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poem 水の中

鍾乳洞の底碧く
静かに浸す
この躰

燻る熾火を
鎮めるように
冷たい水が
浸みてくる

ただ真っさらに
生まれかわらん

碧い世界で泣いている
赤子は私の幼き時分

深い底へと
この身を沈む

燻る熾火を
鎮めるように
冷たい水が
浸みてくる

ことばはこころ。枝先の葉や花は移り変わってゆくけれど、その幹は空へ向かい、その根は大地に深く伸びてゆく。水が巡り風が吹く。陰と光の中で様々ないのちが共に生き始める。移ろいと安らぎのことばの世界。その記録。