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もっと五感を働かせ、旅の前より元気になるための3ヶ条

旅の前より、元気になっている。
それが最近のわたしの、旅のちいさなゴール。
日常のよどみを少しずつ洗い流していくのだ

例えば、大きく深呼吸して、冷え性の指先にも熱を感じる。目も、鼻も、耳も、空間のリアルを感じて、五感が生きている。そのためにわたしが実践している3つのことがある。

荷物を軽くすること、早起きすること、デジタルを離れてみること。

以前までは、帰宅するなりソファに倒れ込むような旅行をしていた。予定をいっぱいいっぱいに詰め込んで、ぱんぱんな足と汚れた荷物を引きずって帰ってくる。お風呂に入るのが億劫だけれど、満足感に溢れていた。

でも最近になって、無理をしない旅が好きになってきた。ただ歳をとっただけと言われたらそうかもしれないけれど、落ち着いて自分に向き合える時間がわたしを潤してくれるのだ。きっとフルタイムの仕事から抜け出せる週末くらい、忙しさから離れたいんだろう。

限界まで動き回らなくても、心が満たされる方法を知った。しかもこれは、どんな旅先でも使える。週末に近場でお散歩するだけでも、いつもと違う新鮮な空気を感じることができるだろう。

荷物は軽くする

荷物は必要最低限。自分の思うそれより、ちょっと少ないくらいでもいい

身軽さが足取りを軽くすると思っている。自由である、どこにでも行けるということは、多くの人にとって日常を抜け出すカギになるから。それで心の赴くままに歩いてみればいい。少し足をのばせるなら、電車やバスに乗ればいい。

初めてリュックで旅をしたのは四国の10日間だった。ふらりと路線バスに乗ったり、空港で着いたらすぐに歩き出せたり。両手があいていて、走ろうと思えばそれすら可能な自分にこころが踊る。

例えばわたしは、旅行の際に服を日数分は持っていかない。トップスの雰囲気を変えて服装全体のイメージを変えたり、1週間ほどあるなら洗濯を前提にしたりする。化粧ポーチもいつもより軽く。持ち物の基準も、軽くてかさばらないことが1番になってきた。

もともとは大量の荷物を持ちたがるほうだった。高校時代も大学生のときも、よくリュックが膨れ上がっていて友人から笑われたほど。そんなに何が入っているのとからかわれたけれど、当時は全部必要な気がしていた。あんまり使わないものも持っていて、でも必要な時にはポケットから出てくる状況を、ドラえもんと呼ぶ友達もいた。それはそれで嬉しくて、自分の存在意義を感じていたと思う。

でも、それより自分に優しくすることを覚えたら心も体も楽だった。意外と何も持っていないほうが疲れることがなかったのだ。近場のお出かけから慣れれば、心配が大きすぎることもない。自分で全部責任を持たなくていいんだよと、自分に教えてあげられたんだと思う。

疲れていないと、ポジティブになる。どうせなら最初から最後まで、明るい気持ちで過ごしたい。だからいつでもその場でスキップできるくらいの身軽さを大切にしたいのだ。

朝早く起きてみる

旅では必ず朝活をするようにしている。6時や7時にアラームをかけ、二度寝せずにカーテンを開ける。晴れた日ならきっとまだ真っ青になりきっていない空が見えるだろう。いつもと違って早い朝が嬉しいことに、わたしは非日常の喜びを覚える。

早起きをしたわたしには、いろんなプランがある。

たいていはまず温泉に入る。6時台に行くとそこは貸切状態だったり、よっぽどの温泉マスターたちが静かに入浴したりしていて、わたしもじっくりと汗を流すことができる。人の熱気を吸っていない朝の空気が、ほてった身体を撫でる。

それから、散歩をする。起ききっていない街を歩くのが好きなのだ。人がやっと動き始めて、今日の準備をする静かなときめき。岡山の宇野港から瀬戸内を渡る朝一番目のフェリーに乗ったとき、朝ってこんな色なんだと思った。それから数時間ほどが経つと、あっという間に人が溢れて「わたしが発見した時間」から「みんなの時間」に戻ってしまった。

そして、写真を撮る。もし少しでも旅先の写真にこだわりたいのなら、絶対に早朝に出かけるべきだと思っている。奈良にひとり旅をした時、東大寺の門にはほとんど人がいなかった。鹿の方がよっぽど参道を歩いている。7時半のことだ。それから5時間後、お昼の東大寺にはたくさんの観光客がいて、賑やかな観光地一色だった。

おいしそうな朝ごはんを探すこともある。旅先では、朝ごはんを食べるか食べないかもその時の自分と相談して決めている。和食を出している定食屋さんとか、雰囲気のいい珈琲店などがあると、わくわくと吸い込まれてしまう。少し緊張しながらも、その土地で健康的に朝を迎えられた自分を誇らしく思う。

あっという間に過ぎる旅の時間を、すこし贅沢に伸ばしてみると、いつも感じない空気のすがすがしさを感じるかもしれない。

アナログを楽しむ

最後に、わたしは旅の間はあまりイヤホンはしない。交通手段を調べたり、写真を撮ったりしないときは、スマホを本に持ち換えるようにもする。そっちの方がその場の音や匂いや色を感じられるから。

その土地を感じる雑踏の、あるいは自然の音が好きだ。波音なのか、バイクの渋滞なのか、鳥のさえずりなのか。いつもとは違う場所にいることを強く感じられて、東京のワンルームにこもっている時には決して味わえない臨場感がある。

少し前に宮崎の海辺で、2時間以上ゆっくりと本を読んだ。日差しが背中を温める感覚や、時折ふく風に大きくヤシの木の影が揺れることや、高校生カップルがぎこちなくふたりで食べているソフトクリームの眩しさや、大きく弾ける波の音。

空間を作るすべてのものが刺激となり、わたしの普段は休んでいる五感たちを起こすのだ

個人個人の旅のスタイルは大切にしたい。けれど、あまり自分の世界に閉じこもらないようにするのが、新しい土地を楽しむコツだと思う。

例えばタイとイタリアの匂いは全然違う。何となく違うのはイメージでもわかる。でも、どう違うのか、どう感じたのかは行かないと分からない。それと同じように、現地の人たちの生活や話し方、道路の固さ、温度や湿気を感じてほしい。それがSNSの時代に旅をする意味だと思うから。

私たちの日常には隙間が必要だ

食べて寝て、仕事をして。生きていくために、わたし達は日常に膨大な「すべきこと・した方がいいこと」を積み上げている。

でも、たまには休みがほしい。何日かに一度は自動的にやってきて、でも実際には家事に追われるようなやつじゃない。ほんとうの休み。

頭で考えたことではなく、心と身体が求めていることを聞いてあげるための時間だ。実際にそれを作り出すために、私は定期的に旅に出ている。

お出かけするとついいろいろ詰め込んでしまうという人も、荷物をとにかく軽くして、朝早く起きると決めて、デジタルから少し距離を置いてみてほしい。

それは隙間をつくるということ。
日常に埋まっていた自分の窓を開けて、風通しをよくするといくこと。

風が通るぶんの隙間をあけたら、きっとそこには旅の体験がどっと流れ込んでくるはずだ。五感を動かされた時間は、忘れられないものになるに違いない。

あれ、なんだか元気になってる。

日常に帰ってきたとき、そんなふうに思えたらいい。日常も、すこし鮮やかに見えるようになっていたらいい。



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