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ディアハンター

アレゴリーを使って書いたら、とてもビックリされた作品。詩らしい作品を一つぐらいは残しておこうという今回。

         ✳︎

ディアハンターは鹿を狩る
鹿を狩ることが楽しくてしかたがない

森に流れる川が雪で埋もれる
水面の雪が多く集まる場所では
清々しいが散見され
ディアハンターは清々しいを楽しむ
鹿はそのことを知らない
餌を探しながら
水面へ近づくと
表情が豹変したディアハンターが銃を構え
パシュンという音
雪に埋もれて息絶えれば
鹿は幸せなんだけれども
ディアハンターの満足な手柄になって
引きずられてゆくんだ

鹿の子どもたちは
水面の先で
キラキラと清々しいを食べながら
なにも知らずに
迎えない春の訪れをずっと待っている

若いディアハンターは
クリスマスが終わるころに
召集状が届くことを
もちろん知らない
みんな楽しいことを止めて
兵隊をやらないといけないんだ

魚釣りを止める人
聖書売りを止める人
ダンスを止める人
運転を止める人
愛する人へのキスを
止めなければいけない人
どこからか
どこからもみんな

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