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正しい小説の書き方はないという話

小説の書き方って何なんでしょうね。から始まる話ってどうなんよって言われそうだけれども、正確に言えば「分からない!」(五歳児くらいの時の顔)でいる。

世の中にはいろんな小説がある。文字がある。文がある。エンタメがある。だからこれは絶対にお約束! っていうものは「あるにはあるけど正確に定まってるかと言われたら……(目逸らし)」みたいな感覚でいる。
それでもとりあえずルールがあるんだからちゃんと守るか、って感じで守っているけれども、でもそれって必ずしも守らなきゃいけない! みたいなのはないと思っている。読む人間の好きか嫌いかとかはあるだろうけれども。

小説ってよく、地の文が書けなきゃダメとか、台詞が続いてちゃ駄目とか思う事をまあまあ聞く、というか私が思っていたりもするんだけれども、世の中台詞に台詞を被せる表現で、「台詞「台詞「台詞」みたいな表現があると聞いたり。
地の文が一切なく、台詞だけで構成されているものがあったり。
世の中って広い、凄い、それがあるのだから文って、小説って、自由だ~!(片腕を掲げる)だとも思った。

「でも小説ってこうカッチリキッチリしてて単純な語彙とかじゃだめなんでしょ?」っていうのもたまに聞く。
何年前かは忘れた。けれども、その時ラノベが大ブームで、小説の書き方なんぞ分からんぞ、実際の商品になっているラノベだったり自分が綺麗や耽美だと思う表現で書けばええんでないみたいな事を思いながら書いて、某所に出したことがある。

そしたら返ってきた返事としては(その当時の、その時にこんなことをふんわりと言われたなあというふんわりとした記憶です)「ラノベ文体は読みにくい事もあり、普段文を読まない人でもわかるように小学生向け、児童文学お手本にして書いてみましょう」と言われたことがある。
その時はふーんって聞き流していたけれども、今ならわかる。
誰かに確実に届けたい、届いてほしいと思うのならば、分かりやすい文体とか語彙とか文章で書くべきなんだ、と。その誰かが文章を普段読まないならなおさらだというのも。

確かに様々な文豪が書いた話を見る。うーん、硬い。文が固いと思うことがよくある。それって普段から本読んでるぜ!本好きだぜ!みたいな人達にとってはこのお料理お出汁が利いてて、この素材の味が活かされていてとっても美味しいですわ~みたいな高級料理。分かる人には分かるけど、そういう素材を知らなければ分からない。つまり分かる人にしか分からないみたいなものになっているような気もする。

一方で先述の通り児童文学のような、小学生向けの分かりやすい文章だったら普段からフルコースやお出汁が利いた料亭の味を食べている身としては物足りないかもしれない。料理に例えるなら家庭科の調理実習で作られた料理のような。(此処で言う料理は優劣をつける意図はないです)所謂、家庭の味。食べると安心する、ほっとするような味。としよう。させてください。

さて挙げたこの二つの種類の文章。
どっちが優れているでしょう?

それを優劣つける人がいたらうんうんって頷くだけです。だってそれのどちらが優れているかというのは、その人によって違うし何よりそれってどっちもどっちだと思います。

文が固い高級料理。これは確かに美味しいのかもしれないけれども、高い。時に教養や品位を求められたりすることもあるし、気軽に味わうには……という印象。
一方、子供でも作れるような家庭料理の様な小学生向けの文章。これは確かに味は高級料理に劣るかもしれないけれども、この味が良い! という人だっているし、この味は誰にだって出せるわけではない、と思っています。個人的に。

「文章は華美で綺麗で耽美でなきゃ! シンプルな文章なんて味付けの無いポテトと一緒だわ、この味は分かる人にだけ分かればいいのよ(嘲笑)(トリュフ塩をかけながら)」VS「シンプル is ベスト! 無駄に華美な文章なんてゴテゴテしてて見にくいしそれが至高だなんてw(ポテトに塩をかけながら)」
……という架空の人々の思想の対図がたまに脳裏を駆けるんですけれども、正直、どっちもどっちだなあと思います。
華美で綺麗で耽美な文章はそれだけ確かに美しいし、ほう、と溜息をもらすこともあるけれどもそれは誰もが読めるわけじゃないしそれが読める自分でも疲れるときは疲れるなあと思う事があります。
シンプルな文章は疲れる時でも読めるのでわーいと思いながら読むんですけれども、それがたまに味付けが足りないなあとか描写の此処はどうなっているのだろうと思ったりすることもあるので。

どっちも良いところと悪いところあるよね。だからどっちが優れてるとかないわけ。分かったか? 仲良くポテト食ってなって言い聞かせます。

ちょっと前に言った通り、文章、というか小説はだいぶ自由なので自分の好きな、自分のできる表現で、レッツ・創作活動、ソウカツ! 始めちゃってください! というお話でした。

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