ホルマリンの防腐処理

【標本のすすめ】液浸標本(ホルマリン漬け)ってどういうものなの?

前置き
※記事を引用をする場合は本記事のURLリンクをお願いします。


液浸標本の歴史はとても長く、
博物館では生物の保存手段として一般的に使われています。
100年以上も綺麗な姿をとどめている液浸標本がたくさんあります。

まだまだ誤解が多い液浸標本ですが、
液浸標本ってどういうものなのかを知ってもらうことで
怖くて汚いイメージが変わっていくのかなと思って記事にしました。

今回は

・腐ったり、朽ちたりするもの?
・人体に有害なもの?
・液は無くなる?
・自宅で作れるもの?

という疑問にお答えしていこうと思います。


「液浸標本ができるまで」

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本来は研究の目的によって作り方が違いますが、
私が作る観賞用のものを例に挙げて書きました。

1)まずはホルマリンを調整した薬液で組織を変性させます。
つまり腐る性質自体を変えてしまうのです。これを「固定」といいます。

2)上の工程でゴムのように固くなるのを利用して
ポージングするとそのままのポーズで固まります。
大きさによって浸ける期間は適度に。

3)このままでは毒性が心配なので
一度ホルマリン溶液を完全に抜きます。
薬液に浸かってなくても防腐効果は継続されていますのでご安心を。

4)最終的には保存することを目的とした「アルコール」を浸透させます。

この液は身近なものだと消毒用アルコールです。
ごくごく飲まない限り死に繋がるような毒性はありません。
一般水道にも廃液できます。

※ただしアルコールは年月経過とともに微量の液が減っていき、
経年変化として僅かな標本の退色・液の黄変が伴います。


もちろん正しい保管と液交換をすることで状態をよく保てます。
(これは次回ご紹介します)


「ホルマリンの防腐処理」

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一見、魔法のような薬品ですが
ご家庭で毒性に触れずにホルマリンを取り扱うのは難しいです。

空気中に蔓延したホルマリンを吸い込み続けると白血病やガン、奇形児の要因にもなる大変危険な薬品です。

使い終わった薬液を水道に流せないので
然るべき廃液方法が確立していないと購入できません。
大事に至っては大変なので一般のご家庭では扱えないと断言しておきます。


「まとめ」

Q:腐ったり、朽ちたりするもの?
A:防腐処理されてるので腐りません。
正しい保管と液交換をしていれば
ボロボロと組織が剥がれたりする心配もありません。
Q:人体に有害なもの?
A:防腐の工程で有毒なホルマリンを使いますが、
最終的には無毒の「アルコール」に浸かっています。
Q:液は無くなる?
A:多少揮発するので3年に1度くらいはアルコールを足します。
Q:自宅で作れるもの?
A:個人の環境でホルマリンを扱うのはおそらく難しいです。


次回は液浸標本(ホルマリン漬け)の管理方法と題して

自宅での取り扱い方法、ご要望があった「液交換の方法」も同時に紹介させていただきます。


ここまで読んでいただきありがとうございました。


微睡みの標本

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