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運営部とSVつぶし ディズニーを愛する元SVがお伝えしたいこと2-④

本日のnoteの結論は、アトラクションの運営ではなくサービス施設を含むパークを運営するのが運営部であったこと、所属する社員、準社員(パート・アルバイトキャスト)を指導・監督することで組織を強くするのがスーパーバイザーであったが、それぞれの権限を低下させたことと正比例してパーク運営の品質低下が生じているということです。
 
まずこちらをご覧ください。説明文もサッと目を通すだけで十分です。
 
組織図 | 会社概要 | オリエンタルランドについて | 株式会社オリエンタルランド (olc.co.jp)
 
パークサービス運営部 - 検索 (bing.com)
パークサービス運営部は、東京ディズニーリゾート全体の交通手段の統括管理業務を担当しています。具体的には、以下の業務を行っています:
 
交通手段の統括管理: 東京ディズニーランド、東京ディズニーシー、周辺エリアの交通手段(公共交通機関や駐車場など)を効率的に運営し、ゲストの利便性を向上させています。
 
サービス施設の運営業務: パーク内外のサービス施設(トイレ、休憩所、案内所など)の清掃や運営を担当しています。
従業員教育とサービスクオリティ向上: ゲストサービスの向上を目指し、従業員の教育やトレーニングを実施してます。
<引用終了>
 
テーマパークマネジメント職 | 職種紹介 | 株式会社オリエンタルランド 新卒採用 (olc.co.jp)
入社してすぐに、
100人規模のリーダーとなり
チームマネジメントを
発揮できる

<引用終了>
 
ここまでお読みいただいても、ワンパーク時の元スーパーバイザーの私が何をお伝えしたいのかお分かりにならないと思います。
 
運営部と運営部スーパーバイザーの矮小化、つまり「小こぢんまりさせること」が「OLC 2010Vision]のもと計画され、実行に移されました。「入社後すぐにマネジメント、スーパーバイザー」と読み取れますが、これで最高のサービスを提供することは経験上不可能と言えます。このようにホームページに掲載すること自体が不適切であると言わざるを得ません。
 
「一強」となった加賀見元社長は、上澤昇元副社長が最高運営責任者として東京ディズニーランドの誘致から東京ディズニーシー開業まで、一言で言い表すと「成功」を成し遂げ、高い評価を得たことに感情的な「何か」を抱いていたと思われます。
 
そして、加賀見元社長は「前任者」が行ってきたパーク運営のあり方を、180度変えたとしか私には思えません。
その目的はパーク運営の「効率化(人件費や一般管理費など経費をおさえ収益を高める)」しかここには書けません。
 
「入社後すぐに…発揮できる」と明記されているスーパーバイザー機能の一部を以下に紹介します。これは私が退職時に運営部に残してきたものの一部です。
 
SV(スーパーバイザー)機能
①、統制、監督機能
東京ディズニーランドを運営するオリエンタルランドは、ディズニー社とライセンス契約を結んでおります。テーマパーク運営における確たる理念と確たるシステム、それを支えるマニュアルを創造したディズニー社と、これに共感し納得したオリエンタルランド。両社は良きビジネスパートナーとして、東京ディズニーランドの成功を成し遂げました。両社は、お互いに自分の持っている ″権利″と自分が持っている″義務″をはっきりさせ、一つの事業体としての主体性を維持、発揮しています。両社はライセンス契約を結んでおりますが、これを維持するために契約が必要になり、さらに、間違いを起こさないためにも、相互に権利と義務を明らかにした契約を結ぶのです。
東京ディズニーランドはディズニー社との契約に基づき、マニュアル(SOP、標準作業手順書)に則った運営を行っていくことが大前提ですが、中にはマニュアルに違反した行為を行う者(キャスト、ワーキングリード※アトラクションなどの施設責任者、他部署の担当者など)が出てくるのも事実です。SVはパーク運営において、ディズニー社との契約から逸脱した行為を行っていないかどうかをチェックする機能を持っていました。重要なポイントは次の三点です。
 
