登場する。
校長先生は
子供にもわかるように教えてくれていた。

最近、昔の出来事が
点と点がつながって線になる。
ということがよくある。
産まれる前に
決めて産まれてきているような気さえする。
今の【点】もまたどこかの【点】とつながるんだな

あー
ことしは明日が仕事納めだー
実家にかえろーーーう


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