アケコンを自作したい③

挨拶

電子工作初心者がアケコンを自作する記録の第3回目。
挑戦は楽しい。失敗も楽しい。動くと嬉しい。記録は大事。
これがこのシリーズのテーマです。至って普通なモノづくりの基本テーマな気がします。

以前の記事はこちら。

極論は『動けばいい』の精神

GND配線作成

前回はボタン用のGND配線を作り忘れたというところで話が終わった。
というわけでまずはソレを作る。

そもそもアケコンのボタンからは2本端子が出ており、片方は基板のボタン側、もう片方はGND側に接続しないと動かないので、このままでは基板や線のテストすらできないのだ。

GNDの配線は数珠繋ぎで作る必要がある。
ボタンの数が11個(レバーレスや好み次第でもっと多い)に対し、基板側のGND配線は8箇所しかない。

黒のGNDがボタン数に対して明らかに少ない

Aボタンは基板のAボタンの箇所に繋げないと当然機能しないが、その反面GNDの線は、基板のGNDならどこに繋いでも良い。
そして、GNDの配線は束ねて1箇所に繋いでも良い。この特性を利用して、GND用の線は数珠繋ぎすることになる。

数珠繋ぎというのは、2本の線を同じファストン端子にかしめていく作業である。

想定したボタンの数(11個)だけ端子を繋げていく

ボタン用の配線に使ったのはAWG24の線(※)だったが、これを2本同じ端子に繋げるには太すぎる。
手持ちにあるAWG28の線を使って作った。

※AWGは線の太さを表す単位。
ざっくりと数字が小さければ太い。


ミスった

noteでは淡々と書いてるので作業も順調に見えるかもしれない。実際はそんなことはない。
行き当たりばったりの電子工作は『トライアンドエラーアンドエラー』だ。

ファストン端子#110メスがボタンに刺さる端子なのだが、AWG28の線が細すぎた。
数珠繋ぎにする関係上2本分の心線を束ねるのだが、それでもかなりギリギリの太さだった。
特に内側の心線側をかしめる部分に対して太さが足りず、かしめの具合によっては軽く引っ張ると抜けてしまうことも多々。
こういうときは、必要以上に被膜を剥き、心線を折り返して太さを倍にすることで無理矢理解決した。

AWG26を買えば良かったのだろうが、買いに行く暇がなく(通販でこれだけ買うのも送料が高い)何より手持ちの機材で工夫してみるというのは楽しい。
ということで、『そもそもアケコンなんてものは、ボタンと端子と心線と基板が不恰好だろうと繋がっていれば動く』という考えの元、取り敢えず作ってみた。楽しい。

これはGNDを4つ数珠繋ぎしてみた時点でテストした時の映像。淡々と書いているが、きちんと動作した時はとても嬉しい。
一旦不具合の可能性なんて忘れるのがモノづくりを楽しむコツである。ほんとか?

ところで、取り敢えず動くなんてレベルの工作でアケコンを作ったら、使っているうちに断線やら接触不良やらの不具合が発生する可能性が高いだろ! と思ったかもしれない。
事実それはその通りである(その昔にやらかしたことがある)
そこはわかっているので石は投げないで欲しい。
不具合が出たら作り直せばいいのである。
メンテしやすさの本領発揮である。方向性は間違っているが。



QIコネクタ

アケコンのボタン側に繋がるのはファストン端子#110メスであるが、基板側に繋げる方はQIコネクタに結線していく。

が、その前に説明が必要なものがある。

今回アケコンの基板として使っているのはRaspberry Pi Picoである。

緑色のやつがそれ。横幅5㌢。picoの名のイメージ通りとても小さい

基板の画像を見れば分かるが、基板に線を繋げる部分は穴が空いている。
ここに直接心線を半田付けすれば動くのだが、ソレは絶対にやりたくない。
手間がかかりすぎる、細かくて半田付けの難度も高い。なんせ穴と穴の感覚は4㎜程度だ。
しかも半田付けをしてしまうと取り外しにくくメンテがし辛いと三重苦だ。

