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思い出せなくてこそパスワード

パスワードこそ、共通化して一つで済んでしまって欲しいと思ってしまう、という話。


定期的に通っている歯医者の受付にマイナカードが導入されていた。
家を出る前に、診察券と保険証を持っていることを確かめたけれど、そうか、これからはマイナカードの確認が必要になるのか。

忘れ物をしてしまった、という感じに気持ちが沈んだ。
ちょっとした物忘れが多いようで、最近気にしているのだ。だから出がけには必ず、荷物をチェックするようにしている。今日だってチェックしたのに、忘れ物しちゃった。あーあ、ションボリだ。

受付の、ほんの少しの時間に凹んでいると、
「次にもしマイナカードで受付をされるつもりでしたら、パスワードも確認してきてくださいね」
戻された保険証には、そんな言葉が付いてきた。

「顔認証も可能なんですけど、大体の人はパスワード認証を選ばれて、パスワード忘れちゃったって言うんです。だから確認してきてくださいね」

だそうだ。

「わかりました」
答えつつ考える。パスワード、なんだったっけ?



あっちでもこっちでも設定させられるパスワード。
文字数はいくつ以上、数字と記号も使え、推測されやすいものはやめろ、使い回しはやめろ、決めるにあたって、あれこれ求められる事も多い。
正直、みんなどうしているのだろう?

そんなにいくつも思いつく?
やっと捻り出したワード、覚えていられる?

私はもう全然ダメ。ログインするたびに、「パスワードをお忘れの方はこちら」のシステムにお世話になっているサイトがいくつもあるくらいだ。

新たにパスワードを作成するときに毎回Googleが、自動で作りましょうか、って訊いてくれるようになったのは私のダメさのせいなのかしら。
それでもまだ作ってもらったことはない。私の知らないパスワードをGoogleさんだけ知っているってどうなのよと思わずにはいられないくらいには、周りを信頼しきれない性格なもので。。。

そのくせ、覚えられないのだから、手に負えないよね。わかっている。がんばってはみているのだけれど、本当に覚えられないのよね。


思えば、数字を覚えるの、ずっと苦手だわ。
日本史の年号、覚えられたのはちょっとだけだったし。歴史は好きなのに、年号だとか時代の前後関係を覚えることができなくって挫折した。読みものとしての歴史の教科書は十分楽しめたからいいのだけれど、テストは惨憺たるものだったし、今でも頭に残っているのは物語としての歴史部分だけ。史実とは別のフィクションとごっちゃにさえなっている。

あれ、なんの話だっけ?

そうそうパスワードだ。そうか、いっそのこと、年号にしちゃえばいいのかしら。そうしたら少なくとも作るのには困らなそう。いい国作ろうツイッター、とか。
ああ、でもまた思い出せないから意味ないか。


いろんなことを一元化するマイナカード。どうせなら、パスワードの方を一元化して欲しかったかも。共通化してOKな世にして欲しかった。スマホの中のアプリも決済も、指紋認証でサクッと進めてくれるのとおんなじように、ぜーんぶまとめて私のパスワードって済ませられたらいいのに。
妄想は膨らむばかりだ。

どれだけ安全な世界になったら、叶えられる夢かしら?

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