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左腕の相棒

 香水・指輪・時計、三大装備漏れしがちな装飾品。家を出る直前につける為、目標時間ギリギリに全ての準備を済ませようとすると大体一つは忘れます。悔しいことに家を出た直後「あっ忘れた....」と気づきます。しかし、どれも無いと死ぬというわけではないので諦めるしかなく、もう少し余裕を持って準備しないとなぁと反省するのです。

 どれも無いと一日寂しい気持ちになるのですが、時計は特にダメージが大きい。左手首が寂しい。外出時は常に時計を確認しながら動く人間である為シンプルに不便。今時はスマホが時計の役目も担い、若者達はあまり腕時計を使わないと聞くこともありますが、その都度カバンからスマホを出すのが面倒/歩行中にスマホいじると落としそう等の理由から私は腕時計派です。今のスマホは重い、便利だけど荷物を軽くすることに尽力している身としては忌まわしき存在でもあります。

 腕時計を本格的に使い始めたのは高校受験の頃、親が買い与えてくれました。それまでも何度か時計を贈ってもらったことはあったのですが、小中学校って腕時計すら禁止みたいな雰囲気があってほとんど使うことはなかった。時間がわからないから中学生の時なんかは早足で登校していたな....試験中とにかく時計を確認するタイプだった為、手元に時計があるって便利...!と思いました。ここからもう腕時計依存は始まっていたのかもしれません。高校生になってからは時計を忘れると落ち着かない体になります。家から駅に行くまでの道で何度時計を見ていたか。あそこのポイントに何分以内に着きたい、この時間にここまで来ていればあの電車に乗れる、毎日タイムトライアルしていました。同級生で腕時計を使っている子はそこまで多くなく、腕時計のイメージあると言われることもありました。もう完全に依存です。

初代相棒はTIMEXさんでした。文字盤が見やすい、ベルトの配色が好き、秒針が赤色でかわいい。勉強中は外していたので机の中に置いて帰ってしまうこともしばしば。そんな持ち主にも健気に付き合ってくれました。4年くらい使っていたけど、一度も止まることなくいてくれました。今パンナム航空コラボTIMEXが出ているそうで、とてもかわいい.....

 二代目、そして現在の相棒はHAMILTONさん。二十歳の記念に親が贈ってくれました。私の腕時計依存は確実に親からの遺伝です。同じく腕時計依存へと成長した娘には何かの節目で時計を贈ると考えていたそう。選ぶ際に私が決めていたことは、1.自動巻き 2.革ベルトの二点。自動巻きへの憧れは中学生の頃に読んだ漫画『宇宙兄弟』の影響です。ムッタがチリチリネジを回しているのを見て「かっこいい....」と思ったところからです。ベルトに関しては革好きだし、金属ベルト難しそう、冬は寒そうといった理由です。ハミルトンは親から「麻生久美子がドラマで着けてたのがかわいい」と勧められました。キャットストリートにある路面店に行き、高度なラッピング技術に感嘆。初期設定ベルトは白色。普段は白い小物を手にしない為次のバイト代でネイビーあたりに変えようかなと考えていましたが、着けてみるととてもかわいい....。裏が赤色になっておりちらりと見える赤が良いアクセント、結局白のかわいさにあっさり屈服して今現在に至ります。

 自動巻きの魅力は「使わないと止まる」所にあります。四、五日使わないと止まるし、二日使わないと遅れます(私の場合)。機械だけど生き物みたいで、止まっていると「ごめんね....」という気持ちが芽生えます、なんなら声に出して謝ります。気づいたらスマホの時間よりも遅れていて、なんか思ってた時間と違う!と焦ります。でも、それが愛おしいです。浮気できないし。あとはクォーツよりも静かなのも好きです。先代は秒針の音が大きく、就寝時は引出しにしまっておかないと音が気になって眠れなかったのですが、今の子は音が気になりません。ただ、耳を近づけてみると「チッチッチッチ.......」と確かに時を刻んでいます。裏拍みたいなのが聞こえる気もします。まるで心音のような温かさのある音で、やっぱり愛おしいと感じます。

 自動巻き時計は重いです。ただその重みに慣れてしまうと、つけ忘れてしまった時に左手首が虚しくブラブラと揺れるように感じます。重みも愛おしい。愛おしさばかり感じてしまう。

 来年の目標はつけ忘れ0。そして革ベルトを新調します。

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