同じ半田付けするなら、後のメンテのしやすさを考え、基板の穴にピンヘッダ(さっきの画像の黄色いパーツだ。)をつけ金属の棒を露出させ、そこにQIコネクタをつけるようにすれば良い。

基板とピンヘッダを半田付けする手間はあるが、一度そこさえ済ませてしまえば、あとはQIコネクタで取り外しが楽。配線ひとつ毎にメンテがしやすいので安心である。

ピンヘッダをラズパイの穴に差し込んだイメージ図

というわけでラズパイとピンヘッダの半田付けしようとした結果がコレである。



とても綺麗な
仕上がりである




しようとした結果の既製品である。

なんていうか、パーツを買いに千石電商の棚を見ていたらあったので買った。1000円弱。お買い得すぎるだろ。

アケコンに使うパーツはなるべく自分で作ろうとしていたが、細かすぎる半田付けは俺の『電子工作してみたい』の気持ちを遥かに超えているものであることがわかった。
そしてラズパイピコは一つ余った。どーすんのこれ。


……さて。
過程はどうあれ無事ラズパイからピンが生えた。
このピンに心線を繋ぐときに使うのが、冒頭に言ったQIコネクタである。

まずは電線の被膜を剥いて心線を出す。

親指と比較。QIコネクタ用の端子はとても小さい

次にかしめる。

うーん小さい

これをQIコネクタのピンに刺す。

右の黒いのがQIコネクタ。ここに差し込んでいく

そしてこれを基板のピンに付けるのだが……

ミスった

どうにも完成したものが基板のピンにしっかり刺さらない。

これはQIコネクタがうまく刺さらず、端子をそのままピンに刺して動作確認した時の写真

最初はパーツの規格を間違えたのかと思ったが、端子だけなら刺さっているし、QIコネクタに関しても何度調べてもこの規格で正しいと出る。

そう、実際パーツの規格は正しかった。
そして原因は自分の予想していないところはあった。
答えはこの端子をかしめるのに参考にしたWEBサイトにしっかり書いてあった。

QIコネクタで使用するワイヤーは、AWG26ぐらいが圧着もしやすく最適です。
(中略)
コンタクトピンをハウジングに挿入したとき、2回『カチッ』と音がします。

http://blog.digit-parts.com/archives/51796900.htmlより

そう、ボタン用の電線にAWG24を使っていて、被膜の部分が太すぎてQIコネクタに入らなかったのが原因だったのだ。
2回『カチッ』が聞こえない原因もこれだ。

カラフルな被膜はどれもQIコネクタの入り口を通ることはなく

しかしボタン用の線は18本ほど作ってしまっている。今更作り直すのは大変な手間だ。

何か手はないか、と考えて閃いた。

リカバリー

被膜が入らないなら心線だけにすればいいじゃない!
ということで、被膜を長めに剥き、端子は心線のみをかしめた。
その結果、QIコネクタの奥まで入り、『カチッ』も2回鳴った。あの音と感触は快感だった。

心線だけならスリムボディ

被膜ごとかしめていないので、若干強度的な不安は残るが、軽く引っ張っても外れないので多分平気だろう。

そう信じてこれを11本作った。
かくして、ボタン用の線は揃ったのである。

次回予告

作ったものは動作テストしないといけない。
だが11個もボタンがあると、テスト用に配線するのも一苦労だ。同時押しのテストもやり辛い。

もうボタンのテストをするなら、アケコンの土台に穴開けて、ボタン配置までしてからでいいよね、と思い始めた。

というわけで次回の記事はうまく行けば、アケコンの姿になったA4ファイルケースをお見せできるかもしれない。

お見せできなかった場合は、バキバキに割れたA4ファイルケースの写真だけあげようと思う。

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