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悲しみが去るまで


 頭が痛い。毎日懲りることなく頭痛の中スマホをいじり、パソコンを開き、文庫本を開く。私はうつ病になって…2年以上は経っている。もっとも、小学生の頃から憂鬱と疲れはくすぶっていたけれど。
 スティーブン•キング『夕暮れをすぎて』の2篇目「ジンジャーブレッド•ガール」。我が子の突然死で悲しみに暮れた主人公は、悲しみが自分の中で過去になるまで走って走って、走る続ける。私は自分の悲しみが過去になるまで、気が済むまで何をすればいいのだろう?  

 憂鬱な気持ちで外へ歩き出した時、妄想をする。妄想は数歩ごとにオリジナルのストーリーになり、ワンシーンを生み出す。くつろぐために入ったカフェで耐えられない悲しみに襲われた時、ノートに妄想を走り書きする。ただのワンシーンだ、小説になりやしない。しかし妄想が続く間、気分は悪くない。早く私を物書きにしてくれ。


 読まないと書けない。読めば書ける…読んで歩けば書ける。創作意欲は卵白と同じで、かき混ぜれば沸き立ち膨らんでいく。私の場合かき混ぜるには、歩く必要があるようだ。
 体力をつける必要があるんだ。長く妄想を続けるための体力、情報を吸収し続ける体力、重い体で走れとは言わない。毎日欠かさず着替えて髪を整え、図書館へ通うのも立派な運動だろう。ついでに長い寄り道をすれば良い。1週間が3日に感じられるのは家にいすぎているせいだ。

 いくらかかるか知らないけど、兵馬俑が上野で見られるらしい。兵馬俑の人間には興味がないが、馬車を引く馬はいるかなぁ?馬が見たい。木の小屋から首を伸ばしている馬ではなく、逞しいケツを上下して走る馬が。そうか、競馬場に行けば良いんだ。聞いたところ、美味しい食べ物もあるらしいし、競馬場へ行ってみよう。

 2023年は手の届く範囲でやりたかったことを全てやると決めている。手の届かないやりたいことは、猫を飼うことや文学フリマに出店すること、一人暮らし。うつで行動が制限されている間は無理なことばかり…。可能な範囲で、精一杯ジタバタするとしよう。悲しみが去るまで。

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