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夜の夢と寒さにおける体感についての論考

こけかか『破゜ー竹 3号』に掲載。http://kkkka.seesaa.net/article/446538744.html

かぎざぎの よたかの うたの 枯れ尾花

指先の 凍る速度の 雪化粧

太腿の まにまに流る ひとすじの

夕暮の 釣瓶落としの 生首の

ざざ虫の 鳴き声響く 牧谿の

トリステサ 風穴の あなたに揺れるの

すすき野の 茶色さに カラカラ笑うの

ささくれの 日々ひび割れの 酒のつまみ

夜も更けて 狩衣の 脱ぎ捨てた咆哮の

行先の 知れぬ旅路の 風車

鎌鼬 切れるの 北端から来た服の先の

眠る間の 見忘れた魔の カルマを背負い

残り香の 寂しさの知らずを 目で追って

忘却の 夢の向こうに ガタンゴトン

涙目の 朝日の 滲む様な朝焼けを

忘れたの あなたは忘れた 忘れたの

冬の盛りの屍の、声無く枯れた垂乳根の、母の姿を一目見ん、一目見んとぞ山越えて、越えた端から爪凍り、寒太郎、呼ぶ声はただ虚空に流れ、蒼穹の天高く馬死する冬、冷たくなった仏前の冷や飯を取り出して喰う、木喰はやがて鬼になった、俺が歩いて何処へ向かう、血走った眼で叫ぶ若者の手は震えていた、人を喰らわば皿まで喰らえ、一人で行くんだ幸せに背を向けて、荒野を目指すのか目指したくない、一所に居たい居たくない痛い、痛苦が友 とすれば喜びの位置は何ぞ、風は吹く誰の頭上にも同じくして、夢を見たんだ ちっぽけで美しい、

忘れた、忘れない、何度も、何度も。

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