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Twitterは“健全な議論”の場になれるのか

Twitterの共同設立者Jack DorseyがコメディアンJoe Roganのポッドキャストに出演していた。YouTubeのコメントは、Joeがアカウント凍結の件など、Twitterのもつ課題を厳しく追及しなかったことへの不満で溢れているが、個人的にはなかなか面白かった。

繰り返し話題になったのが、Twitterをいかに健全な議論を生む場所にしていくのか、だ。大統領がヘイトを撒き散らし、意見の異なる人がエコーチェンバーを構築し、互いを罵る状況。もはや巻き戻し不可能感もあるが、彼らは健全に議論を行う場になることを諦めていない。

興味深かったトピックが3つほどある。1つは、議論の始まりとなったツイートがわかりづらい、という課題についてだ。Twitterは、Facebookのように元の投稿があり、その下にコメントが紐づいていく形式ではない。そのため、元のツイートを誰も追えなくなり、コンテキストが共有されないまま、議論が迷走していくことがよくある。

Joeがどう考えるかたずねると、Jack Dorseyはスレッド方式の良さも踏まえた上で、通常の会話は主導権が常に変化し発展していくこと、TwitterはFBのように編集された投稿より、思考のプロセスを記録していく“row”な投稿を発信する場であることを指摘していた。

その前提をみんなが共有していれば良いが、実際は過去のツイートを掘り起こし、「昔こいつはこんなツイートをしていたぞ」と悪意をもって晒す人が多い現状もあるよなあと思う。

そういえば、スレッド開始者の発言にタグを表示する機能もテスト中だと発表されていた。有名アカウントに乗っかる形での詐欺を防ぐため、という意図もあるようだが、コンテキストを踏まえた議論をする上でも重要な機能だと思う。

2つ目は文字数制限について。英語圏では2017年に文字数が140文字から280文字になった。相変わらず140文字以内のツイートをする人が多いようだが、返信については、280文字を超えるケースが多いのだという。つまり、ニュアンスやコンテキストを含んだ議論が行われやすい状態になっているのではとJackは語る。

正直、ニュアンスやコンテキストを含む議論は280文字でも十分ではないと思う。じゃないと、私のタイムラインにこんなに連ツイが溢れているはずがない。

じゃあ1万文字にすれば良いかというと、それは「思考のプロセスの記録」であるTwitterの良さをごそっと消してしまう気がする。きっとみんなが「Twitterではニュアンスやコンテキストが捨象されている可能性がある」という前提に立ち、誰かの強いオピニオンに対する反射的なリプライやリツイートを踏みとどまる意識も大切なのだろうなと思う。

番組中では、Jackが半分冗談で「送信する前に5〜30秒間だけ時間が与えられ、その間編集できる機能」にも言及していた。

(以前は“5分間”だけ編集できる機能は?とツイートしていた。だいぶ短くなっている)

以前読んだ「実践 行動経済学」では、素早く作用し、本能的に反応し、感じる「自動システム」と、課題解決のための合理的な思考「熟慮システム」が紹介されていた。5分間待つだけでも、後者が起動され、誰かを罵る気持ちが抑えられるのかもしれない。

実装したらどうなるか、ちょっと実験してほしい気もする。


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