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『さよなら すべてのハルマゲドン02』 〜ハルマゲドンとは何か〜


 ハルマゲドンとは何か、を考える上で、ちょっとだけその定義を整理しておく必要があるだろう。それは「地球の終わり」「終末論」「最後の審判」「その後の天国」といったいろんな概念が寄り集まっているので、いったん切り分けておく必要があるからだ。

 ちなみに、神学的な意味での「ハルマゲドン」の意味については、どうでもいいので割愛する。メギドの山がどうのこうのだの、聖書の文言に絡めてハルマゲドンの解釈については、ほんとうに結論から言えばどうでもいいので、ここで無視して構わない。より詳しく知りたい人は、ググればいい。


 整理しておくべきことはシンプルだ。

 この世界は実は必ず終わる。なので、人類は滅亡する。これは既定路線である。というのも、全ての星には寿命があるので、太陽もいつかエネルギーが切れて無くなったり、超新星爆発を起こして吹っ飛んだりする。

 ということは、人類はいつかかならず、まあいわば寒くてカチンコチンになって死ぬので、絶対それからは逃れられない。なので終末はやってくる。笑。もうこれは笑うしかないのである。いつかは知らんけど。

 あるいは別の考え方として、巨大隕石が地球にぶつかって恐竜が絶滅したように、太陽の寿命があるうちに「別の要因(隕石)によって」地球が滅亡することもありうるだろう。

 しかし、どちらにしても、そこに神の意思はなく、あんまり関係ない。それは宇宙物理学の世界であって、人間の側からみれば「たまたま・偶然」みたいに思っていても大丈夫である。

 隕石がぶつかって、映画「アルマゲドン」みたいになるのは、こりゃあもう確率論の世界である。

 もちろん、隕石でも太陽消滅でも、その後は人類は生き返らないし、ただ滅亡するだけだ。

 もし神が存在していて、宇宙をそのように設計したのであれば、神は最初から地球の滅亡や太陽の終了をプログラム済みだということである。

 それはもう、そういうものとして受け入れるしかないので、それが神の意思だと言うのなら、そうなのだろう。


 今日の中間まとめは、「終末はやってくる。かならずみんな死ぬ」ということだ。それは物理学的に覆ることはない。(人類がロケットで別の星に移住する以外は無理だ)


 さて、どうせみんな死ぬのならこれ以上この話を読んでも無駄なのだが(笑)まあ、それは脇へ置いておいて、「ハルマゲドン」の話に戻ろう。

 ハルマゲドンは、終末論とイメージで結びつきやすい。なので、神がもしハルマゲドンを起こすとしたら「隕石が降ってくる」みたいに想像してしまいがちだが、これがすでにもう「誤解と誤認で誘導されている」ことになる。

 似たようなのに「世紀末」ということばがあるが、世紀末なんて本来は終末でも最後の審判でもなんでもなく、100年毎の区切りである。

 なので「世紀末は必ずやってくるし、別に何も起きない。もう20回くらいやってきている」のが真実なのだが、人間は世紀末ごとにハルマゲドンを勝手にイメージしている。

 これもよーく考えると笑い事なのだが、とにかく人間は「イメージで誤認・誤解して、誘導される」いきものなのである。


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 そうした「イメージ」「誤認」を引き起こした張本人は、聖書とキリスト教世界なのだが、それはまあ、またどこかで説明するとして、今話したように西洋文明に属する人間は「自動的に・勝手にハルマゲドンを終末やら隕石やら災害やらに結びつけようとする」傾向がある。

 まずはそれをやめようね、ということなのだ。そうすると、どんどんと視界がクリアになってくるからだ。

 聖書やキリスト教世界が、僕たち私たちの視界を捻じ曲げようとしているというよりかは、現代社会においては「そういう知識や概念がすでに蔓延していて、こっちが勝手にそう思い込む」傾向が強い。

 そう、僕たち私たちはすでに「なんか、聖書って古い本で、すごいんでしょ?」「知らないけれど、古い歴史とかに関わってるんでしょ」と先入観で捉えているわけだ。もちろん、それは一部では合っているし、聖書をもとに西洋史が築かれてきたのも、そのとおりなのだが、この連載を読む者だけは、いったんそこから距離を置いて客観視していこうね、と再度確認しておこう。


