見出し画像

スペイン語が好きで副業でオンラインスペイン語教室を立ち上げた話

はじめまして。この記事にアクセス頂きありがとうございます。
 
この度オンラインスペイン語教室 Mundo Contigoを2月17日に立ち上げました、廣津(ヒロツ)と申します。Mundo Contigo はぬくもりのあるスペイン語教室をコンセプトにした、オンラインスペイン語教室で、暖かな雰囲気を持つ現地在住のグアテマラ人、ペルー人を講師に迎えております ↓

https://mundocontigo.com/


私は普段メーカーに勤めつつ、スペイン好きが高じて昨秋に教室の立ち上げを決意、昨年の秋から教室開設の準備を開始しました。開設後の現在、一度自身の振り返りの意も込めて、本記事を書くことにしました。この記事ではなんでもない30代後半のイチサラリーマンである私の、スペイン語との出会いから教室の立ち上げまでの記録と思いを綴ったものです。
 
 



1.スペイン語との出会い

2014年のある時、小学校の同級生からLINEで近況報告を受けました。どうやら仕事を辞めて兄のいるイタリアの家に居候しながら、ヨーロッパをプラプラしているとのこと。彼女のイチオシの都市はバルセロナであり、食事も美味しく、街の景観もかっこよく、 建物も有機的だと教えてくれました。
 
 その当時、私は毎年長期休暇になると旅行に出かけており、それなら行ったことなかったスペインに行ってみるかと思い、航空券を軽い気持ちで予約しました。

・・・まさかこれが今後私の人生を変えるきっかけになろうとは、その当時は思いもしませんでした。
 
スペイン旅行はバルセロナ、マドリードとトレド、マラガを周りました。バルセロナでは同級生の言葉通りの街の有機的な建物、 カラフルなガウディのカサバトリョに心躍り、サグラダファミリアを見たときはこんなに考えられて創られている教会が世にあったのかと感動して涙がでました。建物を見て涙がでた経験は初めてでした。質の良い革製品もあるし、食事も美味しく、バルも老若男女問わず人がひしめいていてよい雰囲気(アンダルシアなんて飲み物頼むとタパスがついてきますし)、気候も穏やかでまさに天国だなと感じました。

マドリードではゲルニカの絵の迫力に圧倒され、マラガでは景観はもちろんのこと、平日日中にも関わらず仕事もなさそうなのに、街中のベンチに腰掛けて楽しそうに談笑している人を見て、当時東京に住んでいて日々何かと戦っていた私にとって、「こんな穏やかな世界があるんだ」 と感心しきりでした。私は50か国ほど海外渡航経験がありますが、これほどまでに満足度の高い国は他になく、どこか夢心地のまま帰路につきました。
 

カテドラル (サンタ・エウラリア大聖堂)
当時泣いた 2014年のサグラダファミリア


2. 旅行後、スペイン語の勉強開始

スペインに旅行中難しかったことは、英語でコミュニケーションをとることでした。 観光都市のバルセロナでもこれほどにも英語が通じないのかと悔しい思いをする一方、「スペイン語を話せたらもっと旅行を楽しめるんじゃないか!?」と思い至り、帰国後早速文法の本を読んだり、通勤の電車で単語を学習、NHKのスペイン講座や大学の公開講座なども利用してスペイン語の勉強を始めました。
 
文法の勉強を半年ほどしたところで、オンラインレッスンで会話の練習もし始めました。オンラインレッスンでは、色んな国籍の先生に習いましたが、共通してラテンのおおらかな雰囲気が日ごろの仕事で疲れた私の体にフィットし、勉強のモチベーションに繋がりました。またスペイン語はどことなく音やイントネーションが故郷の関西弁を彷彿とさせ、英語よりも聞いていて心地良いと感じていました。
 
私のスペイン語の能力は着実に伸びていき、いつのまにかニュース記事なども随分と読めるようになりました。長期休暇はスペインに旅行し、旅先では自分の表現したいことをするのにも不自由する事もなくなり、ますますその魅力にはまっていきました。現地の言葉でコミュニケーションが取れた時の気持ちよさは言葉で言い表せない嬉しさと心地よさがありました。
 
