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蚊取りマット



 蚊がいた。今年になってもう二度も蚊を目撃した。
 窓を開けている時間が長いからなのか、外出時に連れてきてしまっているのか、定かではないけれど、我が家はどこからか蚊の侵入を許している。

 私は痛いのと痒いのは我慢がならない。どちらも常に薬を持ち歩くくらいに苦手だ。だから、できることならなるべく蚊に刺さないようにしたい。
 プッシュスプレータイプの防虫剤が常備してあるけれど、いまひとつ効果のほどがわからない。これは蚊取りマットを買いにいかなければ。
 人での少なそうな時間を狙って、ドラッグストアへ出かけた。


 蚊取りマット。そう考えてしまったけれど、ここ数年、蚊取りマットを目にしていない。我が家では液体ボトルをセットするタイプのものを使っていた。
 蚊取りマット。もしかしたら今はない代物なのか。

 ドラッグストアの売り場にも、蚊取り線香はあるのに蚊取りマットは無かった。マットは滅んだのだろうか?
 そして季節商品として大きく取られた陳列棚は、プッシュスプレータイプの防虫剤を推していた。有名メーカーから聞いたことのない会社のものまで、どこを比べて選んだらいいのかわからないくらいに並んでいる。

 液体ボトルを使用するノーマットは本体が2種類に取替ボトルが数種類並んでいた。我が家には本体の黒豚ちゃんがいるので、おなじメーカーの取替ボトルを手に取ろうと思った。

 けれど待てよ。取替ボトルは割高のように見えた。本体付きが990円。取替ボトルは2本入りで1200円。これはちょっと悩む。ボトル2本は要らないし。

 もう一度、棚をよく見ると、ノーマットコードレス本体というものが1種類、あまり主張しない感じで置かれていた。電池式とある。可動ならば使い勝手いいように思う。コードレスに変えるのも手か。

 けれど、このタイプは取替ボトルが見当たらない。発売されていないなんてことはないだろうけれど、薬剤が切れたらまた本体を買い直すことになるのでは?

 どうせ買い直すなら黒豚ちゃんのほうがいい。頭の中のすごろくはどんどん進んだ。

 いやいや、それはおかしい。黒豚ちゃんは今も家に居るじゃないか。それをかわいがらずにどうする。

 そうして結局、2本入りの取替ボトルを購入した。


 それにしても蚊取りマット。どうにも気になったので帰って検索してみたら、まだ現役じゃないか! 本体もマットも売っている。
 最新式の本体は真っ白でスタイリッシュにさえ見える。

 これだよ、と思う。

 最近、リアル店舗での買い物でこういうことがとても多い。棚は限られている。置くことのできるものは限られている。わかるのだけれど、品揃えがどうも満足いかない。
 本体を購入したからといって、次におなじ店で詰め替えパックが買えるとは限らないのだ。食器洗い洗剤しかり、洗濯洗剤しかり。
 おなじものが買いたくて何軒も探し回る。結果、見つからないことも多い。

 自分好みの品をリピートするにはネットで購入するしかない。またはネットで購入するのが便利。そう思ってしまう。

 リアル店舗での買い物が難しい。
 店舗離れ。一方では買い物難民なんて言われる状況もあったりする。今後はリアルで店を開く会社は減り、運送関係の会社が増える。そんな未来が待っているのかしら。


 なんだか悩ましい買い物であった。とはいえ、取替ボトルは無事セットされた。
 これで我が家への蚊の侵入を防ぐことができれば、万々歳である。





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