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運用日和 vol.01 システム運用との出会い

今回は私がシステム運用を始めるきっかけのお話です。プログラマから運用者になり私が感じた"気付き"を追体験してみてください。

システム運用の世界への誘い

私は7年間開発系プログラマをやっていました。当時はちょうど既存システムのハード更改案件を1年ほどやっていて、その案件が終盤を迎えていたところです。

SES契約でやっていることが多く、今回もそうだったのでいつもの流れで次の開発案件の話でもくるのかなと思っていたところ、顧客システムの既存運用メンバーが抜けたことで「システム運用をやってみないか」とお声がかかりました。

ちなみに、当時の私はプログラマ/システムエンジニアとしての自信がまったくない状態でした。

なんとなくプログラムは組めるものの、よくバグを生んでいたし、何より自分よりできるエンジニアは周りにごまんといて、どうしても周囲と比べてしまい、正直に言うと「エンジニア向いてないからやめようか」ともよく考えていました。

そんな時に今まで未経験の「システム運用」の話がきて、どうせプログラミングは苦手だし、やったことないことやってみるかくらいの軽い気持ちで挑戦してみることにしました。

運用チームに入った当時、運用チームの先輩からは『俺たちのやっていることは開発より3倍はラクだよ』と言われたものの、
始めてすぐにそうではないと気付きました。
運用はラクなんかじゃない、運用には運用の難しさがあるのだと。

システムと考えるかサービスと考えるか

難しさを感じた原因を自分なりに分析しました。おそらく開発者と運用者のプログラムに対する考え方の違いが原因だと思います。

開発者は要件定義を元に、新機能や不具合修正のため新しいプログラムを設計・製造し「システムに新たな機能を追加すること」をメインに活動します。

そのため、新しい機能や修正した機能について「システムが正しく動作するか」を重点的に確認していきます。

それに対し運用者は「サービスが正常に利用できるかどうか」に一番の重きを置きます。それゆえに、何をするにしてもまず『サービスに影響を与えないかどうか』を最優先に行動します。

自身が携わるものを「システムと見るか」「サービスとして見るか」で動き方は大分変わってきます。

この違いを身体に覚え込ませるまでが非常に苦労しました。

私は何度も何度も先輩から「それは開発の考え方。運用の考え方になってない。」と叱られました。
頭でわかったつもりでも、どうしても開発の頃の癖が出てきてしまうのです。

例えば、開発チームがリリースしたモジュールに対し、運用チームが受入試験しますが、
私はどうしても開発が実施した試験をなぞるような試験をしてしまい「運用観点での試験」ができておらず、なんどもやり直しをくらいました。

このあたりの考え方の違いは、私のITエンジニアとしてのレベルをあげてくれた財産になので、今後の記事で少しずつ継続して伝えていきたいです。

最後の門番としての責任

運用者は『サービスに影響を与えないかどうか』を一番に考えているため、
少しでもシステムに対してリスクがあるものは排除する傾向があります。

前述した開発チームからリリースされたモジュールも「本番環境を理解して開発されているか」は非常に厳しくチェックされ、少しでもあやしいところがあれば差し戻しやテスト追加指示をします。

営業から「早く本番適用しろよ」と思われていても、しっかりとした受入試験なしには絶対本番適用はしません。

仮に受入試験を大してやらずに本番展開した後、開発者が「試験はちゃんとやってたけど、渡したモジュールが間違ってました」などと言おうものなら、結局顧客から文句を言われるのは営業ですから。

運用者は『最後の門番』として、本番適用して問題ないかを確認する重要な仕事です。

システムの品質は「運用込み」で見られる

これは顧客上司の受け売りですが、
運用は「サービスに影響を与えないか」の更に先の『顧客業務に影響を与えないか』まで考えて運用をするようにしろと指導を受けました。

システムを利用している顧客がどういう使い方をしているかを知っているから、自分たちのサービス停止が顧客にどういう影響を与えているかわかり、緊急度が理解できる。

そこまで考えてサポートできるサービスは顧客から利用され続けるが、そうでない場合は別のサービスに代替され使われなくなってしまう。

加えて、システムの品質は「我々の動き方で決まる」と言われ、ハッとしました。

今までシステムの品質は作ったプログラムのバグの少なさで決まると思っていました。

しかし、現実は「運用を含めたサービスとしての評価」で決まるのです。我々がシステムの価値を上げることも下げることもできてしまう。
これは恐ろしいし、やりがいもあります。

そんなことを日々覚えつつ、私はシステム運用の世界にのめり込んでいくことになります。

次回へ続く->

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