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はじめに 最後の『モトの話』をはじめよう(セカイのトリセツ)

◆『ジンセイとは何か?』を論理で

 いきなりですが、まずみなさんに質問です。

 人生とは何だと思いますか?

 大事なことなのでもう一度問います。

 「人生」とは『何』だと思いますか?

 ……この質問はシリーズ『モトの話』の重要なテーマで、本の冒頭で毎回問いかけているものです。そして、その「答え」にあたるものを、前巻『ジンセイのトリセツ(モトの話④:上級編)』でこう説明しました。

人生とは【個別のドラマ】が【関わりの網目】によって連なる【地獄世界】の『時間の構造』の一部分である

 人生とは何か? という世紀の大疑問を、前巻ではたったこれだけの言葉で説明してのけました。そう、これが全部なんです。人生というのはどういう『現象』なのか? という疑問の答えは『個別のドラマが関わりの網目によって連なる地獄世界の時間の構造の一部分だよ』という話なんです。
 とはいえ、これだけを「はいっ!」と見せられてもきっと大半の方は「ポカーン」という反応になるのではないかと思います。ですから前巻丸々一冊をかけて、この「答え」が「どういう意味なのか?」を書いたわけです。本一冊分という長い文章量になってしまいましたが、前巻では少なくとも
「人生という『現象』は、言葉で説明できるものだ」
ということを、読んでくださったみなさんにちゃんとお伝えできたのではないかと思っています。


◆世の中にフシギなことは一つもない!?

 前巻まで『入門編』から『上級編』の四冊の本を書くことで、この
「人生という『現象』とそれにまつわる『全て』は、言葉で説明できるものだ」
ということを一生懸命にお伝えしてきました。そして「どうしてそう言えるのか」という根拠として、

モト

という「新しい考え方」をご紹介してきました。この『モト』という新しい概念に照らせば、今まで「考えても仕方なかったこと」に分類されていた

  • 愛とは何か

  • 人生とは何か

  • 幸せとは何か

こういった疑問に、言葉で表せる明確な「答え」があることが『理解』できるようになります。

 なぜなら……この『モト』というのは『理論』だからです。理論なのだから、当然論理的な説明ができる、というわけです。
 理論というのはこうだからこう、こうだからこう、だからこうだと考えられる、の積み重ねです。この『モト理論』があれば「僕たちのココロに『モト』という材料があるよ」という仮定のもと、家族との関係から宇宙の終焉(しゅうえん)まで、あらゆるフシギな疑問を「説明してのける」ことができます。そして実際に、前巻までの内容でその「説明」をすべてやってしまいました。
(まだ前巻『ジンセイのトリセツ』をお読みでない方は、ぜひお読みください)

 以上を踏まえて……今お読みのこの本『シリーズ:モトの話⑤【エキスパート編】』では、ここまで四冊の本では語りきれなかった、モト理論の「最終奥義」を記しています。
 この本は、今までの四冊の本に残された「なぜそうなの?」全てに回答するべく書かれました。この本がシリーズ最後の本です。
 この『エキスパート編』では、先ほどの「人生とは何か」の答え

人生とは【個別のドラマ】が【関わりの網目】によって連なる【地獄世界】の『時間の構造』の一部分である

の「なぜそう言えるの?」というフシギ全てに答えます。この『モトの話』ではすべてが「論理」です。なぜそうなのか? をうやむやにしないことを目標に書かれています。そういう意味を込めて

『癒やさない! 霊感ゼロでも【解かる】スピリチュアル理論』

というキャッチフレーズを掲げています。このキャッチフレーズに恥じない内容をお届けできると自負していますので、どうぞお楽しみに。


◆筆者紹介とシリーズ『モトの話』について

 この本のシリーズ『モトの話』では2021年2月の一冊目
ニンゲンのトリセツ(入門編)
を皮切りに、
カンジョウのトリセツ(初級編)』(2021年7月)
レンアイのトリセツ・オカネのトリセツ(中級編)』(2021年10月)
ジンセイのトリセツ(上級編)』(2022年2月)
が書き下ろされました。
 この『モトの話』というのは、筆者である僕のオリジナルです。あしかけ30年ほどかけて、たくさんの本やネット情報やほかの方のお話などを参考に、自分自身の人生を「もうちょっとマトモなもの」にするために必死で考え出したものです。自分自身のために考えたのだから、それはもう本当に必死に「ひねり出した」ものです。

