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「カモメよ、そこから銀座は見えるか?」〜面白くないのは狙い? それとも老害?

M&Oplaysプロデュース「カモメよ、そこから銀座は見えるか?」
作・演出:岩松了
出演:黒島結菜、井之脇海、青木柚、櫻井健人、岩松了、松雪泰子
劇場:下北沢 本多劇場
観劇日:2023年6月6日(火曜)18:00~

たまたま観たテレビのトーク番組に黒島結菜さんが出演されていてね。すごく聡明で、感じのいい人だなぁと思ったんですよ。僕は「ちむどんどん」は観ていなかったので、彼女がどんな役者さんなのかは知りません。で、その番組で告知されていた、この作品のチケットを“ポチッとな”したわけです。テレビの告知って効果あるんですね。

ハズレはないように思えるM&Oplaysがプロデュースする作品。作・演出は、演劇界の重鎮の一人とも言える岩松了氏。松雪泰子さんという大物も出演されている。つまらないということはなかろうと、安心して観に行ったんですよ。でもね、裏切られました。

銀座の年の瀬を舞台に、それぞれ事情を抱えた人間模様が描かれているのですが、とにかくわかりにくいんです。つかみどころがないんです。ほとんどの台詞に意味が感じられないんです。ぶっちゃけ、おもしろくなかったです。

演劇の中には、謎解きのように、最初はあえてわかりにくくして、最後に真実が明らかにするという手法があります。また、筋書きよりもメッセージを主題にして「わからなくてもいい、自由に感じてください」といった類の作品もあります。「カモメよ~」は、どちらでもありません。極めてリアリティを追求した作品に見えて、現実に存在するのか否かが不明瞭な登場人物も出てくる。で、現実と仮想に分けた捉えたとしても、それぞれの言動に一貫性がなく、観客は混乱するだけ。笑っていい場面なのかどうかもわからない。ただ、シンプルにわかりにくいだけで、登場人物たちの思いが伝わらない作品になっていました。

岩松了さんの実力って、こんなものなんですかね? 演出にも工夫が感じられず、新作なのに古い作品を見せられているような感覚でした。衣装もダサいというか安易。せめて音楽や照明で色付けしろよ、と思うが、それもなく……。

黒島結菜さんは、個人的にはそんなに演技はうまいと思わなかったのですが、かわいらしくて、透明感があって、舞台では目を惹く存在でした。そんな彼女の魅力があまり引き出せていなかったように思います。演出が違ったら、演技もうまく見えたかもしれません。松雪泰子さんは、熱量があって、人の滑稽さも演じられる実力派と認識していますが、彼女の魅力も生かされていなかったです。岩松さんが、ただ共演したくて、出演をお願いしただけではないかと思ったり……。

プロデューサー、出演者、舞台スタッフ、出演者の関係者、誰も「このまま上演するのはダメ」って気付かなかったんですかね。それとも、誰も岩松さんに苦言を呈することはできないのかな? だとすると、それは老害だと思いますよ。


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