その後、駐在で中東で勤務していたりもしていたのですが、その当時日本への一時帰国の権利を行使する代わりにスペインに旅行にいくなどもしていたほどのはまりっぷりで、時間がたつにつれて、私は「将来的にスペインやスペイン語に関わる仕事をしたい。いつかは学習者から実践者になるんだ!」との気持ちが芽生えてきました。
 

一時帰国の権利を捨て向かったセビージャ
同じく当時訪問したセテニル


3.スペインの仕事をつかむべく異動するも休職

そんな中、2022年にチャンスと思われる瞬間が現れました。

社内でスペインに関わる新規プロジェクトがあり、人材を社内公募していました。仕事の合間を縫って、応募書類をこっそり作成し、その後面接にこぎつけ無事合格し、23年初頭に引っ越しを伴いつつ異動しました。
 
しかしながら、異動してみるとスペインのプロジェクトは少し陰りを見せ始めていました。私自身携わる中で、これは個人がどう頑張ったとしてもうまく回せるような状況ではないと薄々気づいてきました。プロジェクトを終わらせる事はないけれど、私の思い描いていたダイナミックさはそこにはありませんでした。  
 
それに加え異動してからは新しい職種であり、かつ異動前から事業部も変わったこともあり、新しい事業部での仕事の進め方やカルチャーのギャップに悩み、うまくパフォーマンスが出せない日々が続きました。
 
それでも何とか上手く仕事をしようと力んでしまい、結果として空回りする悪循環。心身は知らない間に悲鳴をあげていたのか、毎朝通勤電車に乗って会社に向かっている時に、異常なまでに喉の渇きを感じていたのを今でもよく覚えています。そんな中入った海外出張でハードに働き、とても疲れているにも関わらず全く寝られないこと、移動中などなんでもない瞬間に涙が出ることに自分でも異常を感じ、遠方から産業医の方にメールで相談してみると、すぐに帰国後にメンタルクリニックに行ってくださいと指示をされました。
 
帰国後にメンタルクリニックに行ってみると、適応障害と診断。産業医からは休職を強く提案されました。それでも私はなぜか意固地になり働き続けようとしましたが、最後には休職を選択しました。早めに異常に気付き療養したので、休職期間は2か月で済みました (今は職場での仕事にも慣れましたし、本当に休んで正解だったと思います)。
 
休職前半はとにかく体が重くてよく寝ていました。後半は体力も戻ってきたので、近場におでかけし、自然に恵まれた環境に触れつつよく自身の人生を見つめ直しました。そんななかでもスペイン語のレッスンは細々と続けていました。スペイン語先生たちは

「働くために生きてるんじゃないからね。人生は長いからね、ちょっとくらい休むのはいいじゃない」
「ええっ!? ・・・・・休職おめでとう!」 
 「働いても、働かなくてもあなたの価値は変わらないよ」

など、なんともラテンらしさを感じる温かい励まし言葉をくれ、私の傷ついた心に染み入りました。


4. 職場復帰後~ 立ち上げの準備決意

 休職を経て7月に職場復帰をした後、スペインのプロジェクトにも戻りましたが、プロジェクトは誤解を恐れずに言うと、前ほどの勢いをなくしているように思いました。自身で手を挙げて積極的に動いたら、何かが変わると言うような状況ではないように私には感じました。
 
平素の仕事をしつつ、晴れて休職復帰後の就業制限も解けた時、
 
「このまま時に任せていてもチャンスはなかなか巡ってこない。本業のキャリアは諦めることはしないけれど、副業でも小さくてもいいから、会社の外で自分でスペインに関わる事業やってみようか」
 
と決意しました。
 
事業は南米のコーヒーやチョコレートの輸入、スペインのアーモンド輸入など色々と考えてみたのですが、自分の過去の業務経験や培ってきた能力が一番社会に還元できる事業としてスペイン語オンライン教室の運営が頭に浮かびました。海外に住むスペイン語の講師が日本人の生徒様にオンラインレッスンを提供する事業です。生徒様が私が感じたようなスペイン語のコミュニケーションによって心地よさを感じたり、なりたい自分に近づくお手伝いができたら、とても素敵なことだなと感じました。
 
