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ファッションブランドのキャッシュフロー問題。職人を守るために取り組んだこと

ファッションデザイナーの村松です。ファッションブランドの『muuc』や、ニット文化を広げるプロジェクト『AND WOOL』を運営したり、サスティナブルブランド『CARL VON LINNÉ』のデザイナーをしたりしています。


※stand.fm で音声配信しています。

私が運営しているAND WOOLでは、ファーマーズマーケットの野菜のように、ニットも作っている人の顔が見えるようにしたいという想いからさまざまな取り組みをおこなっています。
 
例えば、店舗内にある作業場を外から見えるようにしたり、手仕事で洋服を作ったり、お客様自身が手作りの楽しさを味わってもらえるように毛糸を販売したり、ワークショップを開催したり、共感の輪が広がるようなものを常にイメージして活動してきました。
 
その一環として、私たちは2017年ごろから「ニット職人を育てる」という活動を始めました。
 

ニットは誰でもどこにいても楽しめる

 
ニットでものづくりをするときに、特別な広い場所や、高価な道具は必要ありません。ちょっとした座るスペースと、安価な道具と、やる気・根気と、クリエイティブを愛する心さえあれば、いくらでも素敵なものを作れるというのがニットのいいところだと思っています。
 
そういった特徴から、例えば、在宅ワークをしたい方や、障害を持っている方にもニットのお仕事をすることで楽しいな、面白いなと思ってもらえるのではないかと思って、いろいろな方にニットを教え、一緒にニットを作ってもらっています。
 
ただ、技術を教えてニットを作れるようにすること自体は難しくないのですが、雇用を続けてビジネスを回していくのはやっぱり難しいんですよね。

職人さんの工賃をどう工面するか。業界の構造上の課題に直面

 
ものづくりをする会社にとって大きな課題となるのが、キャッシュフローです。一般的に、ものづくりの会社は最初に商品を作り、その後販売する流れになりますよね。その際、原料の購入費用や、職人さんへ支払う制作費用が、売上を上げる前に先に出て行ってしまいます。
 
そのうえ、その商品が必ず売れる保証もなく、在庫を抱えるリスクも背負わなければなりません。ですが、ある程度まとまった量を作らないと、職人さんたちの生活を賄うことができないし、ビジネスとして成り立たなくなります。
 
これは業界の構造上の問題なのですが、私たちのような資金面で余裕のない小さな会社にとって、キャッシュフローは大きな課題となります。
 
その課題を解決するために始めたのが、クラウドファンディングでした。これまで4回挑戦し、合計で500万円ぐらいのご支援をいただいています。
 
クラウドファンディングをやると、やっぱり本当にいろんな声が聞こえてきます。クラウドファンディングを通じて私たちの活動を知ったっていう人からの応援もいただければ、普段から応援してくれる人の暖かいご支援もあり、やっぱり応援の声が可視化できるっていうのも私たち自身すごく励みになりますし、そうやってみんなが盛り上げてくれることで、私たちの活動を知ってくれる方がさらに増えていくっていうのも大きな力だなと思いました。
 
ただ一方で、怪しいだとか、なんか悪いことしているんじゃないかっていうような声もやっぱりやればやるほど出てくるんですよね。もちろんいろいろなご意見があるというのは理解しているので、自分が頑張っていくしかないんだなと思います。

誤解を少しでも減らすことができるように。と、note でも、クラウドファンディングを行う理由については、何度も記事にしてきました。
https://note.com/mumumukkkk/n/nb07131b0b776?magazine_key=ma044f9b6c9c8

この記事を書いている今も、今年の秋冬シーズンに向けて、職人さんたちの手が休まることがないように、販売先のお店さんたちに営業をして回っています。
秋冬時期になると、在庫が足りなくなってしまい販売機会を逃し、春時期はどうしても閑散期に入ってしまう。という状況は、今も完全には解決していません。 何度も、様々な方に、この想いと商品の良さを伝えていくしかないと常々感じています。

これからもさまざまな方法を模索しながら、私たちの活動に関わる全ての方がハッピーになるような、そんな事業を続けていきたいと思います。
 
それでは、本日はここまで。


〜新商品販売のお知らせ〜

私がデザイナーを務めている【muuc】では、新しく靴の販売が始まりました。神戸の靴メーカーさんとのご縁が生まれたことで出来上がった、高品質な靴です。軽く、履き心地良いと御好評いただいています。日本各地で行われるポップアップショップではご試着もいただけますので、どうぞよろしくお願い致します。


いつもありがとうございます。活動を、もっと多くの方に知っていただきたいと思っています。いただいたサポートは、それを「伝える」このnoteページを充実させるために使わせていただきます。これからもどうぞよろしくお願いします。