 ついでなので筆者のこれまでについて少しだけ。僕は福岡県の北九州市という街で生まれ育ちました。今なら自分がいわゆる『大人の発達障害』を持っていることを知っているのですが、それが確定診断されたのは筆者が41歳のときで、それまで「自分が社会とどこかズレている」ことはわかっていたものの、どう「ズレている」のかが全く理解できずにいました。ですから、診断が出るまでの人生……特に子供時代から24歳ごろまで過ごした地元での生活は、それはそれはココロに重いものでした。あまり思い出したくありません……。
 子供時代はもとより、大人になってもなかなか社会に馴染めず、24歳ごろに大阪に移り住んだものの、就職氷河期時代もあいまってフリーターとして様々な仕事を低賃金で転々とすることになり、結果一日一本の「うまい棒」だけで飢えを凌ぐ日々、という悲惨な青年時代を送りました。その後も極貧生活は続き、2008年頃のいわゆるリーマンショックで職を失った後、就職活動に五年かけて1000回失敗し(数えました)、全財産を失い生活保護を受給しながら引きこもり生活を始めることになってしまいました。
 もともと高慢ちきで偏見に満ちた人間だったので、自分のほうが正しくて社会のほうが間違っていると信じて疑わなかったですし、それでいて「チビデブメガネ」というお世辞にも麗しいと言えない見た目も相まって、異性とのロマンスすら一つも経験できないまま、貧乏で不満だらけのダメおじさんにすくすく成長しました。

 そんな生活の中、僕がだいたい16歳ごろから考えていた

「なぜこんなに『悲惨な人生』を送る人間が存在するのか」

「なぜ自分がそうなのか」

という、普通なら「考えても仕方がないこと」に分類される考えに取り憑かれ続けていました。なにせ友人も恋人も金もなにもないのですから、ひたすら「考え続ける」しかなかったのです。
 スピリチュアル、というジャンルに出会ったのは大学生の頃でした。もともと祖母が宗教をやっていたのでそのあたりの「フシギなこと」への興味はすごくありましたし、ですから親和性があったのでしょう、僕はそこからいろいろなスピリチュアル本を読み漁り、メーリングリスト(電子メールを交換し合うグループのようなもの)での意見交換にも積極的に参加しました。そうこうしているうちに、さきほどの「考えても仕方がないこと」について
「もしかしたら、ちゃんと『理由』があるのかもしれない」
というヒントのようなものを少しずつ積み重ねていったように思います。

 41歳のとき、ようやく精神科でいわゆる「大人の発達障害」という診断がちゃんと出て(発達障害については、ぜひほかの本でお調べください)、それでやっと「自分がどうズレているのか」を知る機会に恵まれました。僕は社会性訓練を行っているデイケア(現在は閉鎖)に案内され、そこで「人との『正しい』ふれあい方」を徹底的に叩き込まれました。結局三年間みっちりデイケアに通い、臨床心理士の方と二人三脚で「生き方」をきちんと座学で学ぶ機会に恵まれました。