 
オンラインスペイン語教室にやるか決めても1つ不安が残っていました。それは、先生が確保できるのか?という点でした。それをあるとき海外在住のスペイン語の先生にぽろっとこぼすと
 
「そんなの貴方が本気でやるなら私の講師の知り合いを紹介するに決まってるじゃない。私と貴方がどれだけ長い付き合いがあると思ってるの?だからそんな心配しないで大丈夫」
 
 
と思っても見なかった返答が返ってきました。自分としては不安を吐露したかっただけなのに、まさかの返答。これはもうアクションを起こすしかない!と決意しました。


5. 立ち上げ準備

やると決めてからは、コツコツと作業ができる性格を発揮したと我ながら思っています(汗。主に平日の夜と土日を使い作業をしていきました。
 
9月:
文法テキスト作成に着手。テキストは逐一内容も兼ねたネイティブチェックをしてもらい、テキスト内容補強や修正を実施していきました(今も継続してテキスト作成中です)。
 
10月:
教室の構想をまとめたり、やらなければいけない作業をTo do リストに書き出し、作業をしていきました。コンセプト、レッスン内容、価格帯、関連法規の調査、起業している先輩に相談など、ひとつひとつ着実にアクションを実行。作業によっては時間がかかるものがありましたが、見えてこなかった景色が見えだした感じあり、わくわくして作業していました。

創りたいオンライン教室のイメージは、

・スペイン語学習を通してラテンの講師ぬくもりが感じられること
・受講者の皆様にとって居心地の良いサードプレイスであること
・夢や目標達成の支援が的確にできること

 を描き、それはいまでも変わっていません。

11月:
起業している先輩から小規模事業者向けの補助金の制度を教えてもらったので、はじめて自身で補助金を申請してみました (現在結果待ち)。また住んでいる自治体の実施している補助金制度も申請、活用をしました。補助金申請を通して人生ではじめて事業計画書なども作成してみましたが、頭の整理にもなり面白い経験でした。
 
このあたりから教室名も考え始めました。実はとある教室名で決めかけていたのですが 、調べると既に使われていることが分かり、慌てて考え直しました。最終的には  Mundo Latino とMundo Contigo の2つで迷い、語感からぬくもりが感じられ、かつ人生をともに走ってくれそうな Mundo Contigo (訳: 君と一緒の世界) にしました。

 
12月:
教室名が決まったので、ロゴの作成に取り掛かりました。とはいえ、ロゴは全くの専門外、、、自分では作れません。フリーランスのデザイナーの方に頼んでもよかったのですが、せっかくなので顔を知っている人に作ってもらいたい気持ちを抱いていました。
 
実は私がスペインにふらっと行くきっかけを作ってくれた同級生はデザイナーでして、頼むなら原点ともいえる彼女しかいないと思い、6年ぶりに連絡し、経緯を話してロゴ作成をお願いしました。いきなりの連絡で断られるかなと思ったのですが 、「ロゴは専門ではないけど それでもよければ!」との温かい返答をもらい、 作ってもらうことに。 

その後お家に訪問してアイデアを練って、細かい修正のやり取りを通して出来上がったのが今のロゴです。これからスペイン語を勉強される方に向けて優しく受け入れてくれそうな温かさを持たせつつ、すでにスペイン語を勉強されている方にはどことなくスペイン語への愛情が感じられるロゴに仕上がりました。本当にお気に入りのロゴで、心底友達に頼んで良かったと思っています。


(参考) Mundo Contigo ロゴ初期案
Mundo Contigo 決定ロゴ


 
また当時、たまたま聴いたYOASOBIの Heartbeatという歌の歌詞が響いたのを覚えています。18歳に向けて作られた歌ですが、当時夢を具現化すべく動いていた自身にも響く歌詞で、この曲を聴きながら作業し自身を鼓舞していました。(下記歌詞抜粋)
 

