海辺のスピカ

みうらくんともいう

世界は全滅すればいい

その世界という囲いをなぞり押す親指ぐらいに小さなことは、気にしないように気にしている。屋上に広がっている白くてプール映えした寝椅子に座っているあたしが経済というのかもしれないし、そんなことは知らない。
すみませんすみません、すみません、触ってもいいですか、な、展開をしておるわけではありませんがよろしくお願いしますね、と、おじさんが話かけてくる。いいのかと思うけど、あたしのいいねは放ってしまう。

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散文・詩/夜明け

状況をじっと考えていた
みていた
それが一番適当だろう

僕が話す言葉に耳を澄まして
きみは状況をじっと考えていた
考えていることを想うことをタイミングを見計らいながら僕に応えていた
気付いていたことがあって

約束する曼荼羅

弱く醜い自分だと決めつける朝に嘘が始まる
一度始まる嘘は心情よりも比重が軽く
自分自身が逆さまになって楽に落ちてゆく
嘘の色は黒ではなく白夜のような遮光色で

彼女たちはその状態をじっとみていた
微笑むでもなく 悲しむでもなく
彼女たちは川辺から沈みゆく俺を
かわるがわるじっとみていた

朱色塗装の鉄鋼を

**掌から上げられた情事は

スローカーブの軌跡に沿って彼女たちにフレームイン
朱色をし

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断片ールマのBGMー

「BANZAI」での労働内容。はじまりは音楽だ。BGMに何を選ぶか。
そこでおまえのサービスの「質」が決まるんだよ。客はおまえを知りたいんだ。足の裏の臭いやら恥ずかしいことも全部だ。キレイな服やら脚のみせかた?そんなものを期待する男は来ない。ムーラン・ルージュだ。そういう心持ちの連中はムーラン・ルージュを賢い顔つきで観に行くもんだろう。
例えばだ。水曜日の常連。オディン。あれを部屋へ入れる。
さあ

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断片ーFor Moonー

月光がエリーゼのためにであり
人が聴こえない音があることを知っていますか。
よくわからない話はいつものこと。だから僕はわかります、わかりますと笑う。お兄さんが喜んでいる。僕はもっともっと答える。
「はい、わかります」と声に出して笑う。
部屋のライトがつく。

「誕生会のために一生懸命に練習してるって」

ママは僕をみていない。お兄さんのこともみていない。みえていない。
「エリーゼのために。むず

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断片ールマの損得ー

水曜日の夜はルマがオディンを部屋へ。ルマがドアノブを軽く押す。オディンがルマの前を横切る。異臭が後を追う。しかしルマは表情を変えることはない。それが、ルマの損得勘定だ。200ユーロ200ユーロ200ユーロ。2時間後にルマへ渡されるもの。