 『モトの話』そのものは、僕のアタマの中では30代なかばくらいまでにだいたい完成していましたが、僕は「社会が自分について来れないんだ」くらいの傲慢さで、それを墓まで持っていくつもりでいました。ですが三年間のデイケア生活を経て、ちゃんと「社会」というものと正面から見つめ合う機会をいただき、そこで初めてこの「社会」という場所には「ちゃんと『人』がいるんだ」という(当たり前の)理解を得られたんです。そうしてようやく「あ……僕が長年苦しんできたことと同じことで苦しんでいる人が、こんなにいるんだ」という(当たり前の)ことに気づきました……いささか遅きに失する感はあるものの、僕はこういう人たちにこそ『モトの話』は絶対に必要だと考えるようになりました。
 最初はブログ記事に書きなぐる、という方法で、思いつくままに『モトの話』を書いていきました。次にそれをまとめて一冊の本にしてみたのですが、僕の話はどうも表現が固くて面白くなく、本としての魅力に欠けているなと感じていました。その次は「ネットラジオ番組」でした。本の反省を活かし、わかりやすく、面白く、短く、という目標をかかげ、一日5分ほどの番組を毎日録音・放送し、それを丸一年続けました。
 このシリーズ『モトの話』は当初、その録音を少しずつ本の形に起こしたものでした。ですが本にするにあたり、ラジオでは語れなかった要素をくわしく盛り込むこともできるようになり、現在の形に落ち着きました。この『エキスパート編』ももちろんその時ラジオで語ったものを元にしていますが、あのとき口頭でお伝えしたものよりはずっと内容が濃く、それでいてわかりやすいものを目指して書かれています。


◆本書の楽しみ方

 この本のシリーズ『モトの話』は、全部で五部に分かれています。

 ①入門編(モトとは何か)
 ②初級編(モトと人間関係・感情)
 ③中級編(モトと恋愛・お金)
 ④上級編(モトと幸せな人生の仕組み)
 ⑤エキスパート編(モトと宇宙全体の仕組み)

こういう構成をご用意していて、この本は五冊目の『エキスパート編』です。

 この本は、今までのシリーズ四冊ではお話できなかった『モトそのものの秘密』を解き明かすために書かれました。題して『セカイのトリセツ』です。トリセツを自称するのですから、本当に「取り扱い方」について書いています(先に申し上げておきます……これは自伝やエッセイ集、癒やしのポエムや生き方指南のテクニック集ではありません……「人生という現象」のマニュアル本・説明書です)。
 このシリーズ『モトの話』は現代科学を超える内容の考察をたくさん含んでいるので、これは本屋さんのジャンルとしては「スピリチュアル本」だと思うのですが、スピリチュアル本に多く書かれるいわゆる『フシギなオカルト』『癒やし要素』を徹底的に排除し

  • 癒やさないから【解かる】霊感ゼロのスピリチュアル本

を目指して書かれました。ほんわかしたあいまいな表現を極力さけて「理解する」ことを主眼に言葉を選んでいます。ですから、読者のみなさんの中には「むずかしい」と感じる方もおられるかもしれません。
 特に『モト』という概念を初めてお知りの方には
「さっぱり分からない」
という感想をお持ちになる方も多いかと思います。ですから少しずつ理解できるよう、一日5~10分程度で読める文章量に区切ってあります。内容が難しいと感じたら、その日の分だけお読みになって、いったん本を閉じてみてください。そして読んだ内容をアタマでよく考えてみて、翌日以降にまた新しい内容に取り組んでみてください。

 また、今回も初めての方や復習したい方のために
「巻末付録:モトの話①~④の内容」
というものをおつけします。ただ、これまでの四冊で書いてきた内容はこの『モト』という新しい概念の話になりますから、この「あらすじ」だけでは理解が追いつかないのではないかとも思っています。興味があればぜひ前四冊の本もお手にとっていただければと存じます。

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 では最後の話を始めます。モトとは何か? なんでそんなもんがあるのか? 誰がそんなことを考え出したのか? という「究極の疑問」に取り組んでいきましょう。
 今回ももちろん

モト

がそれを教えてくれます。


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「ニンゲンのトリセツ」著者、リリジャス・クリエイター。京都でちまちま生きているぶよんぶよんのオジサンです。新作の原稿を転載中、長編小説連載中。みんなの投げ銭まってるぜ!(笑)