いつも思えばこの胸の奥が
痛いほど脈打つのは
かけがえないものに
愛するべきものに
触れた瞬間ばかりだ
 
きっと 
飛び跳ねる心臓が
鳴らした音は
僕にとって本当に大切なものを
教えてくれていたんだずっと
いつだって
誰かに貼られた
「らしさ」は要らない
どこまでも
響け僕のハートビート
 
誰でもない
自分の証
誇らしく鳴らせ
張り裂けそうな
心で鳴らせ
世界で一つの証

ずっと遠くに見ていた
ずっと先の未来は
ずっと近くに来ている
ずっとずっと

https://www.uta-net.com/song/348050/

Uta-net "Heartbeat"


1月: 
ホームページ作りを開始しました。 初めてのホームページ作りでしたが、想定以上に大変でした。「 そりゃ、製作委託の会社や フリーランスの方がたくさんいらっしゃるわ・・」 というのをまざまざと作業しながら 痛感しました。

各コンテンツの作成、細かい色の調整、レイアウト、システムの作動検証とやらなければいけないことは枚挙にいとまがありません。 膨大な作業に苦戦しましたが、徐々にできあがっていくHPを見て、より夢が具現化していくと心も踊りました。
 
この時並行して、紹介して頂いた講師との面接も始めました。面接と言いながらも実質は誰が偉いとかではないので、お互いのことを知る対話の場です。
 
面接で見る点は、①講師のお人柄に暖かさや優しさが感じられ、生徒様のことを尊重できるか(私の考える教室像にあっているか)、②講師としてのスペイン語教授能力を主に見ました。
 
面接する中で、お断りした講師候補の方も複数いますが、お断りした理由は①がほとんどです。その中でぜひ一緒に働きたい、教室を創っていきたいと思った講師が、グアテマラのAquino先生、Lorena先生、ペルーのClaudia先生の3人でした(下記参照)。


2月:
HPの動作検証や細かいHPの調整作業が続き、講師へのマニュアルやレッスンのガイドラインレッスン指針などを作成して、講師へ説明しました。私が過去にオンラインレッスンを受講するなかで、この点は大事だな、逆にこういうことをすると受講者の心は離れていくいう点をつぶさに明文化し、講師に理解してもらうように努めました。
 
そして会社へも副業開始の申請し受理され、ついに2月17日ついにHPを公開することができました。HP公開をしたときにはいつのまにかやら to Doリストの達成項目は124個になっていました。
 
 

 6. 立ち上げとこれから


HP立ち上げて事業を開始すると、爽快な気分になるのかと思いきや、ようやくが出発点だと改めて重く認識し、色々と考えや悩みばかりがよぎってばかりです。
 
・受講者の方に満足してもらうにはどうすればいいか?
・講師の方々にもMundo Contigoに参加してもらえて、良かったと思えるようにしないと・・
・講師の国籍や年齢など多様性を確保したいな
・どうしたら教室を認知してもらえるか
・たとえ事業を通して辛いことが続いたとしても、強い信念と持ち続けられるか、スペイン語を好きでいられ続けるか
 
これらは黙っていても何も解決しません。悩みは悩みのままです。またこれらは自身の手で立ち上げたからこそ出てきたある意味贅沢な悩みなのかもしれません。
 
今年の初詣では、運よく参拝した神社本殿が、葺替工事のため葺替に使用する銅板の奉賛を募集していました。祈願したいと思いましたので、銅板を購入。銅板には自由に文字を書けるので、
 
「Mundo Contigoに関わる仕事のすべてのひとが幸せでありますよう。 con mucho amor.」
 
と書き記しました。(con mucho amorはたくさんの愛をこめてという意味です)
 
この夢を達成すべく、これから必要な打ち手を着実に打っていきたいと考えています。
 
振り返りはこれで終わりです。最後までお読み頂きありがとうございました。少しでも興味がわいたら、HPも覗いてみてもらえますととても嬉しいです。

https://mundocontigo.com/

この記事が参加している募集

自己紹介

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?