◇   オンステージに立つすべての者が、必要なトレーニングを終了し、東京ディズニーランドのキャスト業務、トレーナー業務、ワーキングリード(アトラクションやサービス施設の責任者)業務を遂行するための知識と技能を身につけているか
ディズニー社がチェックリストの遵守にこだわる理由です。
 
◇   SOPに基づいた手順で運営を行っているか、ディズニー社が承認していない手順や物品を使用していないか
ナレーションを含むSOPの内容やサイン類のクオリティにこだわる理由です。
 
◇   関連各部との調整、イレギュラー対応などにおいて、ワーキングリードやエリアの各SVの判断基準は正当なものか、パーク運営のスタンダードに基づいたものか
 
ルール違反は、ある日突然目の前に表れるものではありません。自己流の手順やゲストクレ-ム発生時の過剰対応など、最初に違反した時にSVが気付かないでいたとか、気付いていても黙認したために、問題が拡大するのです。SVとワーキングリードは2つのコンピュータにおけるBOTINGのように常に担当エリアのチェックを行ってきました。SVのチェック機能は、マネジメントに移管されることになるわけですが、ノウハウやシステムなど、一度手にしたソフトの価値に対して、認識が低いとされる日本社会での業務提携において、ディズニー社の懸念も高いものと推察されます。
 
②、コミュニケーション機能
これは会社やマネジメントの意志や情報の伝達、ワーキングリードやロケーションからの要望、ゲストコンプレインのフィードバックなどです。パークの状態は川の水の色のようなものであり、日々変化しています。SVは、表面から見えること、水面下で起こっていることをマネジメントに報告し、好ましくない状態にならないよう対策を講じてきました。またデューティーとしてパークを歩いている時や、SVミーティング、ディズニーランド成功の秘訣の一つであるログブック等を用いて、常にマネジメントとワーキングリードのコミュニケーションの中継点としての機能をはたしてきました。今後、PC等を使った情報の伝達強化を行うと共に、マネジメントが直接、現場運営の責任者とコミュニケーションをとることになりますが、報告、連絡、相談という基本的行動が、機能しなくならないよう注意しなくてはなりません。
 
③、コンサルティング機能 (運営上のアドバイス)
SVはサービス業における(TDLはホスピタリティ業としたほうが正しいと思いますが)現場運営の責任者として、職務に対する深い自覚と経験に基づく高い業務知識を持ち、部下への助言、指導を行ってきました。運営上のアドバイスはウォルトの目、ゲストの目、あるいは、第三者の立場での客観的なものが要求されました。各SVにとって得意な分野、不得意な分野があったのも事実ですが、SV職位が持つ機能として、SCSEの維持とテーマショーの発展に、大きく寄与してきたことは言うまでもありません。ゲスト対応においても社会人としてのハイレベルのマナーやホスピタリティの気持ちを具体的に伝達する技術、あるいは、イレギュラー発生時に適時に行うアフターケアーなど多様です。

④、カウンセリング機能 (人間の側面からのアドバイス)
プライベートな相談
職場内の人間関係に関する相談
年2回の社員との面接、課に所属数社員の人事考課、能力開発
 
⑤、コーディネイト機能
他部署との調整、事務課との調整
情報システム、予算.会計のシステム、教育.人事.労務に関するシステムなどの維持管理
 
⑥、調査機能
データ管理、データの分析
ミステリーゲストとしての役割
 
⑦、運営コスト管理機能
年度の人件費、経費予算の作成と管理・報告
 
⑧、デューティー機能
入場制限の指揮、パレード時のゲストコントロールの統括、花火打ち上げ時の安全対策
 
⑨、その他
優待チケットの発券やゲストクレーム調査報告など
 
最後に
スーパーバイザーとは
「スーパーバイザーとはキャストが快く働ける環境を作る人である」
「スーパーバイザーとは全体を見る人、人を育て組織を強くする人である」
 
 
 
 
 
 
 
 

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