 さて、ハルマゲドンに戻る。ハルマゲドンが何のために、なぜ起きるかを再確認しておきたいが、これは要するに「人類をリセットする」ためにいったん全員殺すという発想である。(まあ、一部だけ生き残らせるというイメージだが)

 では、なぜ人類をリセットしないといけないかは、「人類が間違っている、ダメだから」である。

 今の状態で人類がOKでバッチリなのであれば、リセットする必要はない。

なので、この話は「人類がダメなので、リセットさせるために、ハルマゲドンが起きる」という根幹、基本構造を持っていることになる。

 実はまたここで、僕たち私たちは誤認で洗脳されているのだが「そもそも人類はダメなのか?」「人類は本当に間違ってるのか?」という疑問を持つことも大切である。

 人類がダメではないのであれば、ハルマゲドンは起きる意味がない。

 むしろ現実世界では

「人類はダメでなく、全然悪いこともしていないのに、最終的にはカチンコチンか隕石でみんな死ぬ」

のほうが正しいから、聖書よりもっとひどい(笑)ことになる。

 もう、この時点で、「放り出されてきた感じ」がすると思うが、マジでそうなのだ。

 現実の宇宙は、聖書よりもっとひどいのだ(笑)

 何も本来ダメなことなどなく、頑張って生きている人類なのに、かならず最後のオチは滅亡なのである。なので、まったく救いがなく、めっちゃひどい話なので、まだ聖書を信じているほうがマシだと思う人たちも多いかもしれない(爆笑)


 話を戻そう。人類がダメなのでリセットするということは、神が宇宙を作った創世神話に直結することになる。つまり、人類はかなり初期から罪を犯していて、いわゆる「原罪」を負っているので、だからダメなんだ、という話である。

 神が宇宙を作り、人類を作り、最初の人類アダムとイブが、食べてはいけない木の実を食べたから、それがダメダメなので、子孫全員ぶっ殺すという話が聖書の世界観の根幹であり、それを防ぐためにイエスがやってきて、イエスを信じるものはぶっ殺されない、というのがキリスト教の根幹である。

 はい。ここでまた私たちは誤認と誤解に溺れていることに気づくだろうか。

 実は「ダメ人間」の話と「イエスが救う」の話は、まったく別物である。

 これが連続した一つの話だと僕たち・私たちは誤解しているが、「ダメ人間がやらかしてしまった」話は旧約聖書で、「イエスがそれを許して救う」というのが新約聖書なので、この2つは別ものなのだ。

 しかし、もう、僕たち私たちは、それらが「つながっている」と思い込んでしまっている。西洋文明に生きているものは「それが常識だ」と信じ込んでいる。いや、信じ込まされてきたわけだ。


 ちなみにユダヤ教徒の信じている終末思想はすごい。

 ユダヤ教徒の信仰では、メシア(救世主)はやってくるが、そのまま地上に現れて、イスラム教徒の地になっている「エルサレム神殿」を奪還、ユダヤ教徒以外を後押ししてきたサタンと霊的大戦争を起こして、その後失われた10支族(つまり、元のアブラハムの子孫全員)が約束の地カナンに戻ってきて、全地球上がユダヤ教徒となり、スペシャルな地上の楽園が完成することになっている。

 ようするに、地球上がみなユダヤ教徒になるので、幸せだね、ということなのだ。

 これはこれで、キリスト教徒や一般人からすれば「すげーな」と思うことだろう。

 まるで日本人と韓国人が、地上の楽園で、みな統一教会員になるようなイメージだ。

(余談だが、キリスト教はユダヤ教のブラッシュアップバージョンなので、先程出てきた「メシア」を、彼こそが実はイエス・キリストだと解釈しているだけだ。

ユダヤ教では、「メシア」はまだやってきていないことになっている。イエスは偽物だと思われているからである)



 とまあ、こんな風に、旧約聖書と新約聖書はかならずしも繋がっていなかったり、誤認や誤解や誘導・洗脳祭りなのだが、次回からもう少し、時系列にそって話をさらに整理してゆこう。


(つづく)





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